とある会社の営業朝会にて、エンジニアの男性(Aさん)が営業社員に対して新商品の
説明をしています。
Aさんは営業部長に依頼された仕事なので、期待に応えようと知っている限りの商品情報を全て提供し、
営業さんの役に立とうと準備をしていました。
ところが、開始後10分たっても20分たってもAさんの話は終わらない。
結局延々1時間もその説明に費やしてしまったのです。営業はとても忙しく、
朝からそんなにじっくりと話を聞く時間はありません。途中で退席者は続出し、
居眠りをする人もちらほら…。ですが、準備してきた内容を説明することで精一杯だったAさんは、
そんな聞き手の状態に注意を払うこともできず、用意した内容をきっちり最後までしゃべりきって
しまいました。
その後・・・すでに1時間も話を聞かされた後だったため、部屋の中はうんざりした雰囲気が漂っていた中、
違う商品について別のエンジニア(Bさん)が説明を始めました。
すると、どうでしょう。今度は先ほどと打って変わって、
営業さんが身を乗り出して話を聞いているではありませんか。一体何が起きたのでしょうか?
Bさんはなんと最初、商品の説明は一切せず(商品の説明会なのにもかかわらず)代わりに、
聞き手である営業さんたちの担当業界の案件をたくさん紹介したのです。
自分にとても関係のある有益な話なんだ、と思わせることに注力していたのです。
そして、「こんなケースがあったらまずはご相談ください」と手短かに締めくくり、
話はわずか10分。途中、商品に関する説明はたった1分。
Bさんは決して優れた話術で皆を魅了したという訳ではありません。
にも関わらず、部屋を見渡すと、誰一人居眠りもせず、退出もせず、
明らかに”自分のこととして聞こうとしている状態”になっていました。