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2010年04月24日 10時00分
NHK大河ドラマ『龍馬伝』の美術監督を務める山口類児氏(C)ORICON DD inc. 
スタジオ内セットで空を再現 
実際の船を塗装して再現した咸臨丸 

『龍馬伝』美術スタッフの誇り 「職人力」が生んだ“汚し演出”

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 第2部に突入したNHK大河ドラマ『龍馬伝』。龍馬(福山雅治)と妻・お龍(真木よう子)、勝海舟(武田鉄矢)らとの出会いや海軍創設までの奔走ぶりを描き、舞台はいよいよ大海原へと移行する。「海をどう視聴者に感じさせるか」と語るのは同作の美術監督・山口類児氏だ。このほどインタビューに応じた山口氏は、放送開始時から話題を呼んでいるキャストを取り巻く“空間”について「職人力がテーマ。デジタルと言われるこの時代に、スタッフの技で勝負します」と力説。香川照之演じる岩崎弥太郎の容姿を象徴とする「“汚し”にはこだわりがあります。糸のほつれやホコリ、キズとか。表現の中において重要ですね」と美術にかける職人たちの誇りを、代表して語ってくれた。

 宮崎あおい主演の大河ドラマ『篤姫』でも大きな反響があった美の世界観も手掛けた山口氏は、『龍馬伝』において「龍馬伝的」といった言葉を多用してポイントを挙げる。「幕末と言っても、そんな昔でもないよねって思う。写真でも顔とかが残ってて、建物も残ってて、時代の“気分”みたいのが残ってる。時代劇だけど、もっと生々しさを出していきたい」という狙いだ。

 表現すべきは『龍馬伝』らしさと熱弁する。「博物館にある展示物を忠実に再現する“リアル”じゃなく、『こうだったかも』みたいな感覚を大事にしている。いろんな資料、写真から雰囲気の欠片(かけら)を見つけて、それを増幅して作っていますね」と当時の人々が抱いたイメージや心情を、現代人も共有できるような世界観作りを徹底。黒船来航の際も、座礁するしないをまずは取っ払い「目の前に現れたかのようなインパクトを見せたかった」と解説した。

 『篤姫』の時とは違い「同じセットを建てっ放しにしないんです。1週間あり続けることはなくて、セットを考え続けないといけない。休む暇がないです」と悲鳴を上げる一方で「大変ですけど、楽しく、厳しく」がモットー。第2部で登場する軍艦・咸臨丸は実際の船を塗装、演出して施しているが「本当の船を作りたかったな〜」と、物づくりが好きでたまらない。

 「美術の世界において、それぞれたくさんのスペシャリストがいるんです」と、絶大な信頼を寄せるスタッフの話になると終始口は滑らか。「見どころでもなんでもないんだけど、スタジオのセットに照明スタッフが“空”を開発してね。単にブルーシートを天井に吊ってるだけなんだけど、スモークを焚いたり、みんなの合わせ技を駆使して本当の空のように見える。みんなが挑戦している。今までにないリアルな映像ができてくるんですよ」と自然と言葉に力が入る。

 もちろん自己満足には終わらない。「福山さんをはじめとする役者さんが不満を持たないような作りはもちろんのこと、特にエキストラの子供たちが、楽しそうにセットに見入って、いたずらっ子のような顔になったら嬉しいね」と役者を喜ばせる空間作りに全身全霊を込める。

 「そうだったかもしれない」と視聴者を納得させるように、様々な試作、大胆なアプローチに挑んでいると胸を張る山口氏。さらに幕末時代を“リアル”に再現すべく「動物にもこだわってます。ペリーの肩にオウムがいたりとか、鶏や猫、野良犬とかにも。特に長崎の舞台はね、珍しいものが輸入されているのではって思っていて、こうご期待。『龍馬伝』にしかできない長崎をお見せしますよ」。

 25日(日)午後8時から放送の第17回『怪物、容堂』では、龍馬と千葉佐那(貫地谷しほり)の別れのシーンや、勝麟太郎(武田鉄矢)と共に海軍塾を開いて日本の海軍を作ろうと奮闘する姿を描く。


 福山雅治武田鉄矢
 

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