【月収・年収】手取りの計算方法|額面との違いを早見表で確認、社会保険料も解説
この記事では、給与の手取り額について、計算式や注意すべきポイントを解説します。

監修者寺島有紀
一橋大学商学部卒業後楽天株式会社に入社。国内・海外子会社の社内規程管理、内部統制業務や社内コンプライアンス教育等に従事。社労士事務所勤務を経て現在はスタートアップから上場企業まで幅広く労務顧問、労務コンプライアンス整備、海外進出労務体制構築等人事労務コンサルティングを行っている。
目次
手取りと額面の違い|給与明細の見方
手取りとは?実際に受け取れる金額
つまり、額面給与が30万円だったら、手取りは22万5,000円〜25万5,000円程度ということです。ただし、税金・社会保険料の制度は年単位で変わっているためいつ給与を受け取るかによっても異なるうえに、家族構成によっても左右されます。あくまで目安程度に考えておきましょう。
額面(総支給額)とは?税金・保険料控除前の金額
基本給 | 給与の基本となる金額 |
時間外手当(残業手当) | 法定(場合により所定)労働時間を超えて働いた場合に支給される手当 |
通勤手当(交通費) | 通勤にかかる費用を補助するための手当 |
資格手当 | 会社が定めた資格を保有している場合に支給される手当 |
役職手当 | 管理職などの役職者に対して支給される手当 |
家族手当 | 扶養家族がいる社員に対して支給される手当 |
住宅手当 | 家賃補助や住宅ローンなどの住宅費補助を目的とした手当 |
業績手当・インセンティブ | 業績に応じて支給される変動給部分 |
手取り額を計算する方法|計算式とシミュレーション
ここでは、額面から手取り額を計算する方法について、計算式や簡単なシミュレーションも交えながら解説します。
手取り計算の基本的な考え方と簡易計算式
詳細な手取り計算方法と控除項目の計算例
健康保険料
標準報酬月額 × 健康保険料率 ÷ 2
概要と特徴
・病気やケガの医療費、出産手当金などの原資
・料率は保険者(健康保険組合や協会けんぽ)や都道府県によって異なる
・事業主と被保険者で折半(各50%負担)
厚生年金保険料
標準報酬月額 × 厚生年金保険料率(18.3%) ÷ 2
概要と特徴
・老後の年金受給のための積立
・2025年3月時点の料率は18.3%(労使折半で9.15%ずつ負担)
・標準報酬月額の上限は65万円
雇用保険料
総支給額(賞与含む) × 雇用保険料率
概要と特徴
・失業給付や教育訓練給付金などの原資
・一般企業の場合、労働者負担率は0.55%程度(2025年4月1日から)
・業種により料率が異なる(農林水産・清酒製造の場合0.65%、建設業の場合0.65%程度、いずれも2025年4月1日から)
介護保険料(40歳以上)
標準報酬月額 × 介護保険料率 ÷ 2
概要と特徴
・40歳以上65歳未満の第2号被保険者が対象
・健康保険と一体で徴収される
・料率は保険者(健康保険組合や協会けんぽ)によって異なる
※参考:協会けんぽ(東京)2025年3月分以降の料率
・健康保険料率:9.91%
・介護保険料率:1.59%
所得税
源泉徴収税額表に当てはめて算出された金額
概要と特徴
・額面(通勤費など一定のものを除く)から社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料)を引いた金額を源泉徴収税額表に当てはめて算出される金額が控除される
・毎月給与から天引きされ、年末調整で精算される
住民税
前年の課税所得 × 税率(10%) − 税額控除額 + 均等割額を月割りした金額
概要と特徴
・都道府県民税と市区町村民税の合計
・前年の所得に基づいて計算され、翌年6月から翌々年5月まで徴収
・税率は一律10%(都道府県民税4%、市区町村民税6%)
・均等割額は年間約5,000円程度(地域により異なる)
月収・年収別の手取り早見表
ただし、手取り額は概算値であり、個人の状況によっても変動するため、あくまで参考値程度として捉えてください。また、各表の数値は2025年3月時点での税制・保険料率に基づいて計算しています。
月収別の手取り額早見表(18万円〜100万円)
月収(額面) | 手取り額(概算) |
18万円 | 13万5,000円〜15万3,000円 |
19万円 | 14万2,500円〜16万1,500円 |
20万円 | 15万円〜17万円 |
21万円 | 15万7,500円〜17万8,500円 |
22万円 | 16万5,000円〜18万7,000円 |
23万円 | 17万2,500円〜19万5,500円 |
24万円 | 18万円〜20万4,000円 |
25万円 | 18万7,500円〜21万2,500円 |
26万円 | 19万5,000円〜22万1,000円 |
27万円 | 20万2,500円〜22万9,500円 |
28万円 | 21万円〜23万8,000円 |
29万円 | 21万7,500円〜24万6,500円 |
