40代看護師の転職は難しいって本当?おすすめの転職先や失敗しないコツを解説
しかし、40代の看護師は転職が難しいと言われることもあり、不安を感じる方も少なくありません。この記事では、40代看護師が転職を考える背景や、転職市場で求められる理由を解説します。
さらに、40代におすすめの転職先や、看護師を辞めて別の仕事に挑戦する選択肢も紹介します。転職を成功させるために押さえておきたいポイントも解説しているので、今後の働き方を見直し、自分に合ったキャリアを実現するための参考にしてください。

監修者 平岡泰志
作業療法士として病院勤務を経験後、デイサービスの立ち上げや主任としてのマネジメントを担当。「医療従事者が活躍できる環境づくり」を軸に、キャリア支援や働き方改革にも注力。現在は医療・介護分野のWebライターとして、看護師を中心とした医療従事者向けに実践的な情報を発信中。
目次
40代看護師が転職したい5つの悩み
ここでは、40代看護師が転職を考える代表的な5つの悩みについて解説します。
人間関係でストレスを感じる
特に、40歳という節目の年を迎え、心身のストレスに限界を感じることが転職を考えるきっかけになることもあります。
また、仕事の忙しさから心の余裕を失い、周囲に厳しく当たってしまう人がいるのも事実です。こうした職場環境では、日々のモチベーションを維持することが難しく、気持ちよく仕事をするために転職を検討する看護師も多いでしょう。
今よりも条件が良いところで働きたい
職場によって待遇は異なりますが、より良い環境で働きたいという思いから転職を考える40代の看護師は少なくありません。たとえ人間関係が良好でも、給料や福利厚生に不満があれば、それが転職を決断する大きな要因になるでしょう。
また、キャリアアップとともに収入アップを目指し、より好条件の職場へ転職する方も多いはずです。
体力的に厳しいと感じる
また、夜勤後の帰宅が昼前になるなど、看護師の仕事にはハードな一面もあります。そのため、体力の衰えを理由に仕事のペースを落としたいと考える方も多く、夜勤や残業が少ない職場への転職を検討するケースも増えています。
無理なく仕事を続けるためには、自分にあった働き方を見直し、夜勤のない職場や負担の少ない環境を選ぶことが重要です。
家庭の事情に合わせた働き方に変えたい
また、40代になると親が高齢になり、介護が必要になるケースも増えてきます。子どもの教育にかける時間の確保や、親の介護など、家庭の事情によって現在の職場で働き続けることが難しくなることもあります。
こうした背景から、家族との時間を大切にしながらも、看護師としてのキャリアを継続できる働き方を求めて転職を考える40代の看護師が増えています。
スキルアップができる現場で働きたい
40代での転職では、管理職など責任あるポジションに就ける可能性もあり、キャリアアップを目指したい方にはよいタイミングといえるでしょう。
また、「新たな資格を取得したい」「最先端医療に関わりたい」と考え、スキルアップを目指す方も少なくありません。子育てがひと段落する40代は、自分のキャリア形成に本格的に向き合える時期でもあります。
40代看護師が転職するのは難しい?
