公開日：2025-07-30

転職エージェントの裏事情｜手厚いサポートを受けるためのポイントも解説

転職を考えたとき、多くの人が利用を検討するのが転職エージェントです。求人紹介から書類添削、面接対策まで無料で手厚いサポートが受けられる一方で、「なぜ無料なの？」「何か裏事情があるのでは？」と不安や疑問を抱く方も少なくないでしょう。

この記事では、そんな転職エージェントの「裏事情」について、ビジネスモデルからエージェントのノルマ、求職者との関係性まで、プロの視点から詳しく解説します。

この記事を読めば、転職エージェントの仕組みを正しく理解し、不安を解消できるだけでなく、彼らのサポートを最大限に活用して、満足のいく転職を実現するための具体的な戦略を知ることができるでしょう。

監修者日向妃香

人事コンサルタントとしての経験を基に、人事・採用分野で10年以上執筆。累計100社以上の人事担当者を取材し、専門知識と取材力を活かした分かりやすい解説が強み。著名メディアへの寄稿実績もあり、読者の疑問に応える記事作りを得意とする。

【監修者プロフィール】

転職エージェントの裏事情
転職エージェント利用時の注意点と対処法
1. 希望と異なる求人を紹介されるときの対応
2. エージェントの質が低いときの対応
転職エージェントを最大限活用するための戦略
信頼できる転職エージェントの選び方
1. 良い転職エージェントを見極めるポイント
2. 転職エージェントの口コミ・評判の活用方法
良い転職エージェントを選ぶならおすすめランキングをチェック

転職エージェントの裏事情

転職エージェントのサービスがなぜ無料で提供されるのか、その裏には特有のビジネスモデルが存在します。

転職エージェントは、求職者ではなく、人材を採用する企業から報酬を得ることで成り立っています。この収益構造が、エージェントの行動や求職者へのサポートの質にどう影響するのか、客観的に見ていきましょう。

転職エージェントが無料である理由

転職エージェントが求職者から費用を受け取らずに運営できるのは、成功報酬型のビジネスモデルを採用しているためです。

具体的には、転職エージェントを通じて求職者が企業に入社が決まった際に、その企業から紹介手数料という形で報酬を受け取ります。これが、転職エージェントの主な収益源です。

この成功報酬の相場は、転職者の理論年収の約30～35%とされています。報酬が支払われるタイミングは、求職者が実際に入社した月、またはその翌月が一般的です。この仕組みがあるため、求職者は質の高い転職サポートを無料で受けられるのです。

エージェントに課せられるノルマの実態

転職エージェントで働くエージェントには、多くの場合、月々の目標やノルマが課せられています。

これは主に、担当した求職者の「転職成功件数」や、企業から得られる「紹介手数料の総額」で設定されています。目標を達成すれば評価やインセンティブに繋がり、未達成が続けばその逆も然りです。

このような背景から、エージェントは一人でも多くの求職者を転職成功に導こうと努めます。

しかし、近年では、無理に転職を勧めることのリスクも認識されています。強引な紹介で入社した求職者がすぐに離職してしまえば、転職エージェントは企業からの信頼を失い、報酬の返金が発生することもあるからです。

また、SNSの普及により、悪い評判は瞬く間に拡散されるため、以前に比べて過度な転職の推奨は減少傾向にあります。

転職エージェントと求職者の関係性

転職エージェントは、限られたリソースの中で多くの求職者をサポートしているため、残念ながら全ての求職者に対して常に均等で手厚いサービスを提供できるわけではありません。

エージェントは、転職成功の可能性が高いと判断した求職者に、より多くの時間と労力を割かざるを得ないのが実情です。

そのため、求職者側もサービスをただ受け身で待つのではなく、転職エージェントと良好な関係を築き、自ら積極的に情報を発信していく心構えが重要になります。

転職可能性が高い人ほどサポートが手厚くなる理由

転職エージェントのサポートが、転職の可能性が高い求職者に手厚くなるのは、彼らのビジネスモデルに起因します。

キャリアやスキルが豊富で、企業から内定を得やすい求職者や、転職意欲が高く早期の入社が見込める求職者は、転職エージェントにとって成果に直結しやすいため、必然的にサポートの優先順位が高くなります。