30万円 | 22万5,000円〜25万5,000円 |
31万円 | 23万2,500円〜26万3,500円 |
32万円 | 24万円〜27万2,000円 |
33万円 | 24万7,500円〜28万500円 |
34万円 | 25万5,000円〜28万9,000円 |
35万円 | 26万2,500円〜29万7,500円 |
36万円 | 27万円〜30万6,000円 |
37万円 | 27万7,500円〜31万4,500円 |
38万円 | 28万5,000円〜32万3,000円 |
39万円 | 29万2,500円〜33万1,500円 |
40万円 | 30万円〜34万円 |
41万円 | 30万7,500円〜34万8,500円 |
42万円 | 31万5,000円〜35万7,000円 |
43万円 | 32万2,500円〜36万5,500円 |
44万円 | 33万円〜37万4,000円 |
45万円 | 33万7,500円〜38万2,500円 |
46万円 | 34万5,000円〜39万1,000円 |
47万円 | 35万2,500円〜39万9,500円 |
48万円 | 36万円〜40万8,000円 |
49万円 | 36万7,500円〜41万6,500円 |
50万円 | 37万5,000円〜42万5,000円 |
55万円 | 41万2,500円〜46万7,500円 |
60万円 | 45万円〜51万円 |
65万円 | 48万7,500円〜55万2,500円 |
70万円 | 52万5,000円〜59万5,000円 |
75万円 | 56万2,500円〜63万7,500円 |
80万円 | 60万円〜68万円 |
85万円 | 63万7,500円〜72万2,500円 |
90万円 | 67万5,000円〜76万5,000円 |
95万円 | 71万2,500円〜80万7,500円 |
100万円 | 75万円〜85万円 |
※ 表内では、手取り率(手取り÷月収)を「0.75〜0.85」と仮定したうえで、手取り額を計算しています。
年収別の手取り額早見表(200万円〜3,000万円)
年収(概算) | 年間手取り額(概算) | 月間手取り額(概算) |
200万円 | 150〜170万円 | 12.5〜14.1万円 |
250万円 | 187〜212万円 | 15.6〜17.7万円 |
300万円 | 225〜255万円 | 18.7〜21.2万円 |
350万円 | 262〜297万円 | 21.8〜24.7万円 |
400万円 | 300〜340万円 | 25〜28.3万円 |
450万円 | 337〜382万円 | 28.1〜31.8万円 |
500万円 | 375〜425万円 | 31.2〜35.4万円 |
550万円 | 412〜467万円 | 34.3〜38.9万円 |
600万円 | 450〜510万円 | 37.5〜42.5万円 |
650万円 | 487〜552万円 | 40.6〜46万円 |
700万円 | 525〜595万円 | 43.7〜49.5万円 |
750万円 | 562〜637万円 | 46.8〜53.1万円 |
800万円 | 600〜680万円 | 50〜56.6万円 |
850万円 | 637〜722万円 | 53.1〜60.2万円 |
900万円 | 675〜765万円 | 56.2〜63.7万円 |
950万円 | 712〜807万円 | 59.3〜67.2万円 |
1,000万円 | 750〜850万円 | 62.5〜70.8万円 |
1,100万円 | 825〜935万円 | 68.7〜77.9万円 |
1,200万円 | 900〜1,020万円 | 75〜85万円 |
1,300万円 | 975〜1,105万円 | 81.2〜92万円 |
1,400万円 | 1,050〜1,190万円 | 87.5〜99.1万円 |
1,500万円 | 1,125〜1,275万円 | 93.7〜106.2万円 |
2,000万円 | 1,500〜1,700万円 | 125〜141.6万円 |
3,000万円 | 2,250〜2,550万円 | 187.5〜212.5万円 |
※ 表内では、手取り率(手取り÷月収)を「0.75〜0.85」と仮定したうえで、手取り額を計算しています。
課税所得 | 税率 | 控除額 |
〜195万円未満 | 5% | 0 |
195万円以上〜330万円未満 | 10% | 9.75万円 |
330万円以上〜695万円未満 | 20% | 42.75万円 |
695万円以上〜900万円未満 | 23% | 63.6万円 |
900万円以上〜1,800万円未満 | 33% | 153.6万円 |
1,800万円以上〜4,000万円未満 | 40% | 279.6万円 |
4,000万円以上 | 45% | 479.6万円 |
ボーナスを含めた手取り計算のポイント
ボーナス時の税金・社会保険料の計算方法
・所得税
・健康保険料