ただし、50代に突入すると転職市場は一気に厳しくなるため、40代での転職は「最後まで働く職場を決める活動になるかもしれない」という意識を持つことが大切です。
新卒採用に力を入れる大規模病院や美容クリニックでなければ、40代のベテラン看護師を求める病院は多いのが現状です。経験豊富で知識・スキルが身に付いている40代の看護師は、即戦力として期待されています。
常に人手不足の医療現場では、新人を一から育てる負担が大きく、せっかく育てても結婚・妊娠で退職するケースも少なくありません。そのため、若手ばかりを採用するのは病院にとってもリスクがあるのです。
看護師は転職しやすい!現場で求められる理由とは
以下では、40代の看護師が転職市場で重宝される理由について解説します。
看護師不足に悩む病院が多い
看護師の転職市場は、需要に対して供給が追いついておらず、売り手市場となっています。そのため、看護師の資格を持っていれば、年齢を問わず転職の機会は豊富だといえるでしょう。
医療サポートを必要とする高齢者が増えている一方で、それを担う看護師が不足している状況は、今後も続くと予想されます。
病院側も看護師を確保するため、さまざまな条件を提示して人材確保に力を入れています。このような背景から、40代の看護師でも十分に転職のチャンスがあるのです。
40代は即戦力になる
常に人手不足の医療現場では、新人の看護師を一から育てる負担が大きく、せっかく育てても結婚・妊娠などですぐに転職してしまうこともあります。そのため、病院側にとって若手ばかりを採用するのはリスクが伴います。
一方、ベテランの看護師は教育コストがかからず、新しい環境に慣れればすぐに即戦力として活躍できます。こうした理由から、経験豊富な40代看護師は、多くの医療現場から求められています。
管理職やリーダーを任せやすい
現場を任せられる人材は決して多くないので、管理職経験がある看護師へのニーズは高いといえるでしょう。
また、新人教育を担当できることも大きな強みです。人材育成のスキルは高く評価されるため、面接ではしっかりアピールすることが大切です。
さらに、40代は人としても円熟期にあり、患者やその家族、同僚からも頼られる存在になりやすいことから、転職市場でも高く評価される傾向があります。
管理職やリーダー経験がある場合は、その実績を積極的にアピールし、採用につなげましょう。40代は人生経験も豊富なため、若手には難しい状況判断や緊急時の対応も期待されています。
40代は結婚、子育てによる離職が少ない
一方、20代や30代の看護師は、結婚や妊娠、出産を機に休職や退職することも少なくありません。そのため、離職率が低い40代は、病院側にとって長期的な雇用が見込めるプラス要素となります。
また、子育て中の40代は、養育費や家のローンなどの経済的負担があるため、すぐに退職する可能性が低いと考えられています。こうした理由から、40代の看護師は転職市場でも安定した需要があり、スムーズな転職が期待できるのです。
介護施設が増加し、看護師が必要とされている
また看護師が1人しかいない施設もあり、介護士に適切な指示を出し、現場をまとめる力も必要です。そのため経験豊富なベテラン看護師は貴重な存在といえます。
介護施設では介護士やリハビリスタッフなど他職種と連携しながら業務を行うため、病院で医療スタッフとチームを組んでいた看護師はスムーズに馴染めるでしょう。
今後さらに高齢化が進み、介護施設の数も増えていくと考えられるので、40代看護師の活躍の場はますます広がることが予想されます。介護施設での経験を活かし、新たなキャリアを築くチャンスといえるでしょう。
40代の看護師におすすめの転職先
ここでは、40代の看護師におすすめの転職先について解説します。目的に合った職場選びの参考にしてください。
介護施設
看護師の主な業務は、入居者の健康チェックや必要な医療行為、体調変化時の応急処置や判断などです。介護施設では、医師や看護師の数が限られており、日によっては介護士のみで勤務することもあります。
そのため、看護師は介護士からの相談や報告を受、適切に指示を出す役割も求められます。
介護施設では看護師・介護士ともに人手不足が深刻なため、採用条件は比較的厳しくない傾向があります。施設によって夜勤の有無が異なるため、転職先を選ぶ際は事前に確認が必要です。
訪問看護
勤務は日勤だけの事業所が多いですが、中には順番にオンコール対応を行う職場も少なくありません。
訪問看護師の主な業務は、自宅療養者へのケアや健康チェック、指示書に基づいた医療処置や療養指導、利用者やその家族の相談対応などです。訪問は基本的に1人で行うため、自分のペースで仕事を進められるのがメリットといえるでしょう。
ただし、夜間や休日のオンコール対応がある職場も多いため、応募前に勤務条件をしっかり確認することが大切です。
個人クリニック
