【働きビト】Vol.06 ため息はつかない! 剛力彩芽、笑顔の秘策は“母との絆”
――今年はモデルから女優業に加え歌手デビューに番組MCと幅広いご活躍でしたが、振り返っていかがでした?
剛力初めてのお仕事、現場をたくさん経験させていただいた1年でした。分からないことだらけのなか、みなさんに教えていただくことばかりで。とにかく吸収して、吸収して…吸収した分、色々な自分を出していく。
気がつくと、自分の中でどんどん“もっともっと、こうしたい”という強い思いが生まれて、貪欲にいきたいなって(笑)。そういう気持ちも含めて、自分自身も知らない一面、いろんな感情が溢れ出た1年でした。
剛力基本的には落ち込んだりすることがあまりないんです(笑)。すごく小さい頃は“気にしい”で、ポジティブな子ではなかったんですけど…でも、母がいつも「彩芽は強い子だ」って言ってくれていました。おかげで、周囲ばかりを気にするとか、誰かをライバルって感じたりすることもなく過ごしてきました。
――物事の良し悪しは、自分で決めていくタイプだった?
剛力そうですね。どんなことも、ライバルは自分。負けず嫌いで、いつも自分に負けたくないと思っています。反省もしなくちゃいけないし、目標に向かって自分の改善点を見つけていかなくちゃいけない。落ち込んでいる時間がないって思います(笑)。
剛力仕事が好きという事でしょうか? 単純ですよね、アハハッ。今の私は「好きなことをお仕事にできた!」という気持ちで、お仕事を忙しくさせてもらえることは、あまりネガティブに感じないんです。むしろ、うれしい(笑)。
――気持ちをポジティブに持っていく、秘訣のようなものってありますか?
剛力私は実家暮らしなので、なんでも母に話すんです! その日あったことを全て母に話さないと、私の気がすまない(笑)。話を聞いてもらえることで、気持ちがすごくスッキリします。
もし、失敗したことを気にして誰にも話さずに溜め込んで次の日が来たら、また朝から「はぁ〜。今日は、うまくできるかなぁ」っていうテンションを引っ張ってしまうから。そうはなりたくないんです。その日のことはその日のうちに消化して、「今日も楽しかった」と思って、眠りたい。
よく「寝たら忘れる」って言いますけど、忘れちゃうように自分の気持ちを整えることってすごく大事ですよね。自分の気持ち次第で、どんな風にも変わっていけると思うから。
剛力もちろん、私も「疲れた」って言っちゃうことはあります(笑)。ただ、なるべく言わないようにしていて、もし口に出すなら1回きり。「ふわぁぁーー、疲れた…。よし、終わり!」って、その1回で全部吐き出しちゃう。自分の中で決めているルールのようなものです。
疲れた、苦しいとか、そんな言葉を何度も言っていると、そのサイクルにはまっちゃう気がするんです。仕事が好きだし、こうして毎日お仕事場に行けることも本当に夢みたいだって思っています。だから、「バタバタしているけど、もうすぐ終わります」とか、「忙しいですけど、うれしいです」とか、少しでもポジティブな気持ちになれる言葉をつなげるようにしています。
剛力まさか(三谷作品に)出演させていただけるとは思っていませんでした。驚いたんですけど、いただいた台本はとにかく面白くて。妻夫木(聡)さんが障子を破るシーンとか、旗取り合戦のシーンとか、どんな画になるのか想像できなくて(笑)。楽しみながら読ませていただきました。
お歯黒も眉をつぶすことも滅多にできない経験ですから、自分でもどういう顔になるのか楽しみにしていたんですけど、試写を観てくれたスタッフさんから評判が良くてびっくりです(笑)。ホッとしました。
剛力映画『清須会議』私は中谷(美紀)さんとのシーンが多かったんですけど、とにかく温かくて優しい方でした。私が緊張していることをいつも気にかけてくださって、お芝居のことや着付けの話など、いろいろお話ができました。撮影の最後は、「時間があったから」と、全員にお茶をたててくださったんです! さらにそのお茶請けがとてもおいしい(笑)。
カメラが回れば、お芝居から温かい人柄がダイレクトに伝わってきて。女優さんとしても尊敬していますし、一人の女性としても本当に憧れています。自然な気配りができる方で、マネしたいところをたくさん持っていらっしゃる方でした。
剛力今回、メインの女性キャラクターが3人いますけど、監督から「3人それぞれに感情を当てはめていきたい」と伺って、なるほどと思いました。ただ、私が演じる松姫は「切なさ、悲しさがある」と説明をいただいた時は、とても意外に感じました。
出番自体はそれほど多くないんですけど、物語のキーパーソンの一人ですから…最初は私がこんなに大事な役をいただいていいのかという想いもありました。どう演じたらいいかと…。松姫の生い立ちや人柄を調べてみたり、かなり時間をかけて考えました。
ひとことで松姫を言い表すと“強い女性”ですよね。武田信玄の家に生まれて、織田家に嫁ぐ。政略結婚するって、その時点でものすごい精神力が必要だと思うんです。
――ラストカットの剛力さんは、女性の強かさと怖さがにじみ出る笑顔でしたね。
剛力あのシーンの笑い方は、どんな風に見せるかをすっごく研究したんです。話しているときはなるべく口を開かないようにして、最後にカメラが寄ってきたところで、口元を見せる。あの長回しのシーンはすごく緊張して、いやな汗をかいていましたね(笑)。
【プロフィール】
女優 剛力彩芽
1992年生まれ。雑誌『SEVENTEEN』(集英社)の専属モデルを経て、女優へ。2012年『日本映画批評家大賞』新人賞などを受賞。最新出演作は映画『清須会議』、TBS系ドラマ『クロコーチ』。
女優 剛力彩芽
1992年生まれ。雑誌『SEVENTEEN』(集英社)の専属モデルを経て、女優へ。2012年『日本映画批評家大賞』新人賞などを受賞。最新出演作は映画『清須会議』、TBS系ドラマ『クロコーチ』。
原作・脚本・監督:三谷幸喜
出演:役所広司、大泉洋、小日向文世、佐藤浩市、妻夫木聡、
浅野忠信、寺島進、でんでん、松山ケンイチ、伊勢谷友介、
鈴木京香、中谷美紀、剛力彩芽、ほか
■公式HP:http://kiyosukaigi.com(外部リンク)
【story】原作は三谷幸喜の同名小説。本能寺の変のその後、織田信長の跡取りを名乗りでた猛将・柴田勝家と、後に天下統一をなす羽柴秀吉を主人公に、戦国時代にして“話し合い=無血”で時代を切り拓いた知略戦ともいえる「清須会議」を映画化。