公開日：2025-06-18

看護職には4種類ある？看護師・准看護師・助産師・保健師の役割と特徴

看護職には大きく4つの種類があります。

本記事では、それぞれの役割と仕事内容、活躍できる職場や給与情報などをご紹介。

取得する資格によって働き方や役割が異なりますので、看護師のキャリアを考えている方はぜひ参考にしてみてください。

看護職には4つの種類がある
看護師の特徴と役割
1. 看護師の活躍する職場
2. 看護師の収入
准看護師の特徴と役割
1. 准看護師の活躍する職場
2. 准看護師の収入
助産師の特徴と役割
1. 助産師の活躍する職場
2. 助産師の収入
保健師の特徴と役割
1. 保健師の活躍する職場
2. 保健師の収入
看護師の認定資格
1. 認定看護師
2. 専門看護師
看護職の4つの種類を理解し、キャリアを考えよう

看護職には4つの種類がある

看護師の4つの種類

看護職の種類	必要資格
看護師	「看護師」の国家資格
准看護師	都道府県知事資格
助産師	「看護師」の国家資格「助産師」の国家資格
保健師	「看護師」の国家資格「保健師」の国家資格

参照：e-GOV「保健師助産師看護師法第二章」

看護職には「看護師」「准看護師」「助産師」「保健師」の4種類があります。

また「看護師」は、さらに専門資格を取ることで「認定看護師」「専門看護師」へのキャリアアップが可能です。

いずれも専門的な知識や資格が必要な職業ですが、看護職としての仕事内容や役割が異なります。

看護師の特徴と役割

■保健師助産師看護師法（第一章総則）
「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。
出典：e-GOV「保健師助産師看護師法」

看護師の主な仕事内容は、医師の指示のもとで診療の補助を行い、患者の健康状態を観察・管理することです。

基本的には、医師の診療や治療をサポートする「診療の補助」と、患者の身の回りのケアを行う「療養上の世話」の2つが中心となります。

具体的には、バイタルサイン（体温・脈拍・血圧・呼吸）の測定、採血、注射、点滴、服薬管理といった医療処置の実施に加え、手術前後の看護、傷の処置、患者の病状観察と記録、緊急時の初期対応などが挙げられます。

また、入院患者に対しては食事や排泄の介助、体位変換、清拭（体を拭くケア）、移動のサポートといった日常生活の援助も重要な役割です。

さらに、患者や家族への説明や相談対応、精神的なサポートも担い、単なる医療技術者ではなく、心のケアも含めた「チーム医療」の一員として働きます。

看護師の活躍する職場

看護師の活躍する職場は、病院以外にも様々な場所があります。

主要な勤務先は次の通りです。

■看護師の主な職場
・総合病院、大学病院

・診療所、クリニック

・訪問看護ステーション

・介護老人保健施設（老健）

・特別養護老人ホーム（特養）

・デイサービス、デイケア施設

・健診センター、人間ドック施設

・企業の健康管理室（産業看護師）
など

なお、働き先によって業務内容は異なってきます。

看護師の収入

厚生労働省の調査によると、2024年における看護師の平均年収は519.7万円です。

項目	金額
平均年収	519.7万円男性：534.8万円女性：517.9万円
平均月収	36.4万男性：37.4万円女性：36.2万円
平均ボーナス（年間）	83.5万円男性：86.6万円女性：83.1万円

参照：厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」※平均年収は調査データの「決まって支給する現金給与額×12＋年間賞与その他特別給与額」で計算、小数点第2位以下も含んだ合計値。

看護師のキャリアアップの仕組みとしては、各看護分野のエキスパートとして「認定看護師」「専門看護師」の2つの認定制度が用意されています。

>>看護師の認定資格の詳細はこちら（ページ下部に移動します）

准看護師の特徴と役割

■保健師助産師看護師法（第一章総則）
「准看護師」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者をいう。
出典：e-GOV「保健師助産師看護師法」　※前条とは「看護師」の定義