特にスタッフ数が多いクリニックでは、受付業務や清掃・備品管理などの雑務も任されることがあるため、幅広い業務に対応できる柔軟さが求められます。クリニックは比較的小規模なため、スタッフ同士の距離が近く、人間関係を築きやすい環境ともいえるでしょう。
また、夜勤がなく休みも取りやすいため、家庭と両立しやすいのもメリットです。ただし、病院勤務と比べると夜勤や残業がない分、給与が下がる可能性がある点を考慮しておく必要があります。
健診センター
看護師の主な仕事は、検査の実施や補助、検査予約の受付、検査結果のチェック、体調不良者への対応などです。
人間ドックでは、身長・体重測定や視力・聴力検査のサポート、献血ルームでは採血や注意事項の説明を担当します。求められる技術や知識は病院ほど多くないので、ブランクがある人にもおすすめの職場といえるでしょう。
基本的に予約制のため残業が少なく、日勤のみで日曜・祝日が休みの施設がほとんどです。体力的な負担を抑えたい看護師に向いている職場といえるでしょう。
総合病院
また、経験を積んだ40代の看護師は管理職への道も開けるため、リーダーや師長として活躍したい人にも向いています。
病院ではこれまでの経験を活かし、後輩に技術や知識を伝える機会も多く、やりがいを感じられるでしょう。キャリアアップを目指す場合、資格取得のサポートが充実している病院もあります。
総合病院は規模が大きいため、福利厚生や給与面が安定しているケースが多いのも魅力です。ただし、人員が不足している病院では業務負担が大きく、労働環境が厳しいこともあるため、職場選びは慎重に行いましょう。
資格を取得して 保健師や助産師を目指す
保健師になるには、看護師資格の取得が必須です。看護師資格を持つ方が保健師国家試験の受験資格を得るには、保健師養成課程を修了する必要があります。
看護学系大学の3年次に編入するか、1年課程の短大もしくは専門学校で保健師課程を学びましょう。過程をすべて終了すると、保健師国家試験の受験資格が与えられます。
通信教育だけで保健師資格を取得することはできません。公衆衛生看護学、疫学、保健統計学、保健医療福祉行政論、臨地実習などの単位を取得する必要があります。看護師として働きながら保健師免許を目指すことは不可能ではありませんが、現実的に難しいといえます。
全日制の学校に通う必要があり、授業のスケジュールも詰まっているため、正社員の看護師として働きながらの両立は難しいでしょう。
助産師になるには、看護師であれば1年間の助産師学校の助産師養成課程を履修・修了すると助産師国家試験の受験資格が与えられます。
40代からもOK!看護師を辞めて違う仕事をするなら?
では、40代の看護師が異業種に転職することは可能なのでしょうか。結論から言うと、40代でも看護師から他業種への転職は十分可能です。ここでは、40代の看護師が転職しやすい業界や職種について紹介します。
介護職
介護士やケアマネージャー、障害者支援員などの介護関連の職種は、看護師の経験を十分に活かせる異業種の代表例です。
介護施設では、入居者の食事や入浴、洗濯などの生活支援に加え、精神的なケアも求められます。国家資格が必要になる看護師とは異なり、介護の仕事は資格がなくても始めることが可能です。
また、職場や自治体によっては介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修の資格取得を支援する制度を設けているところもあります。
日本の高齢化が進むなか、介護職の需要は今後も増え続けることが予想されます。40代以上の方も多く活躍しており、転職後も長く安心して働くことができるでしょう。キャリアアップの選択肢も広がるため、今後の働き方を考える上で有力な選択肢の一つとなります。
事務職
オフィスソフトの操作(ExcelやWordなど)ができると、より有利になるでしょう。
一般的に、事務職は看護師のように夜勤や体力的な負担が少なく、残業も少なめで土日休みが取りやすい傾向があります。
そのため、夜勤で働くことが厳しくなった方や、プライベートや家族との時間を大切にしたいと考えて転職を検討している方は、事務職へのキャリアチェンジがおすすめです。
ただし、事務職の中には、経理事務のように事前知識や資格が必要なこともあるので、その点は注意してください。看護師の経験を活かしたい場合は、医療事務などの職種を検討するのも良いでしょう。
サービス業
例えば、化粧品や洋服の販売、企業向けのサービスやシステムの営業などは、高いコミュニケーション能力が求められる仕事です。しかし、日々患者さんと向き合い、さまざまな状況に対応してきた看護師の経験があれば、そのスキルを十分に活かすことができます。
販売職は、特別な資格が必要なく、パートやアルバイトとして柔軟に働くことができるので、自分のペースで無理せず働き続けられる点が魅力です。一方、営業職は、成果に応じて給与が上がるため、やりがいを感じながら働くことができるでしょう。
