Vol.05 “ドラマの定石”完全無視! 脚本家・古沢良太の仕事論脚本家 古沢良太 堺雅人主演のフジテレビ系ドラマ『リーガルハイ』が、10月9日より連続ドラマで復活する。そこで、転職サイト・ORICON STYLE“Career”では、「正義は金で買える」とこれまでの弁護士像を打ち砕き、拝金主義者にして超のつく性悪弁護士・古美門研介を生みだした、脚本家・古沢良太にインタビュー。作品ごとに“これまでのお約束”を打ち破ってきた人気脚本家が語る、仕事の本質とは? 脚本家と俳優の攻防戦!? 偏屈弁護士・古美門研介ができるまで古沢にとって、初の“弁護士モノ”となった『リーガルハイ』。昨年の1stシーズンでは放送が始まるや否や話題を集め、離婚問題から大手ゼネコンを相手取った日照権裁判に、SPドラマでは学校でのいじめ問題まで、あらゆる訴訟案件が用いられた。 「最初にコメディをやろうというのは決まっていましたが、そのほかは何も決まっていなかった」という同作。特筆すべきは過去の弁護士ドラマの“お約束”が一切登場しない点ではないだろうか。法廷で弁護士が殺人事件を解決しないし、人情派弁護士がトラブルシューターとして市井の人々を救うわけでもない。主人公の古美門は、「金こそ正義」を掲げる偏屈極まりない切れ者だ。 「とにかくネチネチした嫌味なキャラクターにしようと思いました」と語る古沢の意図に寄り添うように、演じる側の堺は“早口”という武器を用いて、さらに古美門を強烈キャラに。これに応えるように、「堺さんが思っていたよりもずいぶん早口で演じられたので、(ドラマの)後半は古美門のセリフ量がかなり増えていきました」と、テレビの裏側では俳優と脚本家の意外な攻防戦が繰り広げられていたようだ。 セオリー無視の毒舌弁護士に、生みの親も四苦八苦古美門は定番の決めセリフこそ持たないが、回を重ねるごとに“毒舌ぶり”は加速。どんな短いシーンにも、古沢が仕掛けた毒が散りばめられている。「(著作権で)ねずみの国がどれだけ稼いでいると思っているんだ?」、「正義は少年ジャンプの中にしかないと思え!」などなど、パンチの効いた台詞は、観る側にある種のカタルシスさえも、もたらした。 劇中、古美門に弁護士としてのスタンダードな良心が芽生えることはなく最終回へ。この作品で古沢は「主人公とは物語の中で心身ともに成長しなければならない」というセオリーを完全無視。新たなヒーロー像を生み出した。 しかし、「古美門のあのキャラクターには、書いている僕自身も困らされることもあるんですよ」と思いもよらない一言が漏れた。 「例えば、普通のキャラクターであればサラっとした台詞のやり取りで済むシーンでも“古美門だからなぁ”と、いちいちひねくれた表現を捻り出しています。なんでこのシーンでこんなに時間がかかるんだ!って、毎回苦しみながら書きます」と、“古美門節”は生みの親の手をも煩わせているようだ。 次のページ キャラクター作りの鍵は「俳優さんがん演じてみたくなる役にすること」へ >>
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