2017年11月06日 11時02分
退職後の保険証はどうなる? 国民健康保険への加入や任意継続の方法について
退職後の国民健康保険への加入や任意継続の方法について紹介
一度、会社を退職してから求職活動を行う場合、基本的に未就労期間中は国民健康保険に加入することになる。しかし、国民健康保険に加入せず、退職した会社の健康保険を、任意継続できる場合もある。また、家族が入っている保険の扶養者として保険に加入するという選択肢もある。求職期間中に保険料をできるだけ抑えるためには、どの健康保険に加入するのがよいのだろうか?
■国民健康保険に加入する際の手続きや保険料について
退職後に会社で加入していた健康保険の任意継続をしない場合は、保険証を返却して国民健康保険加入の手続きをする必要がある。基本的な加入の流れや保険料について、確認しておこう。
・加入の流れ
国民健康保険への加入手続きは、住んでいる市区町村の国民健康保険担当窓口で行う。切り替えは、原則として退職日の翌日(資格を喪失した日)から14日以内に行う。退職日が記載された離職票や、健康保険の資格喪失証明書といった必要書類を提出することで、新しく国民健康保険の保険証が発行される。
・国民健康保険料について
国民健康保険の保険料は、前年度の収入を基に算出される。そのため、前年度の収入が多いと、保険料の負担額も大きくなるケースがある。計算方法や料率は市区町村ごとに異なるため、各市区町村のWebサイトなどで確認してみよう。場合によっては、これまで加入していた健康保険を意継続したほうが安い場合がある。任意継続と国民健康保険の保険料の違いが気になる場合、市区町村の健康保険窓口に相談するとよい。窓口では、本人確認をすることで、具体的な保険料を算出してもらうことができる。
・国民健康保険料の軽減措置
倒産や解雇など、会社都合で退職した非自発的失業者の場合、国民健康保険料の軽減措置が取られる。期間は退職の翌年度末までだが、軽減措置を取ることで、前年の給与所得を100分の30として扱ってもらえる。この制度が適用されるかどうかは、市区町村の健康保険窓口に確認してみよう。
■加入していた健康保険を任意継続する場合の手続きや保険料について
国民健康保険への切り替えはせず、会社で加入していた健康保険を任意継続するという選択肢もある。ここでは、全国健康保険協会が運営する健康保険「協会けんぽ」を例に、任意継続する際の条件や保険料について紹介する。加入していた保険協会や組合によって条件が異なる場合があるので、任意継続する場合は必ず事前に確認しよう。
・任意継続するための流れや条件は?
協会けんぽを任意継続するための条件は、次のようになっている。
・退職日(資格喪失日の前日)までに、継続して2ヶ月以上の被保険者期間がある
・退職から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出する
書類の提出は、住んでいる地域を管轄する全国健康保険協会の支部で行う。
また、協会けんぽ以外の場合は、加入していた健康保険組合で手続きすることになる。
任意継続被保険者の資格は2年間だ。なお、任意継続した場合、後で国民健康保険のほうが安いと分かっていても、それを理由に任意継続を止めることはできないので、慎重に選ぼう。
・保険料について
任意継続の場合の保険料は、退職時の「標準報酬月額」(給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分した額)と、任意継続で加入しようとしている健康保険の「標準報酬月額の平均額」(協会けんぽの場合は28万円)の、どちらか低いほうの金額から算出することとなる。保険料は一度確定したら、原則として加入期間中は同じ金額となる。
会社に在籍時、保険料は会社が半分を負担していたが、任意継続した場合は全額自己負担となる。そのため、在籍時より保険料は上がることになる。しかし、任意継続する保険は、独身でも扶養家族がいても保険料は同じだ。つまり、扶養家族分の保険料はかからない。一方、国民健康保険を選択した場合は、加入する扶養家族全員分を支払う必要がある。
・任意継続被保険者の資格喪失について
任意継続している健康保険の保険料を期日までに納付できなかった場合、任意継続被保険者の資格が即時喪失となってしまうため、注意が必要だ。また、再就職して、その会社の健康保険や共済組合などの被保険者資格を取得した場合も、任意継続の被保険者資格は喪失することになる。
■家族の扶養者となり保険に加入する
在籍していた会社の健康保険への任意継続や国民健康保険への加入のほかに、家族が加入している健康保険の扶養家族に入るという選択肢もある。扶養家族として加入するわけだから、本人が保険料を負担する必要はなくなる。
だが、扶養者となるためには「年収が130万円未満である」「同居の場合は扶養してくれる家族の年収の2分の1未満である」「被保険者と扶養家族が生計を同一にしている」「雇用保険受給者の場合、日額3,611円以下である」といった細かい条件があるので注意が必要だ。また、加入手続きは退職後5日以内という短い期間で行わなければならないため、早めの準備が必要となる。
■退職後のプランに合った健康保険を選ぶ
退職後の求職期間をどれくらいに想定するか、あるいは個人の収入や退職後のキャリアプランをどう設定するか、といった条件により、加入すべき健康保険は変わってくる。将来的に独立する可能性があるなら、「関東信越税理士国民健康保険組合」や「文芸美術国民健康保険組合」といった、会社員でなくても加入できる健康保険組合に入る方法もある。
いずれにせよ、紹介した健康保険には加入に関する期限などもあるから、転職を考えるなら、保険料の比較など、早めに準備を始めることをおすすめする。
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