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働きビトinterview

Vol.12 豊川悦司が語る、過酷すぎる山岳ロケの裏舞台

人生は徒労の連続…だからこそ、捨てたもんじゃない

豊川悦司

―― お話を伺っていると、監督はとてもまじめで、かなり厳しいお人柄のように思います。

 監督は、僕が演じた“悟郎さん”に近い人柄なんです。ちょっといい加減なところがあったり、ちょっとチャラけていたり(笑)。でも、厳しい一面ももちろんあって、やるときはやる人ですね。地上3000メートルの山間の風景のなかで、監督の怒鳴り声だけが響き渡るんです。「ばかやろう!」と言うと、「ばかやろぉ、ばかやろぉぉぉ……」というこだまが聞こえる。不思議な現場でしたね(笑)。

 僕もいい歳になったから、誰かの意見に言われるがままついていくことが、どんどん減ってきましたけど、この現場では自分を押し殺してついていくという快感もありました。監督の「ばかやろう!」が聞こえてくるのも、僕にとっては「なんておもしろい現場だろう」って感じていたんです。なんて愛情深くて、なんて心地いい言葉なんだろうって(笑)。

―― 最後に“木村組”で作り上げた同作の魅力をお願いします。

 何かを失ったら、何かを得るという、とてもシンプルなメッセージを持った映画です。そのメッセージは、「人生は徒労の連続。自分の足で歩いた距離だけが宝になる」といったセリフなど色々なシーンで、随所に散りばめられていますね。

 素敵なこともある反面、徒労という言葉に置き換えられる“分からないこと”や苦労もたくさんあって…。でも、人生は決して捨てたもんじゃないし、その苦労はみんな変わらないんだよって、伝えてくれていると思います。

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映画『春を背負って』

監督・撮影:木村大作

出演:松山ケンイチ 蒼井優 檀ふみ 小林薫 豊川悦司ほか

原作:笹本稜平「春を背負って」(文藝春秋刊)

脚本:木村大作・瀧本智行・宮村敏正

主題歌:山崎まさよし「心の手紙」

公式サイト:http://www.haruseotte.jp/
(6月14日全国公開)

(C) 2014「春を背負って」製作委員会

【Story】
日本の映画界を代表する名カメラマン・木村大作がメガホンを執った人間ドラマ。東京で暮らしていた主人公・長嶺亨(松山ケンイチ)が、山岳事故で突然他界した父(小林薫)の遺した山小屋を、自分が継ぐと決意。小屋に集う様々な心の傷を抱えた人々との交流、家族の絆を、立山連峰の壮大な自然を舞台に描き出す。



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