『わさお』錦織良成監督、「CGは一切使っていません」

錦織良成監督 (C)ORICON DD inc.   [拡大する]

錦織良成監督 (C)ORICON DD inc.  

 「ぶさかわ」と人気のオスの秋田犬・きくやわさお(推定3歳)を主人公にした映画『わさお』が5日、全国公開された。実際にすむ青森県鰺ケ沢町を舞台に、わさわさの毛を風になびかせ、駆けまわり、静かに海を眺める…。時に人間のように振る舞う場面もあり、「CGじゃないかと疑う人もいるが、CGは一切使っていません」と錦織良成監督は力説する。

 写真集が発売されるほど、全国区の人気を誇るわさおが、ただ登場する映画ではない。これはフィクション。わさお自身が現在の飼い主・菊谷節子さんと出合う前、捨て犬だったという過去にフィーチャーしたオリジナルストーリーの中で、わさおは堂々と主役を張った。

 「CGも使っていないけど、わさおは演技をしているわけでもないんですよね。ここは走るシーンだから“走れ”と命令されて走っているのではなく、わさおが走りたくて走っている映像なんです。わさおの表情に嘘がないから、これまでの犬映画と違う何かが伝わると思う」と錦織監督。

 そもそも、わさおは“演技”をするために訓練された犬ではない。都会に暮らす飼い犬に比べたら、しつけもユルイ。わさおの野性味にあふれた魅力はそれゆえ。監督は「初めてわさおに会った時、おすわりもできなかったし、飼い主の節子さんが呼んでもこないという状況でした。それで映画を撮ろうというのは、無謀だと思いました」と述懐する。

 エサをチラつかせても、お腹が空いていなければ見向きもしない。撮影初日、「さぁ、ファーストカット、本番」いうところで、節子さんがリードを放した途端に白神山地の森の中に逃亡した、わさお。これまでの犬映画のセオリーがまったく通じない。

 そんな監督を助けたのは、主演の女優・薬師丸ひろ子の言葉。彼女はプライベートでも犬を飼う大の犬好きとして知られているが、「早く合理的に撮ろうとするあまり、犬の本質的なことを見失わないで欲しいとおっしゃられた。わさおはわさおだから、と。確かに、わさおに頼まれて映画を撮るわけではない。予定通りにいかなくてもわさおのせいにしない、イライラしたり怒ったりしないというルールを現場のスタッフ・キャスト全員が守るようにしました」。

 わさおの様子を見てカメラマンがカメラを回し始めたら、それが本番。わさおのシーンだけで55時間分の映像を撮ったという。ところが、飼い主・節子さんの尽力もあり、撮影が進むにしたがって「台本を読んで理解してやっているんじゃないかと思うような、奇跡のシーンがたびたび起こるようになった。よく“映画の神様が降りてきた”といいますが、まさにそれを実感した現場でした」。

 観客がCG、3Dにも慣れてきた昨今。俳優の表情にもCGを施すデジタル時代に、錦織監督があえて『わさお』に求めたのは「映画館の大きな画面だからこそ、1カットで見せる映画の醍醐味。デジタルで簡単にごまかそうとしても、観客はその安っぽさに気づくから。人間の勝手な都合ではテコでも動かないわさおだったからこそ、この映画が撮れた」と話していた。

【動画】映画『わさお』予告編⇒


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