マット・デイモン、実在の巨漢役に「画面ではもっとでかく見える」と弁解

映画『インビクタス/負けざる者たち』で第82回アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたマット・デイモン(C) 2009 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.  [拡大する]

映画『インビクタス/負けざる者たち』で第82回アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたマット・デイモン(C) 2009 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC. 

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 公開中の映画『インビクタス/負けざる者たち』で、南アフリカのラグビー代表チームのキャプテン、フランソワ・ピナールを演じている米俳優マット・デイモン。同作で、今年度の第82回アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたが、実にその演技には熱が入っている。ピナールは実在の人物で、同国では伝説的な存在。身長190cmの巨漢で知られるが、デイモンの身長は178cmしかなく、撮影前に本人と対面した際には「画面ではもっとでかく見えますから」と思わず弁解していたとオフィシャルインタビューで明かしている。

 同作は、4度のアカデミー賞受賞を誇るクリント・イーストウッド監督の最新作にして、監督第30作目の記念作。白人支配が続いた南アフリカ共和国で、1994年に初の黒人大統領となったネルソン・マンデラが、アパルトヘイトによる人種差別や経済格差の残る国を、国民の心を“ひとつ”にするため、ラグビー代表チームの強化に乗り出し、翌95年に同国で開催されたラグビーW杯で優勝するまでの出来事を描いたヒューマンドラマ。

 かねてからイーストウッド監督の大ファンだったことが、デイモンの役者魂を奮い立たせた。しかも、イーストウッド監督は「君の役をもう少し大きな役にしたい」と、モーガン・フリーマン演じる主役のマンデラと並び立つほどに、デイモン演じるピナールを演出した。その結果、黒人と白人の対立がW杯優勝をきっかけに融和していく物語が際立ち、マンデラという1人の人間の物語を超えた、より大きな人間の持つ可能性―?人種を超えた協力、過去の過ちに対する和解や許し――を描き出すことに成功している。

 今回、初めて共同作業したイーストウッド監督の印象を尋ねると、「とてもリラックスしているし、あまりたくさんのテイクを撮影しない。必要なだけ撮って終わりだ。心地よさそうに仕事していた」と振り返った。「ほとんどの監督が到達することのないレベル、巨匠の域に彼は達している。撮影しながら、このストーリーを今語る上でベストな方法、一番効果的な方法は何か、というのを考えることができる。先々まで計画を練る必要がないんだ。こういうやり方が出来る人はスピルバーグやソダーバーグなど数えるほどしかいない」とリスペクトの気持ちを語り出したら、止まらなくなった。

 あるシーンの撮影では、「1つのショットで8つのカットアウェイを撮りきっていた」など、もともと「演出に興味があった」というデイモン。イーストウッド監督の仕事ぶりはよほど興味をそそられたようで「彼との仕事はマスタークラスの講義を受けているようだったし、脚本作りについても実に楽しい会話をできた」と充実した現場の様子を話した。

 役作りでは、実在するピナール氏と1か月ほど一緒に過ごし、ラグビーの練習はもちろん、可能な限りハードなフィジカルトレニーングを積んで撮影に臨んだ。

 「1995年ラグビー南ア代表チームは、フィジカルが強かったことがこのチームの大きな勝因だった。タレントに恵まれたチームではなかったけれども、並外れた勝利へのこだわりがW杯に出場したどのチームよりも厳しいフィジカルトレーニングへとこのチームを駆り立てたんだ。役者の仕事で重要なのは説得力だから。観客が気をそがれてその役を信じられなくなるような箇所が映画の中で一瞬でもあったとしたらその仕事は失敗だ。ピナール氏と一緒に過ごしたことが最良の役作りだったね。彼の全体の雰囲気を自分の演技で出そうと務めたんだ」

 マンデラ役のフリーマンとの共演もデイモンの夢だった。

 「実は10年前、僕があまりに頻繁にモーガン・フリーマン論を熱く語ったので、当時の僕のアシスタントが夕食の約束を取り付けてくれたことがあったんだ! フリーマンは食事につき合ってくれて、演技について数時間話をしてくれた。10年経って、彼と共演できて、その作品の監督をクリント・イーストウッドがやっているなんて、まさに夢が叶った瞬間だよ」。

 最後に、南アフリカで行われた同作の撮影で一番印象に残っている思い出を聞くと、「(イーストウッド監督の撮影が速いので)朝食も夕食も子供達と一緒にとることができたこと。こんな撮影聞いたことがないよ。子供たちを連れてケープタウンを散策するというとても特別な経験を共有することが出来た」と子煩悩な父親の顔も覗かせていた。

 映画『インビクタス/負けざる者たち』は東京・丸の内ピカデリーほか全国で公開中。

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