もし、エージェントからのサポートが手薄いと感じた場合は、転職可能性が低いと判断されている可能性があります。

その際は、職務経歴書の内容を見直してアピールポイントを強化したり、「すぐにでも転職したい」という熱意を改めて伝えたりすることが、状況を改善するきっかけになるかもしれません。

転職を急かされるケースと背景にある事情

転職エージェントから応募や入社を急かされる背景には、エージェントに課せられた「紹介手数料」や「転職人数」の目標が大きく影響しています。目標達成のために、求職者の意思とは裏腹に、選考プロセスを早く進めようとするケースが見られます。

しかし、前述の通り、無理な転職は転職エージェントにとってもリスクを伴います。短期離職は企業の信頼を損ない、評判の低下にも繋がるため、良識のある転職エージェントであれば、求職者のキャリアを長期的な視点で考えるはずです。

特に最近はSNSでの情報拡散が速いため、強引に応募や内定承諾を勧める転職エージェントは減ってきています。

転職エージェント利用時の注意点と対処法

転職エージェントを有効活用するためには、ただサービスを受けるだけでなく、求職者自身が主体的に関わることが不可欠です。

利用中に起こりがちな問題点をあらかじめ理解し、適切な対処法を理解しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズに転職活動を進めることができます。ここでは具体的な注意点と、その対処法について解説します。

希望と異なる求人を紹介されるときの対応

転職エージェントから自分の希望とは異なる求人を紹介されることは、決して珍しいことではありません。これには、いくつかの理由が考えられます。

・担当者のノルマ達成のため：エージェントが自身の目標達成を優先し、手当たり次第に求人を紹介しているケースです。

・可能性を広げるための提案：求職者自身が気づいていないキャリアの可能性を広げるために、あえて希望とは違う業界や職種を提案しているケースもあります。

・希望条件とのミスマッチ：求職者の経歴やスキルと、希望する求人の条件が大きく乖離している場合に、現実的な選択肢として別の求人を提案されることがあります。

希望と違う求人を紹介されて不満に思う前に、まずは「なぜこの求人を紹介してくださったのですか？」と、その理由を尋ねてみることが大切です。

担当者の意図を理解することで、新たな発見があるかもしれませんし、もし納得できなければ、改めて自分の希望を明確に伝える良い機会にもなります。

自分の条件を明確に伝える重要性

転職エージェントから自分に合った適切な求人を紹介してもらうためには、自身の希望条件を具体的かつ明確に伝えることが重要です。

希望する業界、職種、年収、勤務地、勤務時間、企業文化など、譲れない条件と、ある程度妥協できる条件を整理し、優先順位をつけて伝えましょう。

たとえば、「IT業界での営業職を希望しており、年収は〇〇円以上、勤務地は都内を希望します。リモートワークが可能であれば尚良いです」といったように、具体的に伝えることで、エージェントは求人を探しやすくなります。

逆に、希望が曖昧だと、的外れな求人を紹介される原因になりかねません。

求人紹介を断られる可能性のある状況

転職エージェントに登録したものの、求人紹介を断られてしまうケースもあります。その主な理由としては、登録した転職エージェントが、求職者が希望する業界や職種に特化しておらず、紹介できる求人を取り扱っていない場合が挙げられます。

また、これまでの経歴やスキルが、希望する求人の応募条件と大きく異なっている場合も、ミスマッチと判断され、サポートを断られることがあります。

もし求人紹介を断られてしまった場合は、その理由を正直に確認してみましょう。その上で、別の転職エージェントに登録したり、希望条件を見直したりするなど、次の行動に繋げることが大切です。

エージェントの質が低いときの対応

転職活動の成否は、担当となるエージェントの質に大きく左右されると言っても過言ではありません。もし、担当者の知識が乏しかったり、対応に誠実さが感じられなかったりした場合には、我慢せずに適切な対応を取ることが重要です。

