『芥川賞』対照的な2作品に光 『直木賞』完成度の高さに選考委員も感服

(左から)芥川賞選考委員・黒井千次氏、直木賞選考委員・浅田次郎氏 (C)ORICON DD.inc [拡大する]

(左から)芥川賞選考委員・黒井千次氏、直木賞選考委員・浅田次郎氏 (C)ORICON DD.inc

 東京・築地の「新喜楽」で17日に発表された『第146回 芥川賞・直木賞』(日本文学振興会主催)の受賞作は、芥川賞が円城塔氏の『道化師の蝶』と田中慎弥氏の『共喰い』の2作品、直木賞は5度目のノミネートとなった葉室麟氏の時代小説『蜩ノ記』に決定した。2作同時受賞となった芥川賞作品について選考委員の黒井千次氏は「現代的で知的な作品と、いささか古めかしい作品」と両極性を語り、“現代的”とした円城氏の『道化〜』の選考過程を「その新しさの面白さという点に注目が集まって、評価された」と伝えた。

 先に発表された直木賞について、選考委員を代表し会見に登場した浅田次郎氏は過去の4回のノミネート作品と受賞作を比べ「これまでにない完成度の作品」と称賛。「今までの選考では私が、葉室さんの作品をけなしてきた急先鋒でしたが、今回は誠実に勉強されて書き改めたものを出され、頭の下がる作品でした」と続け、“5度目の正直”となった葉室氏を「“小説家かくありき”というお手本のような作品」と大絶賛した。

 続く芥川賞選考委員の会見には、今回で同選考委員を勇退する黒井氏が代表で登場。先に過半数を満たした田中氏の受賞が決定したことを明かし、閉そく感漂う地域社会を通じて性と暴力を綴った田中氏の作品については「文章の密度が大変に高く、描かれる世界が人物も含めてきっちりと描き出されている。これだけの力量のある新人はめったにいない」と評価した。

 一方、4度の投票の後に受賞が決まった円城氏の作品については「読んでいて楽しい、面白い、ハラハラするという小説ではありません。一種のフィクション論ではないか」と自身の見解を発表。過去の受賞作にはない作風が評価の分かれ目だったと明かし、「今までの作品と違うのではないかというところの面白さ、 その新しさの面白さという点に注目が集まって評価された」と受賞の経緯を語った。

 また、黒井氏への質疑応答が続く中、取材陣から芥川賞の選考委員を務めた石原慎太郎東京都知事が、先日の定例会見で「自分の人生を反映したようなリアリティーがない」と辛口批判を述べたことについて質問が出たが、選考の場で石原氏自身がその話題に触れる事はなかったという。

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