2015年04月09日 15時26分

「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入が与える影響とは?

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労働者の権利はどうなる?

 労働時間の規制を緩和しようと、政府が導入に向け進めている 「ホワイトカラー・エグゼンプション」。現在、世間の注目を集める話題だが、先ごろ日本労働組合総連合が行った調査によると、8割半以上(見聞きしたこともなく、まったく知らない:33.7%、見聞きしたことはあるが、内容までは知らない:51.3%)の人が、同制度を深く理解していないことが分かった。このホワイトカラー・エグゼンプション、一体どのような制度なのだろうか。

◆“労働時間”の概念がなくなるとどうなるか

 現在日本では、「1日8時間以内」、「1週間40時間以内」といった労働時間の規制を設けている。これに対し、日本経団連は2005年、裁量性が高い現在のホワイトカラー(知的・技術的労働や事務・販売の仕事に就いている雇用従業員)の業務に対し、労働時間の長さと成果が比例していないとして、この労働規制を緩和する提言を発表した。これがホワイトカラー・エグゼンプション制度だ。

 仮にこの制度が導入されると、社員は勤務時間を自己の責任で自由に決められるようになり、純粋に仕事の“成果”によって給与が支払われるようになる。反面、労働時間という概念がなくなるため、残業代は支払われなくなる。当然時間外勤務という概念もなくなるので、過労死の促進や残業代ゼロの要因となるのでは?といった問題も指摘されており、現在は年収1000万円以上の高度な専門職に限り導入する動きが見られている。

◆望まれるのは“労働者の命と健康を守ること”

 同制度について、利用したいかどうか一般社員にアンケートをとったところ、約4割が【利用は避けたい】(37.5%)と回答し、【積極的に利用したい】(19.8%)人を上回る結果に。また、現在政府が進めている労働時間に関する緩和ルールについても、【労働者の命と健康を守るために、労働時間に関するルールを強化すべき(緩和すべきではない)】(49.9%)という意見が大多数となっている。

 国外ではすでに導入されているホワイトカラー・エグゼンプションだが、日本国内での認知度は依然高くないのが現状。導入に関しては、今後も慎重な議論ときめ細やかなフォローアップが望まれている。


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