看護師から他職種への転職|看護師以外で資格を活かせるオススメの仕事20選
本記事では、看護師から他職種への転職を考えている方に向けて、看護師資格を活かせる仕事12選、医療業界以外でおすすめの仕事8選を詳しく紹介します。
それぞれの職種の特徴や働き方、必要なスキルのほか、転職するメリット・デメリット、成功させるポイントなども解説します。
目次
看護師が他職種への転職を考える理由
マイナビによると、現役看護師の41.2%が「看護職に限らず興味がある仕事をやりたい」と回答し、さらに6.3%が「看護職以外の仕事をやりたい」と答えています。
また、公益社団法人日本看護協会が2024年に発表した「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」によると、看護職として就業中の求職者が考える転職したい理由(複数回答)として、最も多かったのが「看護職の他の職場への興味(14.5%)」でした。
次いで「子育て(10.7%)」、「転居(8.4%)」、「結婚(8.0%)」、「勤務時間が長い・超過勤務が多い(7.6%)」「自分の健康(主に身体的理由)(7.4%)」の順となっています。
これらの数字からも、多くの看護師がさまざまな理由でキャリアの再考をしていることがわかります。
参考:マイナビ『看護師白書 年度版』(外部リンク)
参考:公益社団法人日本看護協会|「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」(外部リンク)
他職種への興味
しかも、看護師は慢性的な人材不足の職種であり、経験者は優遇される傾向があります。そのため、一般企業など別の仕事に挑戦した後で「やはり合わない」と感じても、看護師として職場に戻ることが可能です。
このように、看護師の経験は「保険」として機能するため、看護師は他の仕事にチャレンジしやすい環境にあるといえます。看護師としての経験は貴重で、多様なキャリアを模索する際に柔軟性と自信を与えてくれるのです。
体力的・精神的な負担の大きさ
さらに医療知識を増やすための自己研鑽の時間も必要とされるため、リフレッシュする時間が短く、疲労が蓄積しやすい環境にあります。
また、患者とのコミュニケーションや観察が主な業務である一方、急変時には迅速かつ適切な対応が求められます。この身体的・精神的負担は体調不良につながりやすく、生活リズムの乱れによる不眠や生理不順などの症状に悩まされる看護師も少なくありません。
ワークライフバランスを重視
そうした理由から、ライフステージの変化、特に結婚や出産を機に、より規則的な生活を送れる職種への転職を考える看護師は少なくありません。
「仕事も大切だけど、家族との時間も大切にしたい」という価値観から、プライベートとの両立がしやすい職種を求める傾向が強まっています。
このようなワークライフバランスを重視する考え方が、他職種への転職を検討する大きな要因となっているのです。
看護師以外の仕事の選び方
まずは、看護師としての経験やスキルを活かせる職種を検討しましょう。
医療知識やコミュニケーション能力は多くの職場で求められる貴重な資質です。たとえば、医療関連企業での営業職や企業内看護師などは、これまでの経験を直接活かせる道となります。
また、全く新しい分野にチャレンジしたい場合は、「未経験者歓迎」の求人を探すことも有効です。
一般事務や販売職などは比較的参入しやすい傾向にあります。さらに、介護職や養護教諭など別の資格取得を目指す方法もあります。これにより専門性が広がり、キャリアの幅を拡げられるでしょう。
後悔のない転職を実現するには、「何を重視するか」という自分なりの軸を明確にしておくことが成功への鍵となります。
看護師資格を活かせる仕事12選
ここでは、看護師から転職がスムーズに行える可能性が高い12の職種を紹介します。
夜勤の有無やワークライフバランス、収入面など、それぞれの特徴を解説していくので、自分の希望や状況に合った転職先選びの参考にしてください。
企業看護師・産業保健師
社内の医務室などに常駐し、メンタルヘルスケアの提供、健康診断の運営サポート、予防接種の実施調整など、社員の健康を守るための幅広い業務に携わります。