IT関連の仕事
IT業界には、経験や専門知識を求められる企業もありますが、未経験から挑戦できる職種も豊富です。国家資格を取得し、日々の業務で経験を積んできた40代の看護師であれば、努力次第で十分に補うことができるでしょう。
また、研修制度が整っていたり、資格の取得を支援してくれる企業に入ることができれば、働きながら自然と知識も経験を身につけることができます。
そのため、長時間デスクワークに集中できる方には特に向いているといえるでしょう。転職活動の際は転職エージェントを活用して自分にあった職場を見つけるのも一つの方法です。
40代の看護師が転職で失敗しないコツ6選
以下では、40代の看護師が転職活動で失敗しないための6つのポイントを紹介します。
経験や強みを活かせる職場を選ぶ
まずはこれまでのキャリアを振り返り、自分の強みやどの分野で経験を積んできたのかを整理してみましょう。
例えば、急性期病院の経験が長い方、慢性期医療に携わってきた方、特定の診療科で専門性を高めてきた方など、それぞれに適した職場があります。
自身のスキルや経験を活かせる職場を選ぶことで、転職後もスムーズに馴染みやすく、やりがいを感じられる可能性が高まります。
目的を明確にしてから転職先を探す
また、職場選びの基準として、絶対に譲れない条件を決めておくことも大切です。
例えば、体力的な負担を減らしたいなら夜勤のない職場を選ぶ、家庭との両立を優先したいなら残業の少ない職場を選ぶなど、目的に応じて選ぶことで、転職後の満足度も大きく変わります。
同年代の人が活躍する職場を選ぶ
また同年代の看護師が多い職場や、家族構成や生活環境が似ている人がいる職場を選ぶことは、40代の看護師にとって働きやすさに直結します。若い看護師が多い職場では、気をつかわれすぎてしまい、働きにくいという声も聞かれます。
特に、お子さんをもつ方にとっては、子育て経験者が少ない職場では肩身の狭い思いをすることもあるでしょう。事前に職場の年齢層や雰囲気を事前に把握しておくと、入職後のギャップを減らし、より働きやすい環境を選ぶことができるでしょう。
経験したことがある診療科を選ぶ
看護業界では、年齢が上がるにつれて経験が豊富な人材が求められる傾向にありますが、一方で新しい知識やスキルが必要な診療科や急性期病院では、柔軟性のある若い看護師が優先されることが多いため未経験の40代が転職するのは厳しいことも多いです。
また、40代看護師は、柔軟性が若手に比べて低いのではないかと懸念されることもあります。「これまでの経験に固執して、新しい職場のやり方やルールになじめないのでは?」と不安視されないためにも、過去に経験した診療科を中心に検討することで、採用の可能性が高まります。
自分の強みを活かせる分野を選ぶことで、新しい職場でもスムーズに適応し、実力を発揮しやすくなります。
退職前に転職活動を始める
転職活動は、現在の職場を退職する前に行いましょう。収入を確保しながら冷静に転職活動を行うことで、より自分に合った職場を見つけやすくなります。
すぐに転職先が決まれば問題ありませんが、転職活動が長引いた場合、生活への影響が出る可能性があります。焦らず、自分のペースで進めるためにも、退職前から計画的に転職活動を進めることをおすすめです。
転職サイトを活用する
転職サイトは、利用者ではなく病院などの採用側から報酬を得る仕組みのため、登録から求人紹介、面接対策や内定後の条件交渉まですべて無料で利用できます。また、経験豊富なアドバイザーが病院との交渉を代行してくれることもあり、安心して転職活動を進められます。
さらに、転職サイトを利用することで、一般には公開されていない年齢制限に関する情報も確認できるため、無駄な応募を避け、効率的に転職活動を進めることが可能です。
40代の看護師転職は難しくない!
転職を成功させるためには、自分の強みを活かせる職場を選ぶこと、目的を明確にすること、そして同年代が活躍する職場を探すことが重要なポイントです。
介護施設や訪問看護、クリニックなど、40代の看護師が活躍できる場は多く、看護師以外の職種に挑戦することも可能です。40代の看護師は豊富な経験と知識を持つ貴重な人材だということを忘れずに、自信を持って転職活動に臨みましょう。
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監修者 平岡泰志
作業療法士として二次救急指定病院で医療チームの連携を経験。その後、デイサービスの立ち上げに携わり、主任として看護師を含む医療・介護職のマネジメントを担当。「医療従事者が働きやすく活躍できる環境づくり」をモットーに、現場スタッフのキャリア支援や働き方改革にも取り組む。
現在は、医療・介護分野のWebライターとして、看護師をはじめとする医療従事者向けに、実践的で役立つ情報を精力的に発信している。