50代看護師の転職は難しいって本当?失敗しない職場選びのコツを伝授
この記事では、50代看護師を求める現場の実情や、転職が難しいとされる理由について詳しく解説します。これまでのキャリアを活かせる職場選びのコツや、転職活動時の注意点も紹介しているため、年齢を重ねても安心して働ける転職先がわかります。
50代だからこそ実現できる転職のポイントを押さえながら、希望に合った働き方を見つける参考にしてください。

監修者 平岡泰志
作業療法士として病院勤務を経験後、デイサービスの立ち上げや主任としてのマネジメントを担当。「医療従事者が活躍できる環境づくり」を軸に、キャリア支援や働き方改革にも注力。現在は医療・介護分野のWebライターとして、看護師を中心とした医療従事者向けに実践的な情報を発信中。
目次
50代看護師の需要はある!転職事情
50代看護師はまだまだ需要がある!
また、2022年度の有効求人倍率は、ほかの職業が1.19倍であるのに対し、看護師は2.20倍と看護業界の人手不足が続いています。
こうした状況から経験や実績のある50代看護師は、即戦力として活躍でき指導的な役割を担えるため、求人市場での需要が高まっています。
参考:厚生労働省|看護師等(看護職員)の確保を巡る状況
50代看護師「転職は難しい」といわれるのはなぜ?
理由 | くわしい内容 |
新しい技術や知識の習得に時間がかかる | 若い看護師と比べて新しい技術や知識を習得するのに時間がかかり、転職の障壁になる場合がある |
体力的な不安がある | 立ち仕事が多く、体力的に不安を感じることがある |
親や親族の介護が必要になる | 親の介護など家庭の事情が影響する時期でもあり、これが退職の原因となる |
定年退職までの期間が短い | 定年までの勤務年数が10年未満となるため、職場によっては採用をためらう場合がある |
参考:厚生労働省|看護師等(看護職員)の確保を巡る状況
50代看護師が転職で活かせる強み
・経験の豊富さを評価してもらえる
・若手のお手本になれる
・まとめ役として期待される
長年積み重ねてきた経験や培ってきたスキルは、転職市場でも大きな武器になるでしょう。ここでは、50代看護師が転職活動において活かせる強みについて解説します。
経験の豊富さを評価してもらえる
また、社会人としてのマナーやコミュニケーション能力も身についており、患者さんやご家族との信頼関係を築くことも得意な場合が多いです。
転職活動では、これまで経験した診療科目や習得した技術、特徴的な経験などをアピールすると、好印象を与えられます。長年の実績を具体的に伝えることで、ほかの応募者との差別化が図れるでしょう。
若手のお手本になれる
世代間でのコミュニケーションスキルが高いため、幅広い年代の看護師とスムーズに仕事を進められます。
体力面で不安がある場合でも、若手看護師への指導や勉強会を通じて、知識面でサポート可能です。こうした活動を通じて、若手看護師の成長を促進する役割を果たします。
まとめ役として期待される
問題が発生した際には冷静に対処し、適切な解決策を導けるため、職場での信頼も厚いです。
シフト管理や業務進捗の管理といった管理業務を任される場合も多く、医療事故の予防や再発防止策の導入など、安全管理面での豊富な経験を活かせます。これまでに管理業務の経験がある看護師であれば、転職先でもほかのスタッフをまとめる役割を果たせます。
50代看護師が転職を成功させるコツ
・経験を活かせる職場を選ぶ
・体力的に無理なく働ける職場を選ぶ
・再雇用制度がある職場を選ぶ
・ブランクがあっても採用してくれる職場を選ぶ
50代看護師が転職で失敗しないために意識するポイントを見ていきましょう。
経験を活かせる職場を選ぶ
・看護師の年齢構成はどうなっているか
・人気のある診療科目は何か
今までに積み重ねてきた経験と知識は、言葉では表せないほど貴重な財産です。転職先でもこれらの経験を活かし、さらにスキルアップを図ることが大切です。
体力的に無理なく働ける職場を選ぶ
仕事内容は変わるかもしれませんが、看護師としての専門性を求められる職場は多いため、無理なく自分のペースで仕事を続けられる環境が見つかるでしょう。
体力面に不安がある場合は、夜勤の少ない職場や日勤のみの職場を選ぶのも一つの方法です。健康を最優先に考え、無理のない働き方を目指しましょう。
再雇用制度がある職場を選ぶ
転職の機会は限られているため、再雇用制度の有無は重要なチェックポイントです。定年後も安心して働ける職場であれば、長期的なキャリアプランを立てやすくなります。
生涯現役で働きたいという希望がある方にとって、再雇用制度のある職場は大きなメリットとなるでしょう。面接時には、定年後の働き方や再雇用の条件についても確認しておくことをおすすめします。
ブランクがあっても採用してくれる職場を選ぶ
体力が求められる現場の場合、ブランクがあると最初は大変かもしれません。しかし、時間をかけて徐々に慣れていくことは可能です。ブランクがあっても積極的に受け入れてくれる職場を探すことで、転職の選択肢が広がるでしょう。
職場によっては研修制度が充実しているところもあり、そのような環境だとブランクがあっても安心して新しい環境に適応できます。
50代看護師が転職活動をするときの注意点
50代看護師が転職活動をおこなう際に気をつけたいポイントを解説します。