また、産業保健師は、企業や工場などの職場で働く従業員の健康管理と保健指導を行う専門職です。
従業員の健康を維持・向上させるために必要な措置を講じ、職場の健康問題に対処します。産業保健師になるには、看護師資格だけでなく保健師資格も必要になりますが、一般企業で働くためワークライフバランスを取りやすく、休日をコントロールしやすい点が魅力です。
規則正しい生活リズムを保ちたい方や、病院の慌ただしい環境から離れたい方に適している職種と言えるでしょう。
治験コーディネーター(CRC)
治験に関わる医療機関、被験者の方々、製薬企業などの間に立ち、連絡や調整役を担い、全体の進行をサポートします。この役割を果たすためには、高いコミュニケーション能力や関係各所との調整力、医薬品に関する知識が求められます。
新しい治療薬の開発に携わることで、医療の発展に貢献できるという、意義深いやりがいを感じられるでしょう。
医療機器メーカーの営業職(MR)
医療者への情報提供や現場の声の収集・報告を行うため、薬に関する専門知識が欠かせません。そこで、看護師経験で得た疾患・薬剤の知識や患者への対応力は、MR業務の助けになります。
ただし、医師への営業活動では、薬や副作用に関するより深い知識も求められるでしょう。継続的な学習は必要ですが、看護師の知識や対話力を活かして活躍するMRも少なくありません。
訪問看護師
コロナ禍での面会制限や、終末期をご自宅で過ごしたいというニーズの高まりから在宅医療を選択する方が増え、訪問看護師の役割はますます重要になっています。
一人ひとりに丁寧に関わりたいと考える看護師には、大きなやりがいを感じられるでしょう。
献血ルーム看護師
対象は治療中の患者さんではなく、血液を提供できる健康な方々のため、急変対応などの場面は少なく、精神的な負担は比較的軽いと言われています。
夜勤がなく、勤務時間が安定しているため、規則的な生活リズムを保ちやすいでしょう。年間休日も多く確保されている場合が多く、ワークライフバランスを重視したい方にとって魅力的な環境です。
献血の意義を理解し、健康なドナーの方と穏やかに接することができる看護師に向いています。
病児保育士
病状のあるお子さんをケアするため、看護師として培った観察力やアセスメントスキルを活かすことができます。
自身の医療知識を役立てつつ、子どもたちの回復や成長に寄り添える点に魅力を感じる方も多いでしょう。看護師の資格があるため保育士の資格は必須ではありませんが、持っていると選考で有利になる場合があります。
風邪などが流行る冬場は多忙になる傾向がありますが、一度に対応する子どもの人数は少ないため、身体的な負担は比較的軽いと言われています。
保健師・助産師
一方、助産師は、出産の介助を核としつつ、妊娠期から産後までの母子の健康管理、生活・栄養指導、新生児のお世話など、周産期全般をサポートする専門家です。
これらの職に就くには、看護師の資格を基に、さらにそれぞれの分野に特化した国家資格取得の必要があります。
助産師は夜勤や休日勤務など、病院の看護師に近い勤務体系が一般的ですが、将来的には自身の助産院を開業するなど、多様なキャリア展開が可能です。
ケアマネージャー
基本的に夜勤がなく、土日祝日も休めるためワークライフバランスを実現しやすい魅力があります。
ただし、業務範囲が広く業務時間外に呼び出されることもあるため注意が必要です。
養護教諭
公立学校に勤務する場合は地方公務員、私立・国立学校では学校法人に雇用されることになります。
どのケースにおいても、学校に勤務するのでワークライフバランスを取りやすい点が大きなメリットです。長期休暇も確保でき、夜勤もないため、規則正しい生活を送りたい方に向いています。
子どもの健康と成長を支える仕事に携わりたい方にとって、やりがいのある職種と言えるでしょう。
フィールドナース
臨床現場で得た知識やスキルを活かし、医療機関と企業をつなぐ橋渡し的な役割を果たします。主な業務は医療機関に対する自社製品のデモンストレーションや使用方法の説明などです。
勤務は基本的に平日が中心で、土日や祝日は休日となることが多いです。給与水準は病院に勤務する看護師よりも高いケースが見られますので、収入面でのメリットも期待できます。
医療ライター
看護師としての専門知識を活かして、健康情報サイトやメディカルノート、医療情報パンフレットなどの記事を執筆します。
