トップの理由

リブセンス 桂大介氏インタビュー「マッハバイトは“採用支援サービス”」

 人手不足により売り手市場と言われる昨今、求人情報を取り扱うウェブサービスは大きく躍進し、アルバイトを募集したい企業にとって今やアルバイト情報サイトは欠かせない求人ツールとなりました。オリコン顧客満足度ランキング「アルバイト情報サイト」で初の総合1位を獲得したマッハバイトはどのような施策、サービスでユーザーからの支持を得たのでしょうか。ブランディングを担当する桂大介氏に、その取り組みについてうかがいました。

「いますぐ」をサービスコンセプトに個性を確立

━━総合1位受賞おめでとうございます。まずは率直なご感想と、選ばれた理由をどのように分析されているか、お聞かせください。

桂大介氏(以下、桂) 2006年にジョブセンスの名称で成功報酬型アルバイト求人サイトを立ち上げたのですが、正直、シェアの拡大に苦戦していました。そこで2017年9月にマッハバイトへと名称を変え、より個性を強く打ち出したところ、昨年はオリコン顧客満足度ランキングで総合2位に、今年はついに1位を獲得することができました。使って良いと実感できるサービスをつくりたいという思いを基にリニューアルを行い、さまざまな面を追求した点と、マッハバイトの個性がうまくユーザーにはまったのが支持された理由ではないかと分析しています。

お話を伺った株式会社リブセンス アルバイト事業部ブランディンググループ責任者・桂大介氏

お話を伺った株式会社リブセンス アルバイト事業部ブランディンググループ責任者・桂大介氏

━━マッハバイトという名称に込めた思いと、追求された個性とはどのようなものだったのですか。

 名前に込めた一番の想いは“速度感”です。アルバイトを希望する求職者はすぐにアルバイトを始めたいし、すぐにお給料がほしいという潜在的ニーズを抱えています。ですから、検索の使いやすさに加え、求職者が迅速にアルバイトを開始し、早期に経済的なメリットを享受できるようシステムの改善に取り組みました。企業が求職者とリアルタイムでやり取りできるチャットツールなども導入しています。

 応募から採用までのステップを効率化し、最短で初出勤日が決まった翌日にマッハボーナスを支給できるようにすることで、マッハバイトなら、「アルバイトがすぐ決まる」「お祝い金がすぐもらえる」といった「速度感」をサービスコンセプトとして打ち出し、個性を際立たせるようにしています。

「速度感」をコンセプトに生まれ変わったマッハバイト(提供:株式会社リブセンス)

「速度感」をコンセプトに生まれ変わったマッハバイト(提供:株式会社リブセンス)

求人広告ではなく、採用支援サービスを展開

━━リニューアル前は「採用祝い金」、リニューアル後の現在は「マッハボーナス」という名称で就職採用者にお祝い金を出しているのは御社の特筆すべき特長です。ユーザーのコメントでも、マッハボーナスに対する評価が多数寄せられました。マッハボーナスについては、具体的にどのような改善をされたのですか。

 それまでは、初日の勤務終了後に申請可能にしていたため、採用が決まってからお祝い金を受け取るまで約1ヶ月かかってしまうことがありました。それを、働き始める日が決まったら申請できるように変更し、最短で申請翌日には受け取れるようにスピードアップしました。

 また、ジョブセンスのときは金額を1000円から2万円に設定していたのですが、マッハバイトでは5000円から1万円に変更しました。最大金額が大きいと目を引くのですが、実際、当時のお祝い金の平均金額は4000円くらいでした。派手で目立つことを追求するよりは、ユーザーの期待を裏切らず、ユーザーに満足してもらえるやり方は何かということを突き詰めて設定しました。

アルバイトが決まると、ボーナスが”マッハ”で届くように(提供:株式会社リブセンス)

アルバイトが決まると、ボーナスが”マッハ”で届くように(提供:株式会社リブセンス)

━━マッハボーナスを実現させているのは、採用課金型という御社のビジネスモデルがあってこそ、ですね。ほとんどのアルバイト求人サイトが掲載課金である中、求人の掲載は無料にし、採用に至った場合のみ手数料をとるという採用課金型の強みはどのような点にあるとお考えですか。

 掲載課金型は掲載順位を販売しているものなので、高い金額を払えば上位に掲載されます。それに対し採用課金型は、順位を自分たちで動かすことができるので、「応募しやすくて採用されやすい」というユーザーが求める案件を上位に表示させることができます。

 というのも、掲載課金の場合、たいてい応募までのデータしか取りませんが、僕たちは検索から採用までの最適化を行っているので、応募も集まって、きちんと採用もされる求人がどこなのかが分析できます。さらにどのチャネルから入ってきたユーザーがどこに応募して、実際に採用されたかどうかまで、ユーザー行動を一気通貫して見ることもできます。それらのデータを基に、ユーザーが迅速に良いアルバイトに辿りつけるよう、日々改善を重ねています。

 掲載課金型は“求人広告”であるのに対し、僕らは“採用支援サービス”を展開していると自負しています。

成功報酬型のビジネスモデルによって、ユーザーの採用可否が分かるように(提供:株式会社リブセンス)

成功報酬型のビジネスモデルによって、ユーザーの採用可否が分かるように(提供:株式会社リブセンス)

スピーディーな採用とボーナスで職場環境の改善につなげたい

━━最後に今後の抱負をお聞かせください。

 これまでアルバイトの求人サイトは応募するまでのお付き合いでしたが、僕らはその後もユーザーとコミュニケーションをとることで、リピーターを増やしたいと考えています。残念ながら今もブラックな職場が存在しているのは、そこで働き続けている人や、辞めたくても辞められない人がいるからです。

 生活にはお金が必要ですから、簡単に「嫌なら辞めればいいじゃないか」とは言えません。マッハバイトではすぐにバイトが見つかって、バイトをスタートすることができて、その間にボーナスも支給される。この仕組みを普及させ、皆がスムーズにつきたいバイトに出会えるよう取り組んでいきたいと思っています。

(文/河上いつ子)

【調査概要】
調査時期:2018/12/05〜2018/12/25
調査対象:合計9,343名(過去5年以内にアルバイト情報サイトに掲載された求人に応募し、アルバイト・パートとして就業した経験のある人)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査 (オリコン顧客満足度調べ)

プロフィール
株式会社リブセンス アルバイト事業部ブランディンググループ責任者 
桂 大介(かつら だいすけ)

高校生の時から個人事業主としてシステムの受託開発を始め、早稲田大学入学後の2006年に代表村上らとリブセンスを共同創業。創業後は取締役として経営を行う傍ら、開発、人事、マーケティングなど様々な部門を歴任。2017年に取締役を退任し、社外にも活動の幅を広げる。