2015年08月22日 09時20分

【働きビト】サザンに福山、アミューズ中堅劇団の葛藤と希望

劇団プレステージの(左から)リーダー・今井隆文、平埜生成、猪塚健太 (C)oricon ME inc. [拡大する]

劇団プレステージの(左から)リーダー・今井隆文、平埜生成、猪塚健太 (C)oricon ME inc.

 サザンオールスターズ福山雅治といった、売れっ子アーティスト、俳優たちが所属する大手芸能プロダクション・アミューズに“赤字になったら即解散”というルールの元、活動し続ける劇団がいる。その名も、劇団プレステージ。発足当初は、瀬戸際の闘いを繰り広げてきた彼らもじわじわと集客を伸ばし、2005年1月のユニット発足から今年で10周年。メンバーたちは、アニバーサリーイヤーを迎えられた喜びを感じる一方、中堅劇団ならではの危機感も感じているという。厳しい環境を生き抜く彼らの、仕事への向き合い方に迫った。

◆まったくチケットが売れなかった暗黒時代

――ユニット発足から数えると今年10周年。現在20名が所属する劇団には“赤字になったら解散”というルールがあって、これまで苦労も多かったと思いますが。
【リーダー・今井隆文】 そうですね。旗揚げ前にユニットでやっていた5年間が暗黒時代でしたね。
平埜生成】 僕は2009年に入ったんですけど、当時はチケットが本当に売れなくて。 団員総動員で友だちに声をかけたり、専門学校などに「観に来ませんか?」と声をかけに行ったり。あの時が一番大変でしたね。

――でも、2010年に本格的に旗揚げをしてからは、順調に劇場が大きくなっていきましたね。何がきっかけでファンの方が増えてきているんだと思いますか?
猪塚健太】 事務所主催で『Amuse Presents SUPER ハンサム LIVE』っていうイベントを開催しているんですけど、それに出た時に注目してくれたり、あと僕と生成はミュージカル『テニスの王子様』に出ていたりもするので、そこで若い世代の方にも観に来てもらえるきっかけになったのかな?という実感はあります。

――今は劇団として、そして個人の俳優としても活動されていますが、これからどういう俳優になりたいと思っていますか?
【今井】 個人的には、僕はイケメンではなくブサイク枠の俳優なので(笑)、そこでトップを目指したいという思いはあります。

――確かに、40歳くらいになると「オッサン枠がある」ということを、同じアミューズ所属のTEAM NACSの音尾琢真さんが言っていたのを聞いたことがあります。
【今井】 そうなんですよ。続ければ続けるほど、ライバルが減ってくる。僕の枠には、同じような俳優がそんなにいないので、そのすき間で戦っていこうと思っています。
【平埜】 僕は今22歳なんですけど、とりあえず楽しいことを続けていきたいです。昨年、蜷川幸雄さん演出の『ロミオとジュリエット』に出させていただいて、それで人生観が変わったところはありますね。
【猪塚】 僕は今井さんとは逆で、俳優としてはありふれているわけですよ。20代後半でこの風貌の俳優枠は競合だらけなんです。だからこそ、30代に入ってからが勝負みたいなところがあるので、自分の居場所を見つけて、キャラを確立していきたいですね。

◆生き残りには、さらなるレベルアップが必須

――8月8日から公演中の『Have a good time?』は、2012年の第4回公演の再演になるんですね。
【今井】 そうなんです。この作品は、ダンスや歌などいろいろな要素が入っていて、誰が観ても分かりやすくて笑える、劇団プレステージらしさが詰まった作品です。 僕らが作ってきた10年間が詰まった作品でもあるので、今回はこれまで応援してくれたファンの方へのメッセージも込められているんです。

――感謝の意も込められているんですね。リーダーである今井さんは、これから劇団をどういうものにしていきたいと思っていますか?
【今井】 みんな歳をとってきてしまったので(笑)、そろそろ一気に勝負をかけて、自分たちの良さは残しつつも作品のレベルをさらに上げていかないと、劇団として生き残っていくのは厳しいのが正直なところだと思うんです。来年何を仕掛けていくかがすごく大事だと思うので、ひとまずこの公演を絶対に成功させて、それからまたゼロからスタートするつもりの気持ちでやっていけたらいいなと思っています。

――10周年を迎えて原点回帰という感じですね。
【今井】 そうですね。今とは違う層のお客さんにも、観に来てもらえるようになりたいですね。自分たちの劇団としてもそうですけど、ほかの劇団を巻き込んでみたり、外部と一緒にやってみたりして、舞台自体も盛り上げていけたら良いですね。

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