2017年07月11日 18時40分

薬剤師の資格を生かして有利な転職を

薬剤師の資格を生かして、有利な転職をするためのポイントを伝授 [拡大する]

薬剤師の資格を生かして、有利な転職をするためのポイントを伝授

 2004年の制度改革によって学校教育法と薬剤師法の一部が改正され、2006年4月から6年制になった薬学教育。そして規制緩和と同時に、薬科大学や薬学部・薬学科の新設ラッシュが始まりました。一時はこうした大きな変化により、薬剤師の将来的なキャリアを不安視する人や、「薬剤師が余る時代が来る」という心配をする人も多かったようです。

 しかし実際には、大手・中堅調剤薬局チェーンの台頭、調剤併設型ドラッグストアの増加、「かかりつけ薬局」という考え方の普及、在宅医療の一環である薬剤師訪問サービスの需要増といった世の中の変化によって、薬剤師の活躍の場が広がりました。結果としては、薬剤師は過剰どころか全体的に不足しているという声すらあります。

 そこで今回は、薬剤師の資格を生かして、有利な転職をするためのポイントを紹介したいと思います。

■多様化する薬剤師の転職先

 薬剤師の転職先で最も一般的な職場としては、「病院」「調剤薬局」「調剤併設型ドラッグストア」の3つが挙げられるでしょう。多くの薬剤師はこれらの職場に勤務しており、転職先としてもこの3つのいずれかを想定している人が大半となります。

 その一方で、一般企業(製薬会社など)の求人も増えています。もちろん、企業の募集の中で研究開発職を狙うのは、経験のない薬剤師にとってはハードルが高くなります。しかし、薬剤に対する知見を生かしたMR職(自社の医薬品を医療機関のスタッフに提供する情報担当者)や、CRA(治験支援会社などに勤務する臨床開発モニター)といった職種への転職ハードルはさほど高くないようです。また、一般的な調剤薬局やドラッグストアなどでの勤務に比べると、転職によって収入や待遇をアップさせやすい職種だといえるでしょう。

 また、今後注目するべき分野として、在宅医療の分野が挙げられます。在宅医療とは、薬剤師が患者の自宅を訪問して医薬品を届けたり、薬歴管理、服薬の説明、服薬状況と保管状況の確認など、医薬品が正しく使われるように指導したり相談に乗ったりするサービスです。高齢化が進む日本では、在宅医療の重要性が指摘されており、在宅医療チームの一員として薬剤師の存在意義が注目を集めています。
 従来の薬剤師とは違う面もあるでしょうが、需要が伸びる分野であり、社会的に貢献度が高いことも考えると、転職を検討する価値はあるでしょう。

■地域別ごとに求人条件を変えると待遇もアップ!

 薬剤師に限ったことではありませんが、企業が提示する求人の条件には「需要と供給のバランス」が大きく影響しています。つまり、薬剤師が不足している地域での採用条件は良く、薬剤師が足りている地域での採用条件はあまり良くありません。

 そこで、「プライベートの時間を圧迫しない範囲」で、できるだけ広域の求人案件を調べてみることをお勧めします。通常、求人サイトで「自宅から通勤しやすい所」という条件で検索する人が多いと思います。しかし、無理なく通える範囲の人口密集地や商業地をピックアップし、そのエリアの求人相場を調べてみると、場所によっては大きな待遇差があることに気付くかもしれませんので、ぜひ一度試してみてください。

■働き方に注目してみる

 「どのような働き方が求められるか」という点も、転職先選びでは重要です。同じ調剤薬局でも、大病院の門前薬局のように、特定の病院の医師と円滑にコミュニケーションすることを重視する所もあれば、地域に密着した「かかりつけ薬局」として患者に親身になって対応し、適切な服薬指導を行うことを重視している所もあります。

 どちらも大切な仕事ですが、働き方は大きく異なります。例えば、医師と話す機会が多い仕事であれば、医療や薬に関する知識を高めたり、自分のスキルを磨いたりすることができます。一方、かかりつけ薬局であれば、服薬で患者が抱いている不安を取り除いてあげるなど、人のためになることができます。「自分が何のために仕事をしたいのか?」を考え、やりがいを感じる仕事を選択するのも大切ではないでしょうか。

■自分の付加価値を高める

 薬剤師にとって満足度の高い転職を成功させるにあたり、「活躍の場を広げる」「転職エリアを広く考える」「働き方に着目する」といったことをアドバイスしてきましたが、最後に「薬剤師資格以外のスキル=人材としての付加価値」を高めることをお勧めしたいと思います。

 文部科学省が2004年に提言した「薬学教育の改善・充実について」を要約すると、「薬剤師には基礎的な知識・技術に加えて豊かな人間性、高い倫理観、医療人としての教養、課題発見能力・問題解決能力、現場で通用する実践力などが必要」とうたっています。

 こうした高い能力が薬剤師には求められているわけですが、これらの能力を伸ばすために、専門薬剤師や認定薬剤師などの資格を取るのも一つの手段ですし、福祉・介護関連の学習や資格取得も有効でしょう。希望する転職先によっては、店舗運営に貢献できるような経理・経営・営業に関するスキルなども、自分の付加価値となります。

 「薬剤師にそんなスキルが必要なのか?」と思うかもしれませんが、このようなスキルを持つ薬剤師のニーズは、実際の求人案件にも見られます。薬剤師の人材市場について広い視野を持つことが、あなたの転職活動に有利に働くでしょう。

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