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2008年の流行語大賞の一つは「アラフォー」だった。「40歳前後の女性」を指す言葉だが、同時に彼女たちが仕事・結婚・出産・老後などに抱く、漠然とした悩みが顕在化した年でもあった。そんな悩める女性たちをサポートする、カウンセリング、あるいはコーチングを行うプロフェッショナルがにわかに注目されている。小巻亜矢さんはその一人だ。今回は、社長として働く一方で、2人の子供の母としての顔も持ち、研修や執筆、夢と笑顔を広げるNPO活動に尽力する小巻さんの人生グラフを紹介する。

Photo:山ア純子(PACIA)
子連れママの社会復帰大作戦

  離婚して、まだ手のかかる子どもを育てながら、働かなければならなくなった小巻さん。しかし、大学を卒業して、1年半で専業主婦になっていたため、「世間知らずだったんですよ。資格も何も持っていなかったし。再就職なんてあり得なかった」という。

 そこでたまたま見つかった仕事が、化粧品のネットワークビジネス。

 「子どももいて、条件の悪い自分でもできる仕事なら、何でもいいからやってみようと思いました。もともと、化粧品や美容の世界には興味があったし、好奇心も旺盛だったので、すぐに夢中になりました。そこで、いろんな女性に出会って、化粧品をおすすめしているうちに人生相談になってしまったり、価値観も一人ひとり違っていたり。嫌な思いも結構したし、逆に私も、他人に自分の意見を押し付けるようなところもあったし。本当にいい社会勉強にもなりましたね」

 何事も真面目だった小巻さんは、美容専門学校に通って、皮膚理論、エステティックのノウハウ、アロマテラピー、カウンセリングなどを学んだ。その後、コーチングにも出合う。

 ちなみに、セラピーやカウンセリングは、主に過去から現在に抱えている問題の解決のために使われるものだが、コーチングの目的は、未来に向けて目標や目的を実現するためにどうしたらいいか、行動を起こす、あるいは行動を変えることを促すことにある。

 コーチングスキルを学びながら、化粧品の仕事で全国を回り、長男は中学受験、三男は幼稚園生。40歳を目前にして、彼女は忙しすぎた。

 「いろんなことを頑張りすぎて体を壊してしまったんです。化粧品の仕事はもう無理だと思って、ひどく惨めで寂しい思いがしました。これからどうしようと落ち込んでいたところに、古巣から新規事業を考えているので一緒にやってみないか?と、声をかけていただいて。その時、41歳になっていましたが、サンリオ(グループ会社)で再び働かせていただくことになりました。まさに“一寸先は光”ですよ。自分の経験をもって、皆さんにもそうお伝えしたいですね。

人生の使命はこれだ! 64億人の笑顔のために

  「その時はわからないけれど、振り返ると全部つながっています」

 コーチングスキルを習得する過程で、小巻さん自身も自分と徹底的に向き合うことになった。それこそ、産みの苦しみとでも言えようか。コーチングスキルを身につけた小巻さんは、まさに生まれ変わったのだ。

 「まず、子供のころからの真面目一辺倒な自分を捨てました。自分の中にはいろんな自分がいて、小さい頃からの几帳面だった自分も背負っているし、すごく楽になりたい自分もいる。すごく博愛主義な自分もいるし、めちゃくちゃわがままな自分もいる。みんなそうなんですよね。いろんな自分がいて、自分が成り立っている。それをすべて受け入れた上で、場面、場面で切り替えて行く。別の人格を演じるのではなく、態度を選択するんです。今日は、大事な商談があるから真面目な自分で行こう。明日はお休みだから、ちょっとだらしない自分でもいいや、といった感じに。ものごとをプラスに考える力とともに 行動を選択できる力、いわば“切り替え力”が板についてきました」

 昨年、小巻さんは乳がんも経験した。それを「病気をいただいた」と話す。

「乳がんの告知を受けて、40時間落ち込みました。いつ死ぬの?乳がんで死んでしまうの?私が死んだら残された子供たちは?などと、いろいろな思いが交錯したんですが、そんなこといくら悩んでも答えが出るものでもないので、悩むのは辞めたんです。それで、入院生活を楽しもうと、気持ちを切り替えました。乳がんという病気をいただいて、ますます命の尊さを感じました。いつ自分の命が終わってもいいように生きよう。本当にしたいことは何かを考えて、頭の中に浮かんだのが、“64億人の笑顔”でした。今、生きている自分の命、周りの命、地球上のすべての命を祝福したい。64億人の笑顔のために役に立ちたい、そう思いました。それが自分のミッション。その第一歩としてHello Dreamプロジェクトを立上げたのです」

Hello Dreamは、自分が生きている意味を感じ、ありのままの自分を愛し、笑顔になれた小巻さん自身の経験から、自分の可能性を信じて、何かの役に立ちたいと真剣に考えて立ち上げたプロジェクトだ。自分のミッションが明確になり、小巻さんの言動にはよりブレがなくなった。

「50歳になろうとして、やっとにごりのない流れを感じています。30代のころより、今のほうがやる気や好奇心も旺盛で、すごく元気になりました。元気は自分で作るものですね。そうそう、女性は乳がん検診をちゃんと受けて下さいね。私も早期に発見できたので、元気になりました」

2008年5月。教育支援、コミュニケーション活性化、女性支援、国際協力、環境課題?これら5つの分野において新たなソーシャルビジネスの確立を目指しして、株式会社Nalを設立し、代表取締役に就任する。

 「やりたいと思ったことを、やらない理由はない。たとえ3日坊主で終わったとしても、必ず自分の要素になっているはずです。お金がない、時間がない、能力がないなど、やれない理由があるなら、ひとつひとつ克服していけばいい。どうやってお金を作る?時間を作る?スキルを身につける?と考えるようになりました。もし、迷っていることがあるなら、それも否定せずに、今は迷う時期なんだと思えばいい。迷ったまま終わりたくなければ、期限を決めて迷えばいい。今できることを一生懸命やってみようと。その積み重ねの結果が、今だと思っていますね。人生、一寸先は、本当に光なんです。」

Vitamin-She 講座
 2009年1月より、小巻さんが講師を務める女性の元気を応援する講座を4回シリーズで開催する。
 第1回Feel-i(フィールアイ)〜自己理解を深める〜は、1月30日(金)、19?21時、東京・JR大崎駅徒歩2分、TOC大崎ビルディング1号館19階にて。ありのままの自分をみつめ、自分を開放し、理解する講座です。
 以後、第2回 Self Monitoring〜自己受容を深める〜、第3回Life & Work Harmony〜自己実現に近づく〜、第4回Smile Plus〜自己表現を磨く〜を予定。

★詳細・申し込みはNal:http://www.sanrio.co.jp/nal/

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