2011年06月03日 06時00分

鈴木杏、一糸まとわぬ体当たり演技で新境地

これまでにない役柄で“新境地”を切り開いた鈴木杏 (C)ORICON DD inc.  [拡大する]

これまでにない役柄で“新境地”を切り開いた鈴木杏 (C)ORICON DD inc. 

 女優・鈴木杏(24)が官能シーンに挑んだ映画『軽蔑』(廣木隆一監督)が、あす4日より公開される。ポールダンサーとして夜の街で生きながらも、最愛の男を一途に思い続ける女性・真知子を熱演。ORICON STYLEのインタビューに鈴木は、従来のイメージを覆すような“演技”への「とまどいや躊躇(ちゅうちょ)は全くなかった」とキッパリ。これまでの殻を破り「生身でいることの大切さっていうものを、改めて感じることができました」と手応えもあった。

 二人の男女の生々しくもひたむきな愛を描いた、芥川賞作家・中上健次氏の最後の長編作を実写化。夜の街で欲望のままに生きる男・カズ(高良健吾)は、歌舞伎町でダンサーとして生きる真知子と恋に落ちる。カズの故郷で新たな生活を始めた真知子だが、深まる二人の愛に反するかのように巻き起こる周囲からの“軽蔑”により、つらく儚い運命に翻弄されていく。

 快諾はしたものの、出演オファーの時点で「役柄的にちょっとハードなことになりそうだなと。中途半端なことするんだったら、初めからやっちゃいけない役」だと覚悟を決めた。強い意志を持って現場入りしたが、“廣木組”による撮影は容赦なかった。「散々しごかれて。監督は現場に入ると言葉数が多くなかったんですが、それが逆に怖くて。『もう1回。はいもう1回。全然わかんねえ』とか言ってくるから、もうパニック」と今振り返っても苦笑いだ。

 そんな鈴木をそばで支えたのが、同い年でもあり本格的な共演は初となる高良だ。「想像していた以上にまっすぐで。変にカッコ付けたりしない、彼自身が“生身の人”という感じ。本当に動物的な人で、それはすごい素敵なことだな」と思えた。現場ではいい距離感でぶつかり合い、高良を「戦友」と呼ぶ。「これからもお互い役者人生を続けていくと思うので、またどこかでご一緒したいですね」と思いを馳せた。

 劇中で目を引く色気漂うポールダンスのシーンでは、全身アザだらけになりながら鍛錬を積んだ。「真知子ちゃんという役には色気が必要で、かたや私は『お前、ほんとに色気がねえな』って言われるくらいだったので…」と自虐的になりつつ、「想像以上に、難しくて大変でしたね…。ちくちょう!って思ってました(笑)。もっとやれたと思います」と女だからこそのプライドものぞかせる。

 各方面で話題となった高良との愛憎あふれる濡れ場も、本人はいたって冷静だ。「とまどいや躊躇(ちゅうちょ)は全くなかったですね。『軽蔑』という作品をやるにあたって、濡れ場は絶対にあると最初からわかっていたので。大きなことなのかもしれないですけど、“脱ぐ・脱がない”みたいな話は、私的には大きな出来事でもなかった。お芝居をしていくことのほうが、もっと大変だと思います」。

 子役時代から多くの作品に出演してきたが「いろんな経験をさせていただいてきて、良くも悪くも“鎧”みたいなのをまとっていたと思うんです」という。「そのまとっているものの中身、“生身”でいることを、監督には要求されてたんだなと気づいた」。それは今後の芝居にも変化をもたらす。「臨機応変に、いろんなことをできる人でいたいな。あまり考えすぎず、その瞬間に自分ができる、やるべきことをちゃんと捉えていきたい」と前を見据えるその目からは、確かな自信がみなぎっていた。

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