経験やスキルによるサポート内容の違い

転職エージェントには、経験豊富なベテランから、まだ経験の浅い新人まで、さまざまなエージェントが在籍しています。そのため、担当者の経験やスキル、得意な業界によって、提供されるサポートの質に差が生じるのは事実です。

ベテランは業界知識や交渉力に長けていることが多い一方、経験が浅くても、熱心に情報収集し、素晴らしい提案をしてくれるエージェントもいます。

大切なのは、担当者の経験年数だけで判断するのではなく、実際の対応や提案内容が自分にとって有益かどうかを見極めることです。

担当者が合わないと感じたときの変更方法

担当のエージェントと「相性が合わない」と感じた場合は、遠慮なく担当者の変更を申し出ましょう。多くの転職エージェントでは、担当者の変更に対応してくれます。

その際は、感情的になるのではなく、具体的な理由を添えて丁寧に依頼することがポイントです。

「担当の〇〇様のご意見と私の意見にズレがあるように感じます。もし可能であれば、他の担当者の方のご意見も伺ってみたいです」といったように伝えると、スムーズに受け入れてもらいやすいでしょう。

転職エージェントを最大限活用するための戦略

転職エージェントのサービスを最大限に引き出し、転職活動を成功に導くためには、受け身の姿勢ではなく、求職者側から主体的に働きかける戦略的なアプローチが欠かせません。

他の求職者と差をつけ、手厚いサポートを受けるための具体的な方法を理解し、実践していきましょう。

複数の転職エージェントを利用する

転職活動を有利に進めるためには、複数の転職エージェントに登録することが効果的です。なぜなら、転職エージェントごとに得意な業界や職種、保有している求人情報が異なるためです。

複数の転職エージェントを利用することで、より多くの求人にアクセスでき、選択肢を広げることができます。

また、複数のエージェントと面談することで、多角的な視点から自分のキャリアを見つめ直す良い機会にもなります。まずは2～4社程度を目安に登録し、それぞれの特徴を比較しながら、自分に最も合った転職エージェントを見極めていくのがおすすめです。

スカウトメールを活用して有益な情報を得る

転職サイトや転職エージェントの中には、登録するとスカウトメールを受け取れるサービスもあります。これらのスカウトメールの中には、残念ながらシステムで自動送信されているものも少なくありません。

これは、専門業者が送信数を目標に大量配信しているケースや、企業の採用担当者・スカウト送付代行担当者が、スカウトメールの有効期限内の消費を目的に手当たり次第送っている場合などがあるためです。

しかし、中にはあなたの経歴やスキルをしっかりと読んだ上で送られてくる、価値の高いスカウトメールも存在します。そのようなメールは、自分の市場価値を客観的に知る良い機会になります。

メールの文面に、自分の経歴やスキルについて具体的に言及されているかどうかを確認し、有益な情報だけを選別して活用するようにしましょう。

転職エージェントと継続的にコミュニケーションをとる

エージェントとの良好な関係を築き、手厚いサポートを受けるためには、継続的なコミュニケーションが不可欠です。

連絡はこまめに行い、提出物は期限内に提出するなど、社会人としての基本的なマナーを守ることで、「この人をサポートしたい」と思わせることが重要です。

転職活動の進捗状況や、考えの変化などを主体的に報告することで、エージェントも求職者の状況を把握しやすくなり、より的確なサポートを提供できるようになります。

情報収集だけでなく、自己PRの場としても、コミュニケーションを積極的に活用しましょう。

転職意欲の高さを適切に伝える方法

エージェントに「この人は本気で転職する気がある」と認識してもらうことは、手厚いサポートを引き出す上で非常に重要です。

なぜなら、求職者の転職成功は彼らの成果に直結しているため、転職意欲の高い人を優先的にサポートするのは自然なことだからです。

面談の際には、「なぜ転職したいのか」「どのような企業で、どんな働き方を実現したいのか」といった点を具体的に、そして熱意を持って伝えましょう。レスポンスを早くする、約束を守るといった基本的な行動も、あなたの真剣度を示す上で効果的です。