フリーランスとして活動することも可能で、在宅勤務や時間の融通が利きやすいため、ワークライフバランスを重視する方に向いています。
シップナース
また、限られた医療設備の中で対応しなければならないため、臨機応変な判断力や緊急対応能力も求められます。
冒険心旺盛で新しい経験を求める方に適した職種と言えるでしょう。
医療業界以外でおすすめの仕事8選
医療の世界から少し離れて、新しい環境でキャリアを築きたいという方のために、看護師の経験を活かせる医療業界以外の仕事を紹介します。未経験から始める場合でも、これまでのスキルを上手にアピールすることで、スムーズな転職が可能となるでしょう。
一般事務職・総務
人気が高く倍率も高くなりがちですが、医療事務職であれば看護師経験をダイレクトに活かせるので、魅力的な選択肢となるでしょう。
営業職
営業といっても法人営業、個人営業、ルート営業、新規開拓などさまざまな形態があり、自身の働き方に合わせて最適な営業職を探せます。
未経験でも転職しやすく、看護師時代に培ったコミュニケーション能力や観察力を大いに活かせるでしょう。
近年では、IT業界や不動産業界などで営業成績次第で高水準の給与が得られる場合もあるため、積極的に収入を伸ばしたい方に向いています。
医療知識を活かせる医療機器メーカーなどの営業職も、キャリアチェンジの選択肢として考えられます。
販売職・接客業
また接客業は、ホテルや飲食店・受付など、お客様へのおもてなしやサービス提供を中心とする仕事です。
販売職・接客業のどちらにおいても、看護師として培ってきたコミュニケーション能力や相手を思いやる細やかな気配りは、大きな強みになるでしょう。
これらの分野は多様な雇用形態で働きやすく、未経験からでも比較的挑戦しやすいため、新しいキャリアを考えている方にも適しています。
美容関連職(エステティシャン・ネイリスト)
また、百貨店のカウンターなどで化粧品の販売やメイクアップのアドバイスをする美容部員も代表的な仕事です。
これらの職種で求められる専門的な施術スキル等は、就職後に習得するのが一般的ですが、看護業務で身につけた衛生管理の知識や丁寧な手技は、美容の現場でも直接活かせる場面が多いことから、お客様に安心感を提供できるという強みにつながるでしょう。
カスタマーサポート
看護師として培った傾聴力や問題解決能力、冷静な対応力は、この仕事で大いに活かせるでしょう。
特に医療機器メーカーや製薬会社、健康食品会社などのカスタマーサポート部門では、看護師の医療知識が強みになります。
近年ではリモートワークの導入も進んでおり、在宅で働ける可能性もあるため、家庭との両立を図りたい方にもおすすめです。
業務内容は比較的マニュアル化されていることが多く、未経験からでも始めやすい職種と言えます。
ホテルコンシェルジュ
レストランの予約から観光案内、交通手段の手配まで、幅広い業務を担当します。看護師として培った気配りやホスピタリティ、臨機応変な対応力は、コンシェルジュの仕事に直結するスキルです。
また、地域の観光情報や飲食店についての知識も必要となるでしょう。
客室乗務員・グランドスタッフ
いずれも高いホスピタリティとコミュニケーション能力が求められる仕事です。
医療知識を持つ乗務員は航空会社からみても、非常に貴重な人材と言えます。
保険外交員・ファイナンシャルプランナー
また、ファイナンシャルプランナーは顧客の資産状況や将来設計に合わせた金融商品の提案や資産運用のアドバイスを行います。
看護師としての医療や健康に関する知識は、特に医療保険や介護保険の提案において大きな強みです。
病気やケガのリスクを具体的に説明できたり、老後の健康問題を踏まえた生活設計を提案できたりするため、顧客からの信頼を得やすいでしょう。
看護師以外の職種に転職するメリット・デメリット
職場環境の改善や新たな可能性の発見といったメリットがある一方で、収入面での変化や専門性が活かせなくなるリスクなどのデメリットも考慮する必要があります。
自身の状況や優先したい価値観に照らし合わせながら、以下のポイントを参考にしてください。
メリット
