選考委員が語る 第140回芥川賞・直木賞の受賞理由と選考の内幕

芥川賞選考委員の宮本輝氏   [拡大する]

芥川賞選考委員の宮本輝氏  

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 第140回芥川賞・直木賞が15日(木)に発表され、芥川賞に津村記久子氏の『ポトスライムの舟』、直木賞に天童荒太氏の『悼む人』、山本兼一氏の『利休にたずねよ』が選ばれた。3氏とも3度目のノミネートを経て受賞。芥川賞選考委員の宮本輝氏は「大抵の作家はドラマチックな事件を作ろうとするが、津村さんはあえて書かなかった。大きな成長だと思う」と評価。また、天童氏・山本氏のダブル受賞となった直木賞について、選考委員の井上ひさし氏は「(選考会で)合計で3回の投票を行った」と、白熱した選考の様子を明かした。

 芥川賞選考会の様子を語った宮本氏によると、議論の末最終的に津村氏と田中慎弥氏の2者が残り、「作家として小説の組み立てが成長した」という津村氏が受賞した。また、“ワーキングプア”の日常を描いた受賞作『ポトスライムの舟』について宮本氏は「そこそこの男と付き合い、結婚し、生活を送る…といったドラマがここ数年定番になっていたが、(受賞作の人物は)学歴も低く、ギリギリの生活をしている。私たちのこれからの人生において普遍性をもっている」と同作品を評価した。

 直木賞は芥川賞発表から約1時間後に決定。最初の投票で3作品に絞られ、次の投票で天童氏の受賞が決定。その後、高い票を集めた山本氏を再評価する声があり、討論と投票の結果、ダブル受賞が決まったという。

 天童氏の『悼む人』について、井上ひさし氏は「この作品ほど作者の姿勢がはっきりわかるものははい。生、死、愛という3つのテーマを相手にして悪戦苦闘する作者の姿が、作品と重なっている。小説としては失敗しているところもあるが、破綻にも力が溢れている」とコメント。また、「読者を1点に導く小説の構成が巧みで筆力がある。日本の文化を根底からデザインした利休の秘密を、上から下から照明をあててえぐり出した」と山本氏の『利休にたずねよ』を評価した。

 贈呈式は2月20日、東京・丸の内会館で行われる。

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