転職エージェントの複数掛け持ちはOK?理想の併用社数やメリット・デメリット
実際、複数の転職エージェントを併用することで、多様な求人情報に触れられる機会が広がり、転職成功につながる可能性が高まると考えられています。
一方で、管理が大変になったり、重複応募のリスクが生まれたりするため、適切な戦略が必要です。
本記事では、転職エージェントの複数利用について、理想的な併用社数やメリット・デメリット、効果的な活用方法を詳しく解説します。
目次

監修者日向 妃香
人事コンサルタントの経験を基盤に、人事・採用領域の専門家として10年以上の執筆経験を持つ。
累計100社以上の人事担当者の取材で培った取材力、豊富な専門知識を活かし、採用データや経営視点も交えた分かりやすい解説を提供。
転職エージェントは複数社の掛け持ちが可能
多くの求職者が複数の転職エージェントを利用し、より多くの求人情報にアクセスしながら転職活動を進めています。
また、転職エージェント側も求職者が複数サービスを併用することを想定しており、併用することに対して問題視することはありません。
転職エージェントを併用する際の基本姿勢として重要なのは、各転職エージェントに対して透明性を保つことです。
他社も利用していることを率直に伝えることで、転職エージェント側もより効果的なサポートを提供できるので、結果として転職活動をスムーズに進めることができます。
転職エージェントを併用するメリット
転職エージェントを併用するメリット4つ
また、複数のエージェントと接することで、自分と相性の良い優秀な担当者と出会える可能性が大幅に向上します。
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
より多くの求人情報に出会える
各転職エージェントは異なる企業ネットワークを持っており、その転職エージェントでしか取り扱っていない「非公開求人」や「独占求人」が存在します。
また、転職エージェントごとに得意とする業界や職種、企業規模が異なるため、複数利用することで幅広い選択肢を確保できます。
たとえば、ある大手転職エージェントは幅広い業界の大企業求人に強い一方、別の特化型転職エージェントはニッチな業界の中小優良企業との強いパイプを持っているケースがあります。
複数社を活用すれば、選択肢が広がり、より自分に合った求人に出会える確率が高まります。
各転職エージェントの強みを活かした幅広いサポートが受けられる
たとえば、「大手の総合型エージェント」は求人の数や業界の幅広さに強みがあり、「業界特化型のエージェント」は特定分野に精通し、企業との深いつながりを持っているのが特徴です。
中には面接対策に強いエージェントや、業界の専門知識に基づいたアドバイスが得意なエージェントもあります。
複数のエージェントを併用すれば、それぞれの強みを活かした多面的なサポートを受けることができるのです。
その結果、転職活動の段階ごとに最適な支援が得られやすくなり、成功の可能性をより高めることができます。
相性の良い担当者に出会えるチャンスが広がる
特に、経験豊富で業界知識に長けた優秀な担当者は、求職者の強みや希望に合わせた的確なアドバイスや戦略的なサポートを提供してくれます。
複数の転職エージェントを利用することで、多くの担当者と接点が生まれ、相性の良いパートナーに出会える確率が高まります。
1社のみの利用では、担当者が合わない場合でも選択肢が限られますが、複数利用により比較検討が可能です。
優秀なエージェントの特徴として、下記の内容が挙げられます。
●求職者の話をしっかりと聞いて理解してくれること
●具体的で実践的なアドバイスを提供できること
●レスポンスが迅速で信頼関係を築けること
非公開求人にに出会える可能性が高まる
企業が非公開求人を出す理由は、戦略的なプロジェクトや重要なポジションの採用を外部に知られたくない場合や、応募者を厳選したい意図などが挙げられます。
複数の転職エージェントに登録すれば、それぞれが持つ独自の企業ネットワークやコネクションを通じて、1社では出会えない非公開求人にアクセスできる可能性が広がります。
非公開求人には、好条件の案件や成長企業の重要ポジション、年収アップが期待できる案件が多く含まれているため、複数の転職エージェントを活用することで、より魅力的で条件の良い転職先を見つけられる可能性が高まります。
転職エージェントを併用するデメリット
これらを理解しておくことで、より効果的に転職活動を進めることができます。
転職エージェントを併用するデメリット3つ
スケジュール管理が煩雑になりやすい
各転職エージェントとの初回面談をはじめ、定期的な進捗報告、企業との面接調整など、管理すべき予定が大幅に増加するためです。
