2009年11月21日 15時00分

北野武監督、“母校”明治大学で講演「映画は妥協して失敗ばかり」と苦悩を語る

母校・明治大学で特別講師を務めた北野武 (C)ORICON DD inc.  [拡大する]

母校・明治大学で特別講師を務めた北野武 (C)ORICON DD inc. 

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 21日、第10回東京フィルメックスが開幕し、母校の東京・明治大学アカデミーホールで行われた記念シンポジウムに映画監督の北野武が登壇した。「新しい映画を撮ろうとしてチャレンジして失敗ばかりしている」「テレビで妥協することはないけれど、映画では妥協してばかり」と語った北野監督に、同席した森昌行プロデューサーもびっくり。また、今後については「自分が主演して、監督もするのはあと何本かになるだろう。監督をするスタミナがなくなったら、森繁久彌さんのような役者になりたい」などと話して笑いを誘った。

 『その男、凶暴につき』(1989年)で映画監督デビューを飾ってから20年。これまでに14本の作品を世に送り出し、現在15本目の新作を撮影中の北野監督。「映画界は余所者に冷たい。“素人が撮れるわけない”という雰囲気で、イライラしながら撮っていた」とデビュー作を振り返り、現場経験の豊富な撮影や照明などのスタッフの扱いに手こずっていた初期の頃を「官僚に説得された大臣みたいだった」と語った。

 そんな古い体質の“映画界”に「疲れ果て、好きな作品を撮ろうと吹っ切れた」のが、『ソナチネ』(1993年)だったという。「自分では良くできたと思っていたら、客が全く入らなくて、一番ダメで。それからテレビの方もつまらくなって、ヤケクソになって交通事故まで起こした。漫才で人気者になって、テレビの冠番組も当たって、映画も当たると思っていたら、映画は全然だめだった」と当時の苦悩を赤裸々に話した。

 さらに、ギャラをもらっているテレビでは妥協し、映画は好き勝手に作っているのかと思われがちだが、「テレビはタダ(無料)で見られるが、映画はお金を払って観るものだから。1人よがりを押し付けるものではないと思っていた」とあくまでも客目線で物事を考えている北野監督の人柄がうかがえた。

 『ソナチネ』が興行的に失敗したのを受け、その後、ヤクザ映画から離れ、北野監督なりの映画を模索し続ける。最近は芸術性を求めた3作品、『TAKESHIS’』(2005年)、『監督・ばんざい!』(2007年)、『アキレスと亀』(2008年)を発表。「全部、当たらなくて、疲れ果てて、ヤクザ映画に戻った。同じことを繰り返しそうだけど、1メモリだけ上がりたい」と最新作への意気込みも語っていた。

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