2008年の流行語大賞の一つは「アラフォー」だった。「40歳前後の女性」を指す言葉だが、同時に彼女たちが仕事・結婚・出産・老後などに抱く、漠然とした悩みが顕在化した年でもあった。そんな悩める女性たちをサポートする、カウンセリング、あるいはコーチングを行うプロフェッショナルがにわかに注目されている。小巻亜矢さんはその一人だ。今回は、社長として働く一方で、2人の子供の母としての顔も持ち、研修や執筆、夢と笑顔を広げるＮＰＯ活動に尽力する小巻さんの人生グラフを紹介する。

　華やかなりし80年代女子大生ブームの最中に青春時代を過ごし、大学卒業後は憧れの会社に就職。職場で運命の人と出会って、結婚。子宝にも恵まれて・・・。

女性として、理想的なライフコースをスイスイと泳いできたように見える小巻さんだが・・・

「女性の多くは30歳になる前に一度、大きな波が来るといいますよね。私はこのままでいいのかしら？　私らしさって何？　私、本当は何を望んでいるのかしら？などと、ふと考えて、仕事や結婚、出産について思い悩む・・・。

私は、30歳前後のタイミングではすでに結婚していたので、特に大きな波はなかったのですが、30代後半から40歳が目前に近づいてきたところで、第2の思春期がやって来たんです。

親から見た娘の私、結婚したら妻になって、子供が生まれると母になった私。いろいろな役割を持って生きている中で、どの自分が本当の自分かわからなくなってしまって、疲れてしまった。誰からもいい人と思われたい、いい嫁と思われたい、いいお母さんでいなきゃと、一生懸命やっているのに、どれも中途半端な気がして、すごく息苦しかった。

解決策として、まず自分をリセットすることにした。その結果、離婚して、子供を育てながら仕事を頑張りすぎたら、体を壊してしまった。もうすぐ40歳になろうとしていて、肉体的にも経済的にも、老後の不安がすごく現実的に迫ってくる。この人生も後半戦だと思うと、このままでいいのかなっていう思いも募って、ものすごく焦っていましたね。

　そんな頃に出会ったのが、“コーチング”でした。コーチングとは、質問を投げかけることによって相手から答えを引き出すコミュニケーション方法で、最近では多くの企業研修や教育現場で、人材の育成やチーム力強化に役立つ手段として取り入れられています。このコーチング術を学びながら、自分で自分の心の声を聞くことができました。つまり、自分で自分をコーチングしたことで、自分のことを丸ごと受け止められるようになって、それでようやく、やりたいことが見えてきた。45歳を過ぎてようやく、なりたい自分像がはっきり明確になり、人生の使命にたどり着いたのです」

　それで、今、とても充実した日々を送っていると笑顔を見せる小巻さん。「人生の使命にたどり着く？」とは、いったいどういうことなのか。それまでの道のりを振り返ってもらった。 　

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女神（ミューズ）の法則
〜セルフコーチングで愛される自分に必ずなれる〜
小巻亜矢
発行日：2008年11月7日
定価：838円（税別）
講談社

アメリカの「コーチング術」を学んだ著者が、自身の体験やセミナーなどを通して多くの女性とかかわって来た経験を踏まえて、理想的な自分になるためのコーチング術をわかりやすく紹介した実践的バイブル。

子どもの心を開く
笑顔のコーチング
本間正人　小巻亜矢
発行日：2008年11月1日
定価：1,300円（税別）
大和書房

全国各地で「笑顔のコーチング」公開講座を開催している本間正人氏と小巻亜矢さんの共著で、子供の笑顔を引き出すための、「楽しい関わり方の工夫」「笑顔の親子関係を築くコミュニケーションの秘訣」を伝える一冊。