特に在職中の転職活動では、限られた時間の中で複数の転職エージェントからの面談依頼や面接設定を調整する必要があり、スケジュールの重複や調整ミスが発生しやすくなります。
たとえば、同じ時間帯に異なる転職エージェントから面談を求められたり、企業面接が重なったりするケースが頻繁に起こる可能性が高まるでしょう。
これにより、重要な面接を逃すリスクや、エージェントとの信頼関係に影響が出る可能性もあります。
そのため、併用する際はスケジュールを一元管理できる仕組みを整えることが非常に重要です。
効率的に進めるには、連絡手段や面談日時をしっかり記録・整理しておく必要があります。
同一求人への重複応募のリスクが発生する
これは、企業が複数の転職エージェントに求人を出している場合や、求人票の表記がわずかに異なることで、同一企業と気づかないことが原因です。
重複応募が発覚すると、企業側からは「管理能力が低い」「注意深さに欠ける」といった否定的な印象を持たれ、選考で不利になる可能性があります。
また、転職エージェント側からも信頼を失い、今後の求人紹介に影響が出る恐れがあります。
最悪の場合、両方のエージェントから選考を辞退するよう求められることもあります。
重複応募を防ぐためには、応募前に企業名や事業内容、所在地などを詳細に確認し、応募履歴を一覧表で管理することが重要です。
不明な点があれば遠慮なく各転職エージェントに確認し、透明性を保ちながら慎重に転職活動を進めることが求められます。
情報過多による判断の迷いや混乱
特に、異なるエージェントから異なる意見を受けた場合、自分にとって何が正しいか判断に迷いが生じやすくなります。
求人情報が多すぎると、本来重視すべき条件がぶれたり、優先順位が曖昧になったりすることもあります。
その結果、判断が遅れてチャンスを逃したり、転職活動が長期化するリスクも高まります。
この問題を解決するためには、転職活動の初期段階で自分の譲れない条件や優先順位を明確に設定し、情報を整理するためのルールを決めておくことが重要です。
各転職エージェントからの情報を統一した基準で評価し、定期的に情報を整理して冷静な判断を心がけることで、情報過多による混乱を避けることができます。
登録する転職エージェントは何社が適切か
転職成功のためには、転職エージェントの登録数よりも質が重要です。
あまり数を増やしすぎると、管理が大変になり連絡の手間も増えてしまうため、自分が管理できる範囲内で最適な転職エージェントを見極めることが転職成功の鍵となります。
まずは複数の転職エージェントに登録して各社のサービス内容や担当者との相性を比較検討し、実際に利用してみて、最終的には自分に合うと感じた1〜2社に絞ることをおすすめします。
複数の転職エージェントを併用する際のポイント
以下に、複数の転職エージェントを併用する際の主なポイントをまとめました。
複数の転職エージェントを併用する際のポイント
転職エージェント併用の事実は担当者に正直に伝える
エージェント側もそれが一般的な行動であると理解しており、むしろオープンな姿勢を評価する傾向があります。
仮に隠していたことが後から発覚すると、信頼関係に悪影響を与える可能性があるため、初回面談の時点で正直に伝えることが大切です。
併用していることを伝える際は、「より効果的に転職活動を進めたいと思い、複数のエージェントを利用しています」といった前向きな表現で説明し、各エージェントに期待する役割を簡潔に伝えると良いでしょう。
正直に伝えることで、他社との競合を意識した質の高いサポートが期待できるほか、面接日程の調整や重複応募の防止といった実務面でもスムーズな対応が可能になります。
透明性を保つことで、最終的により良い転職活動を実現できるのです。
最終的には信頼できる1〜2社に絞り込む
これにより、一貫した方向性で選考に臨めるだけでなく、担当者との信頼関係を深めることで、より手厚いサポートや優先的な求人紹介を受けられるようになります。
絞り込みの判断基準として、下表のように求人の質や量、担当者との相性、業界知識の深さ、レスポンスの速さなどを総合的に評価することが大切です。
特に、自分の話をしっかりと聞いてくれる担当者や、具体的で実現可能なアドバイスをくれるエージェントを優先することで、納得のいく転職活動が進めやすくなります。
評価項目 | チェックポイント |
求人の質と量 | ? 希望する業界/職種の求人数 |
担当アドバイザーとの相性 | ? コミュニケーションの取りやすさ |
転職エージェントの専門性 | ? 希望業界への知識と実績 |
サポート内容の充実度 | ? 職務経歴書・履歴書の添削の質 |
企業情報の提供力 | ? 企業の内部情報の豊富さ |
実績と信頼性 | ? 転職成功実績の件数 |
対応の柔軟性 | ? 希望条件外の選択肢提案 |
アフターフォロー | ? 内定後のサポート |
