2016年06月13日 11時21分
新入社員だけではない! リアリティショックを受けないためには?
あれ、何かちょっとイメージと違うかも…“職場での理想の姿”との乖離を防ぐためには
新年度から新しい職場で働いている人は仕事内容や環境に慣れてきた頃だろう。だが、なかには「リアリティ・ショック」を受けている人もいるかもしれない。リアリティ・ショックとは、想像していた仕事内容や職場環境のイメージと、実際に現場で経験したことの違い(ギャップ)を消化しきれず、思い描いていた“職場での理想の姿”と現実が乖離することにより不安や失望、挫折を経験し喪失感を強めることを言う。各地で梅雨入りもして、この時季は特にその影響を受けている人が多いかもしれないが、そうならないためにはどうすれば良いのか?
◆具体的にはどのようなこと?
企業の新入社員が、「自分の能力を最大限に仕事に生かしたい!」と新生活を始めたものの、人間関係がつらい、やることは雑用ばかり、失敗してしまった…などの理由で、「こんなはずではなかった」とひとりで問題を抱え込んでしまう場合に多く見られる。
職種別でいうと例えば、看護師であれば看護基礎教育における学習内容と臨床現場で求められる能力とのギャップに悩んだり、教師や保育士であれば、子どもに向き合う以外に、書類作成に時間をとられたり、保護者から厳しい対応を迫られたりした場合にリアリティ・ショックを受けることがあるという。
◆自身で気をつけるべきことは?
職場内の人間関係を良好に構築するために、あいさつは相手の目を見て、自分から元気よく行うこと。専門知識や技術が求められる職場では、「失敗してはならない」と精神的に追い込まれることもあるが、失敗からも学びがあり、その失敗を次にどう生かすかを考えよう。
新しい職場では戸惑うことも多いと思うが、「ひとりで抱え込むことではない、周囲の人たちの力を借りて成長していこう」と捉え方を変えてみよう。また、分からないことや困っていることがあれば、小さなことでも先輩や上司に相談することも大切。そうすれば、周囲は何に悩んでいるのかを理解することができるため支援を行いやすいからだ。
◆周囲はどのような対応をすべきか?
リアリティ・ショックが深刻になると離職に至ることもあるため、配属先での受け入れ態勢を整えておくことが必要だ。上司や先輩は、何か困っていることや分からないことはないか?など声掛けをして、職場での“縦のコミュニケーション”を心掛けよう。
仕事の進め方などの相談を受けた場合は、「そんなことも分からないの?」などの言動は避け、いつまでに何を、どのように進めるのかを明確に指示し、業務の意味を伝える。上司がキャリアプランについて話す機会を設け、本人が前向きな気持ちになれるようにすることもいいだろう。
リアリティ・ショックを受けるのは、何も新入社員だけとは限らない。ベテラン社員も大きな環境変化に直面すると、リアリティ・ショックに陥ることがあるのだ。“理想と現実とのギャップを感じること”は誰にでも起こり得ること、ひとりで抱え込まないことが大切だ。
(文:寺本亜紀=キャリアコンサルタント)