「准看護師」は、医師または看護師の指示のもとで、診療の補助や療養上の世話を行います。

「看護師」と同じく医療・福祉現場を支える重要な存在ですが、法律上「独立した判断で動けない」という制限があるため、業務の一部に制約がある点が「看護師」との違いです。

また、「看護師」と「准看護師」では、それぞれ資格を取るために必要な教育内容や学習期間が異なります。

「看護師」は看護大学や専門学校で3年～4年の教育課程を経て国家資格の取得が必要であるのに対し、「准看護師」は最低2年の教育課程を経て都道府県知事の免許取得が必要条件です。

准看護師の活躍する職場

准看護師の活躍する職場は、病院や診療所、介護保険施設が中心です。

また、資格の特性上、自らの判断のみでの業務ができないため、新人教育や管理職への昇進はできません。

■准看護師の主な職場
・診療所、クリニック

・訪問看護ステーション

・介護老人保健施設（老健）

・特別養護老人ホーム（特養）

・デイサービス、グループホーム
など

准看護師の収入

厚生労働省の調査によると、2024年における准看護師の平均年収は417.2万円です。

正看護師との年収には約103万円ほどの差があり、月収、ボーナスをみても差があります。

そのため、キャリアアップのために看護師資格（正看）を取得する人も多くいます。

項目	金額
平均年収	417.2万円男性：430.7万円女性：415.4万円
平均月収	29.4万男性：30.4万円女性：29.3万円
平均ボーナス（年間）	64.0万円男性：66.5万円女性：63.7万円

助産師の特徴と役割

■保健師助産師看護師法（第一章総則）
「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう。
出典：e-GOV「保健師助産師看護師法」

助産師の仕事内容は、妊娠・出産・産後に関する母子のケアを専門とする医療職です。

看護師の国家資格を持ったうえで、さらに助産師養成課程を修了・国家試験に合格する必要があり、母親と新生児を支える専門職として活躍します。

具体的な業務内容としては、任婦健診や生活指導、分娩の単独介助、授乳指導や産後の心身ケア、新生児の健康管理などです。

退院後は自宅訪問や育児相談にも対応し、保健師と連携して地域での子育て支援を行うこともあります。

医学的知識だけでなく、精神的・社会的なサポート力も求められる職種と言えるでしょう。

なお、「保健師助産師看護師法」において、女性に限定された職業であることが記されています。

助産師の活躍する職場

助産師の活躍する職場は、産婦人科病院や産科クリニックが中心です。

資格や経験を活かし、自ら「助産院」を開設するなど、独立することが可能な職業でもあります。

■助産師の主な職場
・産婦人科病院、産科クリニック

・総合病院の産科病棟

・助産院（自営も可能）

・地域の保健センター、母子保健施設

・産後ケアセンター、自治体の訪問事業
など

助産師の収入

厚生労働省の調査によると、2024年における助産師の平均年収は580.6万円です。

看護師と比べ、平均年収は約61万円高い傾向にあります。

病院の看護師に近い勤務体系が一般的ですが、将来的には自身の助産院を開業するなど、多様なキャリア展開が可能です。

※なお、女性に限定された職業のため、統計調査内では男性の給与データはありません。

項目	金額
平均年収	580.6万円男性：- 女性：580.6万円
平均月収	40.0万男性：- 女性：40.0万円
平均ボーナス（年間）	110.4万円男性：- 女性：110.4万円

保健師の特徴と役割

■保健師助産師看護師法（第一章総則）
「保健師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいう。
出典：e-GOV「保健師助産師看護師法」

保健師は、看護職の中でも行政や公衆衛生に深く関わる専門職です。

「病気になる前に支える」ことを使命とし、主に人々の健康を守り、病気の予防や健康づくりをサポートを行います。

具体的には、集団検診、健康相談や健康指導、育児指導や母子相談などです。

「保健師」の資格は、看護師の国家資格を持ったうえでさらに保健師養成課程を修了し、国家試験に合格することで得られます。

保健師の活躍する職場

保健師の活躍先としては、公務員として保健所や地域の保健センターなどに勤める「行政保健師」、企業に勤める「産業保健師」、専門学校・大学・一部私立中学校や高校などの学校で勤務する「学校保健師」、病院に勤める「病院保健師」があります。