各転職エージェントとの初回面談を経て企業に応募書類を提出しますが、書類選考の結果が出始めるのが1週間〜2週間程度のため、その間にエージェントとの相性やサービスの質を見極めることが重要です。
「総合型」と「特化型」の転職エージェントをバランスよく活用する
総合型転職エージェントは幅広い業界・職種の求人を保有しており、転職市場全体の動向把握や多様な選択肢の提示が得意です。
一方、特化型転職エージェントは特定の業界や職種に深い専門知識を持ち、その分野における詳細な企業情報や業界動向、専門的なキャリアアドバイスを提供できます。
両タイプを併用することで、総合型からは転職市場の全体像と豊富な求人選択肢を得られ、特化型からは志望業界の深い洞察と専門的なサポートを受けられます。
効果的な使い分けとしては、転職活動の初期段階では総合型で市場全体を把握し、方向性が固まってきたら特化型で専門的なアドバイスを求めるという流れが理想的です。
業界経験が豊富な方は特化型を中心に、未経験分野への転職を考える方は総合型を軸にするなど、自身の状況に応じてメインとする転職エージェントを変更することで、より効果的な転職活動を実現できます。
各転職エージェントとの進捗状況を適切に管理する
管理が不十分だと、面接日程の重複や連絡漏れ、さらには重複応募のリスクが高まり、転職活動全体の効率が大きく低下してしまいます。
これを防ぐには、ExcelやGoogleスプレッドシートなどをで応募状況を一覧表にまとめておくのが効果的です。
企業名、担当エージェント、応募日、選考段階、面接予定日、結果などを記録することで、全体の動きを把握しやすくなり、ミスを防げます。
正確な進捗管理は、信頼を保ち、転職活動をスムーズに進めるための土台となります。
企業名 | A社 | B社 | C社 | D社 |
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職種 | マーケティング部長 | 営業マネージャー | 事業企画 | マーケティング・企画 |
紹介元エージェント(担当者) | 〇〇社(田中) | △△社(佐藤) | ■■社(鈴木) | 〇〇社(田中) |
応募日 | 4/10 | 4/15 | 4/18 | 4/5 |
選考状況 | 一次面接通過 | 書類選考中 | 応募検討中 | 一次面接不合格 |
次回面接日 | 4/28 役員面接 | - | - | - |
給与・条件 | 900万円 フレックス |
800万円 リモート可 |
850万円 土日休 |
780万円 |
志望度 | 第1候補 | 第2候補 | 検討中 | - |
メモ・備考 | ・面接対策要 ・企業調査済 |
・問い合わせ予定 ・4/30までに連絡 |
・第一志望 ・応募書類準備中 |
・経験不足が理由 ・フィードバックあり |
さらに、週に一度は進捗状況を見直し、各エージェントに現在の状況を報告することで、担当者との連携もスムーズになり、より質の高いサポートを受けることができます。
情報の取捨選択を計画的に行う
これができていないと、良い求人を見逃したり、判断がぶれて転職活動が長引く原因になります。
効果的な情報選択のためには、転職活動の初期段階で自分の軸を明確に設定することがポイントです。
具体的には、希望する業界・職種、年収の最低ライン、勤務地、働き方などの譲れない条件を優先順位付きで整理し、すべての情報をこの基準で評価する仕組みを作ります。
もしエージェントごとに異なるアドバイスを受けた場合は、自分の軸に照らして判断し、どちらが自分の価値観により合致するかを冷静に判断します。
また、業界の動向や企業情報については複数の情報源で裏付けを取り、客観的なデータを重視することで、感情的な判断を避けて合理的な選択ができるようになります。
複数の転職エージェントを探して理想の転職を実現しよう
多様な求人情報へのアクセスと質の高いサポートを受けることで、理想の転職先に出会える可能性が向上します。
ただし、スケジュール管理や情報整理を計画的に行い、最終的には信頼できる1〜2社に絞り込むことが重要です。
総合型と特化型をバランスよく活用し、透明性を保ちながら戦略的に転職活動を進めることで、あなたの満足度の高い転職を実現しましょう。
複数の転職エージェントを選ぶ際は、実際の利用者による評価や満足度を参考にすることが重要です。
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監修者日向 妃香
人事コンサルタントの経験を基盤に、人事・採用領域の専門家として10年以上の執筆経験を持つ。
累計100社以上の人事担当者の取材で培った取材力、豊富な専門知識を活かし、採用データや経営視点も交えた分かりやすい解説を提供。
著名メディアにも寄稿実績を持ち、読者の疑問に応える記事作りを得意とする。