年収交渉や入社条件の相談タイミング

年収や勤務条件などの交渉は、自分で行うには気を遣うものです。転職エージェントを利用する大きなメリットの一つが、こうしたデリケートな条件交渉を代行してくれる点にあります。

ただし、企業が提示する年収は、あなたの経験やスキルを総合的に判断した上で算出されているため、大幅なアップは難しいのが現実です。交渉を依頼する最適なタイミングは、内定が出た後です。

内定承諾の意思を伝える前に、エージェントに相談し、どの程度の交渉が可能か、現実的な落としどころを探ってもらいましょう。

信頼できる転職エージェントの選び方

転職活動の成功は、どの転職エージェントをパートナーに選ぶかに大きく左右されます。数あるサービスの中から、自分にとって本当に信頼できる転職エージェントを見極めるためには、主観的な相性だけでなく、客観的な指標に基づいた判断が重要になります。

ここでは、後悔しない転職エージェント選びのための具体的なポイントを解説します。

良い転職エージェントを見極めるポイント

質の高い転職エージェントを見極めるためには、いくつかの重要なポイントがあります。これらを意識することで、転職活動を力強くサポートしてくれるパートナーを見つけることができるでしょう。

自分が求める求人が充実しているか

まず最も重要なのは、自分が希望する業界や職種の求人を豊富に取り扱っているかどうかです。どんなに評判の良い転職エージェントでも、自分の希望に合う求人がなければ、選択肢は狭まってしまうでしょう。

面談の際には、自分の希望を明確に伝えた上で、「私の希望に合う求人は、どのくらいありますか？」と具体的に質問してみましょう。

自分がターゲット層に含まれているか

転職エージェントには、それぞれ得意とするターゲット層があります。

たとえば、「20代の若手向け」「ハイクラス層向け」「特定の業界に特化」など、さまざまです。自分の年齢や経歴、希望するキャリアが、その転職エージェントのターゲット層と合っているかを見極めることが重要です。

ターゲットから外れていると、十分なサポートを受けられなかったり、紹介される求人が少なかったりする可能性があります。

転職エージェントの口コミ・評判の活用方法

転職エージェントを選ぶ際には、実際に利用した人の口コミや評判を参考にすることが有効です。Google検索やX（旧Twitter）などのSNSでサービス名を検索し、どのような声が寄せられているかをチェックしてみましょう。

その際、良い評判だけでなく、悪い評判にも目を通し、双方をバランス良く参考にすることが大切です。また、情報は常に新しくなるため、数年前の古い口コミよりも、できるだけ直近の評価を重視するようにしましょう。

これにより、サービスの現状をより正確に把握し、自分に合った転職エージェントを見つける可能性を高めることができます。

良い転職エージェントを選ぶならおすすめランキングをチェック

本記事では、転職エージェントの裏事情から、それを踏まえた上での賢い活用法、そして信頼できるエージェントの選び方までを詳しく解説してきました。

転職エージェントは、企業からの成功報酬で成り立っているため、求職者は無料で手厚いサポートを受けられます。しかし、そのビジネスモデルゆえに、エージェントには営業目標が存在し、時として求職者の意向とは異なる対応が生まれる可能性もゼロではありません。

大切なのは、こうした裏事情を正しく理解し、受け身になるのではなく、自らの転職活動の主導権を握ることです。希望条件を明確に伝え、複数の転職エージェントを比較検討し、担当者と積極的にコミュニケーションを取ることで、彼らのサポートを最大限に引き出すことができます。

どの転職エージェントを選べば良いか迷った際には、オリコン顧客満足度転職エージェントランキングを参考にすることをおすすめします。実際にサービスを利用したユーザーの生の声は、自分にとって最適なパートナーを見つけるための、信頼できる道しるべとなるでしょう。