転職エージェントとは何かわかりやすく解説！役割や選び方のポイントは？
転職はキャリアにおける重要な転機ですが、何から手をつければよいか分からず、不安を感じることもあるでしょう。
この記事では、転職エージェントの基本的な仕組みから、具体的なサポート内容、他の転職支援サービスとの違い、そして自分に合った転職エージェントの選び方まで、わかりやすく解説します。
監修者日向妃香
人事コンサルタントとしての経験を基に、人事・採用分野で10年以上執筆。累計100社以上の人事担当者を取材し、専門知識と取材力を活かした分かりやすい解説が強み。著名メディアへの寄稿実績もあり、読者の疑問に応える記事作りを得意とする。
目次
転職エージェントとは
単に求人を紹介するだけでなく、キャリアに関する専門知識を持つプロの「エージェント」や「転職コンサルタント」が、転職活動の全般にわたって求職者をサポートするのが大きな特徴です。
転職エージェントは、各業界の転職市場の動向や採用に関する情報に精通しています。その専門的な知見を活かして、求職者一人ひとりのスキルや経験、キャリアプランに合った求人を提案し、転職が成功する確率を高めるための伴走者となってくれます。
企業側にとっても、自社のニーズにマッチした優秀な人材を効率的に見つけられるという利点があり、転職エージェントは求職者と企業の双方にとって価値のある存在です。
転職活動における位置づけとメリット
キャリアの棚卸しを通じて、自分では気づかなかった強みや市場価値を客観的な視点で評価してもらえます。
また、多くの転職エージェントは、一般には公開されていない「非公開求人」を扱っています。
これには、企業の重要プロジェクトに関わるポジションや、応募が殺到するのを避けるために公開を控えている魅力的な求人が含まれるため、自分一人で探すよりもキャリアの選択肢が大きく広がります。
さらに、応募書類の添削から面接対策、さらには待遇といった条件交渉に至るまで、転職プロセス全体を通じて手厚いサポートを受けられるのも大きな利点です。これにより、働きながらでも、負担を軽減しつつ効率的に転職活動を進めることが可能になります。
無料で利用できる仕組みとビジネスモデル
転職エージェントは、紹介した求職者の採用が決定した際に、採用企業側から「紹介手数料」という形で報酬を受け取ります。
この成功報酬型の仕組みによって運営されているため、サービスを利用する求職者側は一切費用を支払う必要がありません。
求職者は金銭的な負担なく、キャリア相談から内定後の手続きまで、プロフェッショナルによる専門的なサポートを存分に活用することができるのです。
転職エージェントが提供するサポート内容
・履歴書、職務経歴書作成支援
・求人紹介
・面接準備・条件交渉サポート
・業界情報提供
・転職後のキャリアサポート
キャリアカウンセリングで自分の強みを発見する
多くの人は自分の強みを客観的に把握するのが難しいものですが、キャリア支援のプロであるエージェントと一緒に自己分析に取り組むことで、これまで気づかなかった自分のアピールポイントや、転職市場における自身の価値を明確に認識できます。
このプロセスを通じて転職の軸が定まるため、その後の活動の方向性が明確になり、転職に対する漠然とした不安も解消されやすくなります。
非公開求人へのアクセスで選択肢を広げる
企業が求人を非公開にする理由はさまざまで、「重要な新規事業に関する募集のため、競合他社に情報を知られたくない」「人気職種で応募が殺到しすぎるのを防ぎたい」「特定のスキルを持つ人材をピンポイントで採用したい」などといった背景があります。
転職エージェントはこれらの特別な求人情報を保有しており、カウンセリングで把握したあなたの経験や希望に合致するものを提案してくれます。
これにより、自分では決して見つけられなかったような優良企業や好条件のポジションに出会う機会が生まれ、キャリアの可能性を大きく広げることができます。
転職活動の事務手続きを一括サポート
具体的には、応募企業への履歴書・職務経歴書の提出、面接日程の調整、選考結果の連絡といった企業とのやり取りをすべて任せることが可能です。
さらに、内定後には、自分からは言い出しにくい給与や勤務条件の交渉も代わりに行ってくれます。
