2015年07月24日 10時00分

出版界にも“水どう”現象!? 嬉野Dの初エッセイが発売5日で重版決定

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嬉野Dの初めての単独書籍『ひらあやまり』(KADOKAWA刊)

 先週17日発売された、バラエティ番組『水曜どうでしょう』(HTB)で、カメラマンを務めた嬉野雅道Dの、初エッセイ『ひらあやまり』(KADOKAWA刊)の重版が、この度決定した。人気番組のディレクターとはいえ、一介のサラリーマンのエッセイが、発売から1週間も待たずに重版決定とは…。一昨年の『大泉エッセイ 僕が綴った16年』(KADOKAWA/メディアファクトリー刊)のヒットに続き、出版業界においても、予測不可能な「どうでしょう」現象は健在といえそうだ。

 通販サイト・Amazonにて、カテゴリ「本/エッセイ・随筆」の売れ筋ランキングでは、芥川賞作家・又吉直樹、巨匠・村上春樹、人気作家・伊坂幸太郎に次いで、なんと6位にランクイン(7月23日現在)。しかも、新刊・予約ランキングでの同カテゴリにおいては、発売に関する告知が出る前にもかかわらず1位を飾ったというから驚きだ(7月8日時点)。

 まず、表紙が謎である。謝っている感ゼロの写真に「ひらあやまり」の文字。一体、50代半ばのおじさんは、どこに向かって土下座なのだろう? ページをめくれば巻頭では嬉野Dがスーツを着てポージング、また妖艶にバスローブに身を包む(!?)などしたグラビアが8頁におよぶ。着せたのは“どうでしょう”のカリスマスタイリスト・小松江里子氏と、かなりカオスな始まりだ。

 しかし、同書で『水曜どうでしょう』に焦点を絞って書かれたのは、全10段のうち、第3段『「水曜どうでしょう」アフリカロケと大泉洋』のみである。ここでは、2013年に放送された同番組の新作ロケの後日談がつづられている。

 放送開始当時、気のいい大学生だった大泉は、20年を経て、いまや名実ともに日本を代表する俳優の1人に成長した。しかし、同番組における彼の役回りは、ディレクター陣のズサンな番組作りに翻弄される“最年少の大泉君”で、在り続けている。

 実の親子でさえ、20年という時間は、関係性に支障をきたし、時に崩れてしまうこともあるのに、なぜ彼らは、いつまでもその形を変えず、“どうでしょう”という舟に乗り続けていられるのだろうか…。その裏側を少し垣間見えるのが、この第3段だ。大泉が「(嬉野)先生の言葉には本当に魔力がありますなぁ」と表現する通り、嬉野氏だからこそ構築できた人間関係、仲間という甘え、そして互いの尊敬の気持ちがつづられている。

 だが、同書は決して“どうでしょう藩士さえ楽しめれば”という内容ではない。佐賀県出身の嬉野氏にとっての「北海道という場所」、仕事との係り方、また、実父の他界について思うこと、感じたこと、幼いころの父との思い出が書かれている。親との死別は、大人になって避けては通れない現実であり、何を感じるかは人それぞれ。しかし、男性だからこそ共感できる「父への想い」は、読み手の心をぐっと引き寄せる。

 今回の本について、嬉野氏は「今までの自分の価値観や、自分にとっての幸せについて綴ったの」と紹介。また「これでも、割にひどい目に遭ってるおっさんが書いた『それでも僕は負けない』って一冊だと思うから、ひどい目に遭っている人が読んでくれても、共感できるかもしれないね」と笑った。

 エッセイ『ひらあやまり』(KADOKAWA刊)は、名物ディレクター・藤村忠寿との秘話から、「第九段 勇気をくれる仲間がいたと思うんです」、「第十段 人生は生きていることが醍醐味ですよ」など、人柄が溢れるエピソードを収録。小松氏が同書の帯に書いた通り“救われる人はたくさんいると思う”一冊になっている。

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