鬼才・板尾創路の願い「月を見たら思い出してほしい」

沖縄でインタビューに応じた板尾創路監督と矢部太郎(カラテカ) (C)ORICON DD inc.   [拡大する]

沖縄でインタビューに応じた板尾創路監督と矢部太郎(カラテカ) (C)ORICON DD inc.  

 お笑い芸人の板尾創路がこのほどORICON STYLEの取材に応じ、自身が監督した2作目の長編映画『月光ノ仮面』について語った。今秋の公開に先駆け、『第3回沖縄国際映画祭』(3月18〜27日)で初上映された。「何回も繰り返し観たくなる映画を目指したので、あえて登場人物に心情を語らせず、あえて説明不足にしています」と意味深に語る。

■2作目の監督作品は落語家が主人公

 テレビ、映画、舞台、書籍、CDなど多方面で活躍する板尾は、2010年『板尾創路の脱獄王』で映画監督デビュー。「1作目で勉強したこと、うまくいったことを、さらにパワーアップすることができたら、もっと面白いものが作れると思った。何事もゴールはあるようでない。これ以上ないと思えたら幸せなのかどうかもわかりませんけど…。日々、生きているといろんな刺激を受けますからね。また、映画を作りたいと思いました」と話す。

 『月光ノ仮面』は、敗戦の痛手癒えぬ昭和22年、戦死したと伝えられた男が帰郷することから物語は始まる。その男は戦前、人気、実力ともに認められ、将来を約束された落語家・森乃家うさぎ。だが、男は戦争で負った傷のため、顔を包帯で包み、一切の記憶を失くしていた。

 脚本も板尾が書いた。「ラストシーンが最初に思い浮かびまして、映像化したいと思った。それを映画にするにはどうしたらいいか、前後のストーリーや登場人物を考えていきました」。

 主人公を落語家にしたのは、「漫才師やコメディアンだと等身大すぎて、イメージが限定されやすい。どういうものかは知っていても詳しくは知らない落語の世界に興味もあったので、いろいろ調べていったらストーリーもふくらんでいきました」。大阪出身の板尾にとって落語といえば上方落語だったが、今作ではあえて江戸落語を一から勉強した。

 時代設定について板尾は、「ドラマになりやすいと言ってしまったらそれまでなんですが…」と恐縮しながら、“笑い”へのこだわりを口にした。「調べてみると当然、落語家も戦争に巻き込まれ、兵隊として戦争に行った人、戦地へ慰問に行った人、亡くなった方もいるし、禁演落語といって戦時中、演じる事を封じられた落語もあった。戦後、活気を取り戻した寄席には、“笑い”のパワーがあったと思うんですよね」。

■なぜ、カラテカの矢部太郎が…?

 主演も務めた板尾監督と共演するのは、浅野忠信石原さとみ、前作に続き國村隼ら実力派の俳優たち。「浅野くんが演じる役は、最初から彼をイメージして脚本を書きました。一緒に仕事をするのは今回が初めてでしたが、出演オファーを快諾していただき、なんともぜいたくな感じがします。石原さんは和服が似合うと思ったし、顔立ちからも昭和のいい香りがするなぁと注目していました。落語家の師匠の娘らしい品の良さと、色っぽくてかわいらしい女性を、イメージどおり体現して下さった」と満足げだ。

 今回のインタビューにはお笑いコンビ・カラテカ矢部太郎も同席。“森乃家”の一門弟子のひとりとして出演している。板尾監督は「矢部みたいな落語家もいるんじゃないかなと思って(笑)。浅野くんと同じで、最初から出てもらいたいと思っていました」と、矢部にとって嬉しい一言。

 矢部は緊張のあまり、クセになっている“手”の動きが止まらなかったが、「すごくいい経験をさせていただきました」。板尾監督は「このキャラクターですからね」と微笑みながら、「どんな役でもいいわけではないが、矢部にぴったりの役もあると思うので、この映画を見て矢部に目がとまった映画関係者は吉本興業までお電話ください」と目をかける。

 同映画の公開はしばらく先だが、板尾監督は「映画の中では、毎日満月が出ている異常な世界観を作っています。自然界の生態のあらゆるリズムが月の満ち欠けと連動していますし、月の魅惑的な力は人々にさまざまな影響を与えるといいますから、月をみたらこの映画のタイトルを思い出して、公開されるまで気に留めておいもらいたい」とアピールした。

 さらに、ひとつだけネタをバラすと、板尾監督が演じる記憶を失った男が、空ろな口調で何かつぶやいているのは、古典落語の一つ「粗忽長屋(そこつながや)」である。映画の公開までにCDやDVDなどであらすじを知っておいて損はない。寄席に落語を聴きに行ってみるのも一興だ。

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