2017年07月11日 18時41分

転職口コミ情報はどこまで信じていい? 上手な口コミの利用法

気になる“転職先”の口コミ情報。上手な利用法を紹介する [拡大する]

気になる“転職先”の口コミ情報。上手な利用法を紹介する

 転職活動では、エントリーする会社の候補を絞るため、できるだけ多くの判断材料を集めたいと考える人は多いでしょう。公式のコーポレートサイトから、株価情報、IR資料といった比較的入手しやすい情報を調べることも大切ですが、これだけではその会社の企業文化や雰囲気といったものはわかりません。できれば、対象企業の社員・元社員、取引先といった人たちから直接話を聞きたいと考える人も多いでしょう。

 新卒の就活生ならOB・OG訪問、インターンシップといった制度が活用できますが、転職者の場合はそうした直接的な情報収集は困難です。そこで、いわゆる「転職口コミサイト」の評判を参考にしたという話をよく耳にします。しかし、こうした口コミサイトに掲載される情報の信憑性が高いかどうかは不明です。

 ここでは、口コミサイトに掲載されている情報の取捨選択方法や、読み解き方などについてご説明したいと思います。なお、ここで触れる「転職口コミサイト」は、特定のサイトを意識したものではありません。いわゆる転職口コミサイト全般を対象とした一般論としてお考えください。

■鵜呑みにできない評判

 転職口コミサイトの中には、その会社を退職した人や在職中の人が書き込んだ、生の情報に触れることができるものもあります。また、いくつかの評価ポイントを設けて格付けを行ったり、レーダーチャートを作ったりして、企業同士の評価を比較しやすくするという工夫も見られます。これらの情報は、企業研究の一助となるでしょう。

 しかし、肝心のニュースソースである、従業員・元従業員については、少々気になる点もあります。例えば、「本当に従業員や元従業員だけが書き込みをしているのか?」という根本的な疑問です。口コミサイトの多くは、さまざまな企業の評判を閲覧するためにユーザー登録が必要です。そして、口コミ情報を投稿するためには、いくつかの個人情報を登録する必要があります。ですが、すべての転職口コミサイトで「この投稿者は本当に当該企業の情報を投稿する資格があるか?」という審査を行っているわけはありません。もちろん、投稿された内容を審査した上で公表するサイトもあるようですが、例えば該当する会社の人事部に「この投稿者は実際に御社に在籍中あるいは在籍したことがあるか?」というところまで照会して裏を取っているわけではありません。つまり、特定の会社の社員・元従業員になりすまして投稿するということも、不可能ではないのです。

■バイアスがかかった情報であることを前提に利用する

 本当に社員や元社員だった人が投稿した口コミ情報であっても、鵜呑みにすることは危険かもしれません。なぜなら、こうしたサイトにわざわざ時間と手間をかけて投稿する人は、その会社に対してネガティブな感情を抱いていることが多いと思われるからです。今の職場に満足している人であれば、こうした転職情報系のサイトを訪れることは少ないでしょう。会社に好意的なら転職しようとは思わないわけですから、書き込みは必然的にネガティブ方向なものが多くなるというわけです。特に、元社員の場合は、何らかの事情や不都合があって会社を辞めたのでしょうから、会社に対して恨みや批判的な感情を持っている可能性があるといえます。

 さらに、会社の評価は個人の主観によるところが大きくなります。部署や時期など、投稿者が置かれた環境やタイミングによっても印象は大きく異なります。したがって、必ずしも投稿者の評価が、会社全体に対する客観的で公平な評価とはいえないでしょう。これらのことを考えると、転職口コミサイトの投稿情報には、元々「なんらかのバイアスがかかっている」ととらえるべきではないでしょうか。

■統計的な発想で「中央値」をとる

 では、口コミ情報のすべてが間違っていて情報価値がないのでしょうか。書き込まれた情報を精査していくと、「ほぼ間違いなくこの会社に在籍しており、客観的な立場で入社希望者に誠実なアドバイスをしているな」と感じられる投稿も数多く見られます。また、多くの投稿を読み進めていくうちに「断定はできないが、会社の雰囲気や社風についての共通点があるので事実ではないか」というイメージをつかむことにもできます。

 「極端に誹謗中傷している情報や、褒めちぎっている情報を除外し、比較的中立的で信頼性の高そうな投稿を数多く閲覧し、共通するポイントを参考にする」という使い方もできるでしょう。また、投稿に共通して指摘されている問題点を抽出し、事実かどうかを面接で確認するという方法も有効かもしれません。もちろん、「御社の組織は非常に縦割り型で社内の風通しが悪いという評判がありますが本当ですか?」などといった失礼な質問をしろというわけではありません。例えば「最近は若手社員でも上層部に対して自由に意見を言えることを良しとする風潮がありますが、御社ではそうした機会を設けておられますか?」といった質問を投げかけてみて、面接官の反応から実態を推定するといった方法などが適切でしょう。

 このように、情報をストレートに信じるのではなく活用することができれば、転職口コミサイトの情報にも価値が見いだせるのではないでしょうか。

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