・介護保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料
また、ボーナスから差し引かれる所得税=源泉所得税は「源泉所得税=(賞与の支給額−社会保険料の額)× 源泉徴収税率」という式で計算します。ここで注意すべきなのは「源泉徴収税率」です。これは、ボーナスが支給される月の前の月における社会保険料控除後の給与額と、対象となる従業員が扶養している人数により決まります。実際は、国税庁が公開している「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使って求めることが可能です。
そのため、ボーナスの金額が同じであっても、前月の給与額と家族構成次第で差し引かれる税金が大幅に異なる仕組みです。当初の予想以上に手取り額が減る可能性もあるため、計画的な資金管理を心掛けましょう。以下の点にも注意するとさらに効果的です。
・ボーナス支給時期に合わせて「扶養控除等申告書」を見直す
・年末のボーナスであれば、年末調整への影響を考慮して生命保険料や寄付などの控除対象支出のタイミングを調整する
・ボーナス支給月は手取り額が大きく変動するため、臨時的な支出や貯蓄に計画的に充てる
月給とボーナスを考慮した年間手取り額の計算
正確な金額については社会保険労務士などの専門家に確認する必要がありますが、まずはボーナス込みでの計算ができる手取り金額計算ツールを使い、大まかな傾向を把握しておきましょう。
手取り額に影響する要素と注意点
配偶者控除・扶養控除による手取りへの影響
配偶者控除では、38万円を所得から控除できますが、配偶者の年収が103万円以下(収入が給与のみの場合)でないと利用できません。ただし、配偶者の年収が103万円超〜201万円以下(収入が給与のみの場合)であれば配偶者特別控除として、年収に応じた控除が受けられます。しかし、201万円を超えた場合は配偶者控除・配偶者特別控除のいずれも受けられません。
また、16歳以上の子どもを育てている場合は、一定の条件を満たせば扶養控除が受けられます。
区分 | 年齢 | 控除額 |
一般の控除対象扶養親族 | その年12月31日現在の年齢が16歳以上など所定の条件を満たす | 38万円 |
特定扶養親族 | その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満など所定の条件を満たす | 63万円 |
新社会人・転職時の手取り額変動の注意点
また、転職時は現在の職場と新しい職場で社会保険の切り替えをしなくてはいけません。そのため、現在の職場の社会保険を脱退し、新しい職場で社会保険に入り直すというプロセスを踏みます。その際、脱退する(つまり、退職する)タイミングによっても給与の手取り額に大きく影響する点に注意しなくてはいけません。
社会保険料について、今月分の社会保険料を翌月の給与から差し引く形で従業員から徴収していた場合、5月分の社会保険料は本来、6月の給与から差し引くはずです。
また、勤務先を退職する際の保険料は「被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月まで徴収する」決まりとなっています。例えば、給与の締日が当月末日、給与の支払日が当月20日である場合で、5月31日に退職するときは、被保険者の資格を喪失するのは退職日の翌日である6月1日になります。この場合、5月に支払われる給与から4月分の社会保険料が差し引かれるとともに、5月分の社会保険料も払わなくてはいけません。
一方、退職日が5月30日であれば、被保険者の資格を喪失するのは退職日の翌日である5月31日になります。この場合、4月分までの社会保険料を払えば良いため、その分給与でもらう手取り額は多くなるかもしれません。ただし、実際には計算してみないとわからない部分もあるため、事前に勤務先の担当者に確認してみましょう。
なお、当月分の社会保険料を当月の給与から徴収する形で運用していた場合は、最後の月で2ヵ月分徴収されることはありません。いずれにしても、退職するタイミング次第で手取り額が大きく変動する可能性があるため、その点を踏まえてスケジュールを立てましょう。
手取り額を正しく把握して転職活動を進めよう
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監修者寺島有紀
一橋大学商学部卒業後楽天株式会社に入社。国内・海外子会社の社内規程管理、内部統制業務や社内コンプライアンス教育等に従事。社労士事務所勤務を経て現在はスタートアップから上場企業まで幅広く労務顧問、労務コンプライアンス整備、海外進出労務体制構築等人事労務コンサルティングを行っている。
著書に「意外にしらない?!最新働き方のルールブック(アニモ出版)」等多数
■寺島戦略社会保険労務士事務所
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