劇団ひとり、全フィクションの“自叙伝”発売 〜我が子に「絶対読ませません」

『劇団ひとり カプチーノを飲みながら』(太田出版)を発表した劇団ひとり (C)ORICON DD.inc  [拡大する]

『劇団ひとり カプチーノを飲みながら』(太田出版)を発表した劇団ひとり (C)ORICON DD.inc 

 タレント・劇団ひとりが、サブカルチャー誌『QuickJapan(クイック・ジャパン)』(太田出版刊)で7年間連載してきた「劇団ひとり カプチーノを飲みながら」を同誌特別号としてこのほど上梓した。自身扮する「伝説の達人」に、芸人・劇団ひとりが毎回“インタビューする”という全40回の連載を綴った同書は、彼のコントの世界をそのまま書籍化したような1冊。「崇高な自叙伝だと思ってます。完成度は100点」と自信をのぞかせる一方、「子どもには絶対読ませません」という異色作。文壇デビューにして映画化もされた代表作『陰日向に咲く』(幻冬社)とはかけ離れた、本人いわく「根源はバイオレンスと下品に集約されている」という同書の魅力を語ってもらった。

■『陰日向―』で僕を知った人は、絶対買わないで!

―― 2006年の『陰日向〜』でその文才を高く評価されたひとりさん。その真逆ともいえる同書の発売はちょっと意外でした。中にはヌード写真もありますし(笑)。

劇団:そうですね。まず、最初に言っておきたいのは『陰日向』を読んで良かったから、今回もこの本を買ってみようと思う人がいるなら、それは大間違いです。やめてください。「あなたの望むものは、何一つ書かれてません」と伝えたいです。

―― 今回、妄想から生まれた全40人の伝説の達人たちですが、自身との共通点は?

劇団:基本はバイオレンス。共通項は暴力と下品だと断言できますね!

―― 暴力は外向的? それとも内向的なものですか?

劇団:どっちもかな。外側に向けてもある意味暴力的といえます。一番気に入ってるのは「第34回 伝説のマナー講師 マナー礼二」。マナー講師にして、常に股間の前で手を組んでいる。どんなに動いても、そこを隠すことを忘れないという、伝説のマナー教師ですね。

―― どの達人も個性的ですが、道を極めるあまりに生まれる“行き過ぎた”哀愁、また世間に対する毒舌が見え隠れしますよね? これこそ、ひとりさんの心の声を代弁しているのかと思いました。

劇団:うーん……。整理整頓が行き過ぎて、最後に自分までを「ゴミ」として捨てようとする「お掃除の達人 クリーン相沢」とか、ちょっと良い事言ってますよね? でも、現代社会に一石投じたいとか、そういう主義主張はまったくないです(笑)。文字数が埋まればいいな〜という気持ちでした。前半は物事の真理をついたようないい事をいってるんですよ。でも回を重ねるごとにエスカレートしちゃってね。お尻に札束挟んだりしてましたから。

―― でも、最後のロングインタビューでは「インタビュアーはお決まりの質問をし、想定内の返事を原稿に並べる」といった、いつも取材を受けておられるひとりさんだかこその辛辣なコメントもありましたが。

劇団:これはね……インタビューをする人たちへの警鐘です! ネットで調べてすでに知ってるのに、わざと質問する。で、答えると「はいはい、そのエピソードね〜」みたいなおざなりな流れもあるでしょ? 僕はそこを指摘したい!(真意は)この本は、読者に対する警告です。騙されちゃいけない!という。人類へ警告ともいえますね。

―― 壮大ですね。奥様・大沢あかねさんはもう読まれたのでしょうか?

劇団:いえ、まだ読んでないですね。子どもには読ませないです。家にも持って帰りません。子どもの目には触れさせません。この表紙、すごいかわいいでしょ? まだ全く汚れていない感じです。でも、この表紙からは推測できない汚れ具合がこの本には詰まってます。そんな本を子どもに読ませることはできません!

■「“芸人・劇団ひとり”を完璧に表現できた」

――小説家として世間から認められた書籍とは真逆のタイプの本を出す。今後の反響に対する怖さに似た気持ちはないですか?

劇団:それはないです。僕にとって一番自信のある仕事がこの連載。例えばドラマに出させてもらっている時には「俺がこんな役者畑に居させてもらっていいのかな?」と思うし、バラエティの現場でも「こんな一流のお笑い芸人のなかに居ていいのかな」って、負い目に近い感情もあります。でも、ここでは無い。

―― 葛藤のなかで仕事を続け、それでもこの連載だけはご自身のホームだと?

劇団:はい。ここは誰にもゆずれない俺のフィールドだと思ってます。この連載あっての全ての仕事であり、7年を費やした僕の集大成。いわば“高尚な自伝”です。(完成度は)100点。自分の生い立ちから始まって、過去の出来事を振り返っていくスタンダードな形ではないけれど、“芸人・劇団ひとり”を完璧に表現できたと思います。

 ちなみに伝説の達人のコスチュームも同書の見どころの1つ。後半になると「歯止めがきかない。スタッフにネタと原稿をFAXして現場で衣装チェックなんですけど、僕でさえ度肝を抜かれる回があります。ぜひ注目してほしいな」と、さり気なくスタッフへの信頼を明かす。また、漫画『劇団ひとり物語』も収録されており、「すごく気に入ってます。個性的な世界観もデザインも。書いてくれた今純子さんていう才能に溢れた人に出会えたことが大きな財産になりましたね」と、支えてくれた人たちへの感謝を語った。

 誌面に登場するのは、伝説のマジシャン「トリッキー堺」や花火師「ドカン花村」、究極のマゾヒスト「ミンチ栗山」など独創性に溢れたテーマばかり。そのほか撮り下ろしの巻頭カラーグラビアも収録されている。『劇団ひとり カプチーノを飲みながら』(太田出版刊)は、全国の大型書店にて発売中。

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