転職エージェントと他の転職サービスの違い
ここでは、転職エージェントと「転職サイト」「ハローワーク」「人材派遣会社」「スカウトサービス」との違いを比較し、それぞれのサービスの概要を解説します。
| サービス | 求人情報の特徴 | 支援内容 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 転職エージェント | ・非公開求人の取り扱いがある ・企業と転職エージェントが直接契約している求人あり |
・キャリアカウンセリング ・履歴書/職務経歴書添削 ・面接対策 ・面接日程調整 ・条件交渉 ・入社手続きサポート |
・正社員/契約社員希望者 ・手厚いサポートを受けたい人 ・未経験職種に挑戦したい人 |
| 転職サイト | ・公開求人のみ ・サイトごとに得意な業種、職種が異なる |
・求人情報の提供 | ・幅広い業種から選びたい人 ・自分で転職活動を進めたい人 |
| ハローワーク | ・全国47都道府県に拠点 ・求人数が非常に多い ・雇用形態を問わない |
・求人情報の提供 ・失業手当/雇用保険手続き ・紹介状の発行 |
・幅広い求人から探したい人 ・自分で企業とやり取りできる人 ・失業手当など行政手続きが必要な人 |
| 人材派遣会社 | ・派遣社員向け求人 | ・派遣社員としての就業支援 ・勤務条件の調整 |
・派遣社員として働きたい人 ・勤務時間/日数の融通が必要な人 ・フルタイム勤務が難しい人 |
| スカウトサービス | ・企業の採用担当者からオファーやスカウトが届く | ・企業からのオファー仲介 | ・自分から動かずに転職先を探したい人 ・特定のスキル/経験を持つ人 ・キャリアアップを目指す人 |
転職サイトとの違い
求人探しから応募書類の作成、面接の日程調整まで、すべてのプロセスを自分一人で行う必要があります。自分のペースで気軽に情報収集できる利点がある一方で、転職支援のプロからの支援やアドバイスは得られません。
それに対して転職エージェントは、専任のエージェントが介在し、キャリア相談から求人紹介、選考対策まで手厚くサポートしてくれます。
また、転職サイトには掲載されていない「非公開求人」を紹介してもらえる可能性がある点も大きな違いです。初めての転職で不安な方や、プロの視点を取り入れて効率的に活動したい方には転職エージェントが適しています。
ハローワークとの違い
しかし、ハローワークはあくまで求職者自身が端末で求人を探し、窓口で紹介状を発行してもらう形式が基本で、企業とのやり取りも自分で行う必要があります。
一方、民間の転職エージェントは、個別的で手厚いサポートが特徴です。企業の内部情報に詳しかったり、非公開求人を扱っていたりと、サービスの質で差別化を図っています。
手厚いサポートを求めるなら転職エージェント、地域に根差した幅広い求人情報を探したい場合はハローワーク、という使い分けが考えられます。
人材派遣会社との違い
これに対し、人材派遣会社は、まず求職者と派遣会社が雇用契約を結びます。そして、派遣会社の社員として、契約先の企業（派遣先）で業務を行います。
給与の支払いや社会保険の手続きは雇用主である派遣会社が行います。長期間安定して働きたい、直接雇用を目指したいという方は転職エージェント、期間や勤務地、時間を柔軟に選びたいという方は人材派遣会社が適しているでしょう。
スカウトサービスとの違い
いわば「待ち」のスタイルであり、「登録型のヘッドハンティング」とも呼ばれます。自分のスキルや経験が市場でどう評価されるかを知る良い機会になります。
ただし、スカウトが届いても、それはあくまで選考への招待であり、内定が確約されているわけではありません。一方、転職エージェントは、キャリア相談を通じて能動的に求職者の強みや希望を引き出し、それに合った求人を探して提案する「攻め」のサポートが特徴です。
転職エージェントを活用した成功への流れ
この一連の流れを事前に理解しておくことで、よりスムーズかつ効果的にサービスを活用することが可能です。
① 転職エージェントの登録
② キャリアの相談・求人紹介
③ 履歴書・職務経歴書の添削
④ 企業への応募