病院で働く場合、健康診断や健康相談になどの業務と合わせ、通常の看護師業務も兼務する場合もあります。

■保健師の主な職場
・保健所（地域保健の中心）

・市区町村の保健センター（母子、成人、高齢者支援）

・学校（養護教諭とは別に配属されることも）

・企業（産業保健師として社員の健康管理）

・病院（感染症対策や退院支援など）
など

保健師の収入

厚生労働省の調査によると、2024年における保健師の平均年収は521.2万円です。

看護師と比べ、平均年収の差はほとんどありません。

行政に勤める場合は公務員としての安定性が魅力です。

項目	金額
平均年収	521.2万円男性：419.5万円女性：527.2万円
平均月収	35.1万男性：32.1万円女性：35.3万円
平均ボーナス（年間）	99.9万円男性：33.9万円女性：103.8万円

看護師の認定資格

認定看護師と専門看護師

※参照：日本看護協会「認定看護師」「専門看護師」

看護職には、国家資格取得後もさらなるキャリアアップの仕組みとして、より専門性の高い「認定看護師」と「専門看護師」として認定する制度が用意されています。

いずれも看護師としての実務経験5年以上、そのうち3年は専門分野の経験をもつ人が対象です。

「専門看護師」「認定看護師」のそれぞれに定められた教育を受け、さらに審査に合格することで、その分野におけるエキスパートとしての資格を得ることができます。

認定看護師

認定看護師は、「ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する者」として、日本看護協会の認定を受けた看護師のことです。

現在では19の認定分野が定められています。

■「認定看護師」の19分野
・クリティカルケア
・緩和ケア
・がん薬物療法看護
・在宅ケア
・生殖看護
・腎不全看護
・絶食障害看護
・小児プライマリケア
・脳卒中看護
・がん放射線療法
・心不全看護
・皮膚排泄ケア
・感染管理
・糖尿病看護
・新生児集中ケア
・手術看護
・乳がん看護
・認知症看護
・呼吸器疾患看護

※参照：日本看護協会「認定看護師」

「認定看護師」は特定の看護分野において、次の3つの役割を果たすものと定義されています。

■認定看護師の役割
・個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践する。（実践）

・看護実践を通して看護職に対し指導を行う。（指導）

・看護職等に対しコンサルテーションを行う。（相談）

※参照：日本看護協会「認定看護師」

専門看護師

専門看護師は、「ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有することを認められた者」として、日本看護協会の認定を受けた看護師のことです。

現在特定されているのは、下記の14分野となります。

■「専門看護師」の14分野
・がん看護
・精神看護
・地域看護
・老人看護
・小児看護
・母性看護
・慢性疾患看護
・急性重症患者看護
・感染症看護
・家族看護
・在宅看護
・遺伝看護
・災害看護
・放射線看護
※参照：日本看護協会「専門看護師」

「専門看護師」は、専門看護分野において、次の6つの役割を果たすものと定義されています。

■認定看護師の役割
・個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。（実践）

・看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。（相談）

・必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。（調整）

・個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決を図る。（倫理調整）

・看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。（教育）

・専門知識及び技術の向上並びに開発を図るために実践の場における研究活動を行う。（研究）

※参照：日本看護協会「専門看護師」

看護職の4つの種類を理解し、キャリアを考えよう

今回は、看護職として定められている4つの種類について、役割や特徴、収入状況などをまとめました。

また、看護師のエキスパートとして「認定看護師」や「専門看護師」といった認定資格もあります。

これから看護師を目指す方、看護師の方で自身のキャリアを考えている方にとっては、同じ看護職でも様々なキャリア展開が可能です。

看護職としてどのような自分でありたいかを考え、自身の人生設計を考えてみてはいかがでしょうか。