【選考員総評】芥川賞「候補作といえるものはない」 池井戸潤氏は「直木賞の優等生」

『第145回芥川賞・直木賞』が発表に (C)ORICON DD inc.  [拡大する]

『第145回芥川賞・直木賞』が発表に (C)ORICON DD inc. 

■候補作一覧

 日本文学振興会主催の「第145回芥川賞・直木賞(平成23年度上半期)」)の選考委員会が14日、都内で開かれ、芥川賞は昨年1月の第142回(平成22年度下半期)以来の「該当作なし」、直木賞は池井戸潤氏の『下町ロケット』に決まった。1年半ぶりの「該当者なし」となった芥川賞に対し、池井戸氏は前回の反省点を克服しての直木賞受賞となった。

 芥川賞について作家の山田詠美氏は「今回は本当に点数が低調だった」と選考員代表として発表会見でコメント。「候補作といえるものはないが、とりあえず選出したのでは?」と本来ならノミネートのレベルにも達していないとし、「前に選ばれてきた作品を考えると、今回はとても選出することができなかった」と辛口評価を下した。一方で今回の候補者たちに向け「素晴らしい作品を書いてくださる方と信じているので、次に候補に上がったときには」と期待を込めた。

 直木賞は2度の投票が行われ、池井戸氏と島本理生氏の一騎打ちに。島本氏は芥川賞に過去3度ノミネートされ、今回は初の直木賞候補に選出。池井戸氏は『空飛ぶタイヤ』(第136回)、『徹の骨』(第142回)で2度、直木賞候補にノミネートされていた。3度目の正直で直木賞をつかんだ池井戸氏に対し、選考員の林真理子氏は「直木賞の優等生」と表現した。

 同じく直木賞選考委員の伊集院静氏は、池井戸作品について前回の選出の際に「読後感が非常に爽快である。今の時代、下町の工場や救済されるべき人がテーマだったことも非常によかった」と述べ、「人物描写ができていないという指摘が多かったが、今回は全くでなかった」と概ね高評価。同作は5月の山本周五郎賞では落選していたが、下町の中小企業が奮闘し、ロケット開発の巨大プロジェクトに挑む内容に「こういう時だからこそ、中小企業を盛り上げる作品がいい」と震災復興を重ねる意見もあった。

 直木賞の総論として「総じて評価はよかった」としながらも、伊集院氏は「映画の原作みたいな、脚本のような映像的な作品が多かった」と傾向を分析。「同級生とか中高生をテーマにした作品が多かった。もっと成熟した大人をメインにすえた作品を」と、今後の課題を提示していた。






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