転職の目的を明確にする
・キャリアアップ
・家庭との両立
・人間関係の改善
希望条件を多くしない
これまでの成功体験を大切にしつつ、新しい環境にも柔軟に対応できる姿勢をアピールすることで、採用担当者に好印象を与えられるでしょう。
未経験職種への転職は難しい
とはいえ、未経験職種へのチャレンジそのものが悪いわけではありません。これまでの看護師としての経験やスキル、自分の強みを活かせる職場を探し、無理なく移行できる環境を選ぶことが大切です。
年齢制限の有無を確認する
年齢制限を明記されていない場合でも、実質的に制限があることも珍しくありません。転職エージェントに登録して、エージェントから正確な情報を収集することで、年齢に関するリスクを減らせます。
年齢を理由に断られないためにも、経験やスキルをしっかりアピールする準備をしましょう。
年収が下がることを受け入れる
年収ダウンが避けられない場合でも、長く働ける環境や自分の健康面を優先することが、結果的によい選択となる場合もあります。
50代看護師におすすめの転職先6選
・クリニック
・療養型病院
・有料老人ホームなどの介護施設
・デイサービス
・訪問看護ステーション
・健診センター
それぞれの職場のメリットとデメリットを踏まえて、自身のライフスタイルや体力、希望する働き方に合った職場を探す参考にしてください。
クリニック
なかでも地域密着型のクリニックでは、アットホームな雰囲気の中で働けます。長年の経験を持つ50代看護師は、患者さんからの信頼も厚くなりやすく、やりがいを感じられるでしょう。
一方で、スタッフが少ないことから人間関係が密になりやすいため、コミュニケーションが苦手な方は溶け込むのに苦労する場合もあります。
療養型病院
ただし、患者さんの移乗や入浴介助などで体力的な負担もあることから、看護補助者や介護スタッフとの連携が重要です。無理なく働ける環境を整えるには、チームワークが不可欠と言えるでしょう。
有料老人ホームなどの介護施設
一方で、一人で複数人の利用者さんを担当するプレッシャーや急変時の対応力が求められるので、そういった状況にも冷静に対処できるスキルが必要になるでしょう。
デイサービス
夜勤がなく土日休みの施設も多いため、プライベートとの両立がしやすいでしょう。仕事のルーティーンが作りやすく残業も少ない傾向であることから、生活リズムを整えて働きたい方に向いています。
ただし、夜勤や残業が少ない分、年収が低くなる傾向です。また、看護師の仕事に加えて生活介助やレクリエーションの運営など、これまで経験のない介護業務を求められることがあります。そのため、看護技術をおもに活かしたいと考えている方にはミスマッチを感じるかもしれません。
訪問看護ステーション
これまでの経験や知識、技術を活かしながら、利用者さんやご家族に近い距離で看護を提供できるため、やりがいも感じやすいでしょう。
ステーションによっては、パート勤務で訪問件数や勤務時間などで体制を決めることも可能で、50代の看護師でも自分のペースで無理なく働けます。基本的に平日の日勤がメインで、土日祝休みになることが多いため、生活のスケジュールが立てやすい傾向です。
一方で、訪問時間内に利用者さんが求めるケアをすべておこなわなければならず、スピード感のある対応が必要です。また、オンコール制度がある事業所も多く、突発的な対応が求められる場合もあるでしょう。
健診センター
予測しやすい仕事が多いため、精神的な負担は比較的少ないでしょう。特別な看護技術が必要な場面はほとんどなく、覚えるべき新しい技術も少ないため、ブランクがあっても比較的スムーズに仕事に復帰できます。
転職を成功させるコツ
転職の条件を決める
・有給消化率
・休日
・職場環境
・年収
・立地
転職サイトを利用する
転職サイトでは、公開されていない非公開求人の情報を得られる可能性があります。また、実質的に年齢制限があるかどうかなど、公開情報だけではわからない情報も知れるかもしれません。
さらに、履歴書や職務経歴書の添削サービス、面接対策なども受けられ、より効率的に不安の少ない転職活動を進められるでしょう。
50代看護師の転職先は目的に合わせて見つけよう
大切なのは、体力面や希望する働き方、優先したい条件を明確にすることです。また、再雇用制度の有無やブランクのある看護師の受け入れ状況など、長期的な視点で職場を選ぶことも欠かせません。
転職サイトも活用しながら情報収集をおこない、豊富な経験を活かせる環境で、50代からも充実した看護師としてのキャリアを築いていきましょう。
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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。

監修者 平岡泰志
作業療法士として二次救急指定病院で医療チームの連携を経験。その後、デイサービスの立ち上げに携わり、主任として看護師を含む医療・介護職のマネジメントを担当。「医療従事者が働きやすく活躍できる環境づくり」をモットーに、現場スタッフのキャリア支援や働き方改革にも取り組む。
現在は、医療・介護分野のWebライターとして、看護師をはじめとする医療従事者向けに、実践的で役立つ情報を精力的に発信している。