是枝裕和監督、カンヌは「楽しめない」映画祭!?

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 映画監督の是枝裕和が29日、東京・渋谷のユーロスペースで行われた映画館大賞の受賞作『歩いても 歩いても』の上映前にトークショーを行った。先日フランスで開催されたカンヌ国際映画祭について「知り合いの監督と食事したり、観光したりする暇もなく、楽しめない映画祭。みんなイライラしていました」と思いがけない感想を述べ、会場の笑いを誘った。

 同賞は“映画館で見てもらいたい”をコンセプトに、全国の独立系映画館110館が2008年に公開された作品(邦画・洋画問わず)の中からベストを選ぶもので、是枝監督の同作は第4位に選ばれた。「大学生の頃、早稲田周辺の映画館によく行っていました。映画館の匂いとか、みんなで映画を観る体験も大事だよね」と思い出話を披露。『歩いても―』については「劇中に出て来る料理は全部、僕の母親が作ってくれたもの。台詞の半分も実は母親の言葉で、実体験も入っている」と説明し、「役者さんのアドリブではない芝居のアンサブルを楽しんでいただければ」と見どころを語った。

 公開を秋に控える最新作『空気人形』については「撮影現場は日本語、中国語、韓国語が飛び交っていた。でも、言葉のストレスはなかったですね、自信になりました。(主演の韓国人女優)ペ・ドゥナは非常に可愛いのですが、女優としてプロフェッショナルで見事でした。負けないように頑張りました。不思議な映画になっていると思う」と自信をのぞかせる。「新型インフルエンザや世界的な映画不況が心配されたが、カンヌでワールドプレミアが出来てよかった」と観光をしている暇もないほど、海外展開を図るビジネス面では手応えがあったようだ。

 また、今回初の試みとなった映画館大賞の取り組みを事務局長の杉原永純さんは、次のように総評した。

 「映画館からの投票の結果が出たとき『ダークナイト』も『ぐるり』も、『ポニョ』も『実録・連合赤軍』もベスト10に!と興奮しました。このあらゆる傾向の混在こそが映画の世界の広さだし、あまたある映画ランキングに欠けているものではないでしょうか。映画館スタッフの声は新鮮に響くだろうし、きっと信用に足るだろう、という当初の予想は間違っていなかったと確信しました。

 特集上映ではほとんどの上映作品がすでにDVDでリリースされているにも関わらず連日多くのお客さんにご来場頂きました。このことには非常に勇気づけられ、来年以降も継続していく力を得ました。ただ映画館大賞を通じて映画館を元気づけていくということにはまだ距離があります。映画館大賞は、以前の映画館の状況は豊かだったよね、と後ろ向きの懐古主義に浸ることは目指していません。これから先を見据えた今、映画館のありうるべき姿を模索するきっかけになることを願っています。

 最後になりましたが今回投票に参加して下さった全国110館の劇場のスタッフの方に心からの感謝をお伝えしたいと思います」

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