2016年04月22日 08時40分

長澤まさみ「なるべく適当」がルール 歳を重ね“頑張り過ぎない働き方”にシフト

新作映画『アイアムアヒーロー』では、手に汗握るアクションに挑戦した長澤まさみ (撮影:鈴木かずなり) (C)oricon ME inc. [拡大する]

新作映画『アイアムアヒーロー』では、手に汗握るアクションに挑戦した長澤まさみ (撮影:鈴木かずなり) (C)oricon ME inc.

 女優の長澤まさみ(28)が、第5回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞したのは12歳のとき。以降、数々の青春ドラマで“憧れのヒロイン”を演じ清純派の地位を確立。近年は大人の色気をまとった役どころで新境地を切り拓き、昨年カンヌ映画祭で喝采を浴びた『海街diary』では数々の助演女優賞を獲得、現在放送中のNHK大河ドラマ『真田丸』では“ひと癖”あるヒロインを好演し話題を呼んでいる。歳を重ねるごとに輝きを増す彼女に、念願のアクションに挑んだ新作映画『アイアムアヒーロー』の裏話に加え、17年のキャリアで移り変わってきたという“仕事との向き合い方”について聞いた。

◆ずっとやりたかったアクション挑戦「すごく楽しかった」

――本作で主人公・鈴木英雄(大泉洋)と共に、謎の生命体“ZQN(ゾキュン)”と戦う元看護士の藪を演じた長澤さん。シャープ&タフなアクションにシビれました。撮影には特別な準備をしてから臨まれたのですか?
【長澤まさみ】 これまでわりと運動神経の悪い役とか、鈍臭い役が多かったので、そういう印象があるのかもしれませんが(笑)、もともと運動神経はそんなに悪くもなくて、体力も結構ある方なんです。アクションは好きで、ずっとやりたいなと思っていたので今回はすごく楽しかったです。もっとやりたかったくらい。

――もし長澤さんが本作のようなシチュエーションに陥ったら、どんな行動をとると想像しますか?
【長澤】 とりあえず逃げて、逃げ切れなかったらやれるところまで戦って、それでもZQNになったら、ZQNを楽しみたいと思いますね。

――やれるところまで、戦うつもりなんですか!?(笑)
【長澤】 諦めなければできるんじゃないかな? 何事も結局、それに尽きますよね。諦めちゃったら、そこですべてが終わるのかなって。“火事場の馬鹿力”って本当にあると思いますし、諦めさえしなければたぶん大丈夫(笑)。人間って自分が思っているよりも、もっと成長する生き物だと思うんです。それは女優業をやっている中で、私自身も常に感じていて。何かをひとつ成し遂げただけでは、人生って終わらない。そう考えると、死ぬまでの間に何でもできそうな気がするというか。

◆やりたいことと求められているギャップに悩んだ時期も

――今年でデビュー17年目になりますが、キャリアを積んでいく中で思い至った境地なんですね。長らく第一線で活躍されていますが、スランプに陥ったことはありますか?
【長澤】 23歳のときに、中学の同級生たちが就職活動をしているって聞いたら、なんだかちょっとうらやましくなって。「これから社会人1年生か…」なんて思ったら、なんだか疲れてしまって。少し働くのが面倒臭く思ってしまった時期はありました(苦笑)

――どのようにして、気持ちを立て直したのですか?
【長澤】 そんなに大層なことじゃないんですよ! 仕事を辞めたいと思ったことは、それまでにもたくさんありますし(苦笑)。そうですねぇ、責任感で続けてきた感じかな。

――ちょうどその頃から、『モテキ』をはじめ、それまでの清純派のイメージを一新して、お仕事の幅がグンと広がった印象を受けました。ご自身の中で仕事への向き合い方に変化はありましたか?
【長澤】 自分的にはあまりないんですけどねぇ。…比較的昔から自分がなりたい役や、やりたい作品のイメージが明確にあるタイプだったんですよ。だけど、自分の通ってきた道は、自分の思っている方向性とは違っていたから、そういうところでもがいていた時期もありました。でも今だって、自分のやりたいことができているか?と聞かれたら、まだ全然できてないと思うし。できちゃったら満足して、女優を辞めるかもしれない(笑)

◆“何もしない芝居”で存在感が出せるような女優に

――女優としてのビジョンは、どれくらい先まで見据えていますか?
【長澤】 そんなに先のことまで考えてはいないです。自分の満足できるものを作るのは難しいと思うけど、やっぱりおもしろい作品ができたらいいなって思います。

――仕事をする上で、ご自身の中で決めているルールはありますか?
【長澤】 私は真剣になりすぎて、周りが見えなくなっちゃう方だから“なるべく適当に”っていうのが、最近自分の中ではやっている、マイルール。いい意味での仕事の向き合い方です(笑)。もともと真面目になっちゃうタイプなので、それだとつまらないから。

――30代に向かって、理想的な女優像はお持ちですか?
【長澤】 何もしない人になりたいです。映像の中で、その作品の世界の中で、役として何もしない芝居ができるような女優になりたいですね。昔からずっと憧れていた、理想の形です。

――最後に女優という仕事の素敵なところを教えてください。
【長澤】 歳をとってもずっとできる、年齢の関係ない仕事だから、いい就職先だなって思っています(笑)。仕事って辞めるのは簡単かもしれませんが、続けていくには“どれだけその仕事を好きか?”が重要だと思うんです。

(文:石村加奈)

Vol.16 長澤まさみ“頑張りすぎない”働き方のルールフォトギャラリー

CS編集部 Facebook オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について