⑤ 面接対策
⑥ 応募企業の選考
⑦ 内定後の条件交渉
⑧ 入社手続き・アフターフォロー
初回面談で希望条件を明確に伝える
これまでの学歴や職歴に加え、希望する業界、職種、年収、勤務地といった条件、そして将来のキャリアビジョンなどを具体的に伝えましょう。事前に自分の希望や考えを整理しておくと、面談がより有意義なものになります。
あなたの意向をエージェントが正確に理解することで、紹介される求人の精度が高まり、ミスマッチを防ぐことにつながります。
履歴書・職務経歴書の添削を受ける
転職エージェントは、求職者の経歴の中から、応募企業が求めるスキルや経験を効果的にアピールする方法を熟知しています。
どの実績を強調すれば評価されやすいか、自己PRや志望動機をどのように表現すれば魅力的に映るかなど、具体的な添削やアドバイスを受けることで、書類選考の通過率を高めることができるでしょう。
面接対策から内定後の条件交渉まで
面接での立ち居振る舞いや話し方、想定される質問への回答準備など、きめ細かな指導を受けることで、自信を持って選考に臨めるでしょう。
見事内定を獲得した後も、サポートは続きます。待遇や入社日といった条件面で希望がある場合、転職エージェントが求職者に代わって企業と交渉してくれます。
個人では主張しにくい内容も、第三者である転職エージェントが間に入ることで、スムーズに話を進めやすくなるでしょう。
効果的な転職エージェントの選び方
自分のキャリアプランや希望する業界、職種などを考慮し、最適なパートナーを選ぶためのポイントを理解しておくことが重要です。
| 特徴 | 総合型転職エージェント | 特化型転職エージェント |
|---|---|---|
| 扱う職種・業界 | 幅広い職種や業界の求人を取り扱う | IT・コンサル・金融・クリエイティブなど特定の業界・職種に特化 |
| 向いている人 | ・転職先の選択肢を広げたい人 ・キャリアチェンジを検討している人 |
・同業界での転職を考えている人 ・職種経験を活かしたい人 |
| 求人の特性 | 多様な業界・職種の求人を幅広く保有 | 高い専門性が求められる特定分野の求人を多く保有 |
ハイクラス求人を扱う転職エージェントも検討する
ハイクラス転職エージェントは、企業の経営層や管理職、専門職といった、一般的に年収が高い求人を専門に扱っています。
これらの転職エージェントは、企業の経営戦略に関わるような重要なポジションの求人を非公開で保有していることが多く、エージェントも各業界の深い知見と豊富な支援実績を持っています。
これまでの経験を活かしてマネジメント職に挑戦したい方や、専門性を武器にさらなる高年収を目指したい方は、ハイクラス向けの転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
口コミと実績で信頼性をチェックする
実際にそのサービスを利用した人の体験談は、公式サイトだけではわからないサービスの質やエージェントの対応を知る上で役立ちます。
また、その転職エージェントがどの業界や職種に強みを持っているのか、過去の転職支援実績なども確認しましょう。最終的には、転職エージェントとの相性が非常に重要になります。
多くの転職エージェントでは無料でキャリア面談を実施しているので、実際に話してみて、自分の意向を的確に汲み取ってくれるか、信頼して相談できる相手かを見極めることが、後悔しない転職エージェント選びの鍵となるでしょう。
おすすめの転職エージェントをチェック！
世の中には数多くの転職エージェントが存在します。どの転職エージェントが自分に合っているか比較検討するために、利用者の満足度調査などを参考にするのも一つの良い方法です。
より詳しい情報や、評価の高い転職エージェントのランキングについては、以下のサイトもぜひチェックしてみてください。
監修者日向妃香
人事コンサルタントの経験を基盤に、人事・採用領域の専門家として10年以上の執筆経験を持つ。累計100社以上の人事担当者の取材で培った取材力、豊富な専門知識を活かし、採用データや経営視点も交えた分かりやすい解説を提供。著名メディアにも寄稿実績を持ち、読者の疑問に応える記事作りを得意とする。