日勤のみの仕事に転職すれば、生活リズムも整い、健康面での問題解決にもつながるでしょう。患者の命に関わる医療ミスなどのプレッシャーからも解放されるため、精神的な負担も軽減される点もメリットと言えるでしょう。
また、転職によって新たな経験や知識を身につけることが可能となりますし、煩わしい人間関係などがあった場合には、それも一旦リセットできますので、あらたな気持ちで働くことができるでしょう。
多くの場合、業務の負担と給与のバランスが改善され、「割に合った給料」を得られるようになることも期待できます。転職は新たな可能性への第一歩となるでしょう。
デメリット
看護師の給料は、夜勤や各種手当などもあり、一般的に高給と言えます。転職すると、そうした手当が少ない場合、額面も手取りも減ってしまう可能性があるのです。
また、職場によっては看護師ほどのやりがいを感じられず、仕事への情熱を失ってしまうリスクもあります。
さらに、比較的雇用が安定している看護師と違い、多くの職種は会社の業績や景気動向に待遇が左右されやすいこともデメリットとなります。
一度医療現場を離れると、その間に技術や知識は変化していくため、再び看護師に戻ることが難しくなる点も考慮すべきでしょう。
看護師が別の仕事への転職を成功させるポイント
希望する条件や目標の明確化、必要なスキルの習得、自分の強みの整理、そして効果的な転職活動の進め方など、準備を万全にすることで、理想の職場に出会える可能性が高まります。
それでは、転職を成功させるための具体的なポイントを見ていきましょう。
条件と目標を明確にする
給与や福利厚生といった待遇、職場のカルチャーなどを考慮に入れつつ、「なぜ転職したいのか」、「現在の職場のどこに不満があるのか」などを深く掘り下げ、希望する条件に優先順位を設定しましょう。
重視する点が定まっていないと、判断の軸がぶれてしまい、本当に自分に合った転職先選びが難しくなることがあります。逆に、転職を通じて何を達成したいかがクリアになっていれば、採用面接の場で自信を持って志望動機を説明できるでしょう。
動機が曖昧なままだと、転職先でも同じような課題に直面しかねないため、事前の自己分析は不可欠です。
PCスキル・ビジネスマナーを習得する
そのため、Wordでの文書作成、Excelを用いた集計やグラフ作成、PowerPointによるプレゼン資料作成など、Microsoft Office製品の基本操作は一通りできるようにしておくとよいでしょう。
資格として「Microsoft Office Specialist(MOS)」を取得していれば、スキルの具体的な証明にもなります。
また、ビジネスメールの書き方や電話応対といった基本的なビジネスマナーも、あらかじめ身につけておくと、新しい仕事でもスムーズに始められるでしょう。
看護師としての強みを明確にアピールする
看護師として働いたことで習得したスキルや経験などをアピールできれば魅力的な人材に写ります。たとえば、コミュニケーション能力、緊急時の冷静な判断力、細かい観察力などは多くの職場で求められる資質です。
看護師と転職先での職業との類似点を考え、貢献できるポイントを具体的に伝えましょう。
複数の転職サイト・転職エージェントを活用する
転職サイトでは条件を絞り込んで求人情報を検索したり、転職情報を得たりすることで、自分だけでは知りえない求人など有益な情報をキャッチできます。
また、転職エージェントでは、応募書類の添削や面接対策などの転職活動の全般的なサポートを受けられるので、転職経験が浅い方や応募書類を書くことに慣れていない方でも安心です。
いずれも看護師向けと一般向けがあります。その両方をうまく利用することで、幅広い選択肢からより最適な職場を見つけられるでしょう。
看護師の資格を活かして転職を成功させよう
患者さんとのコミュニケーション能力、緊急時の冷静な判断力、観察力や責任感など、看護師としての経験や多くのスキルは、さまざまな職場で重宝されます。
転職を成功させるためには、自分の希望条件を明確にし、必要なスキルを習得しながら、看護師としての強みを活かせる職場を見つけることが大切です。また転職活動をスムーズに進めるには、信頼できる転職サイトや転職エージェントを活用することをおすすめします。
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