2014年11月27日 09時30分

【前編】“内定取消”は局アナだけじゃない!? 実際にあった採用トラブル

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実際にあった内定取消のトラブルを紹介

 就職活動が実を結び、晴れて志望していた企業から内定をもらえた! …と喜んだのもつかの間、企業側の思わぬ対応でトラブルに巻き込まれることも。そもそも内定とは? 予防策はあるのか? 巻き込まれる前に知っておきたい「内定トラブル」について、前編と後編にわけて詳しく紹介する。

 先日、民放テレビ局のアナウンサーとして採用が内定していた女子大生が内定を取り消され、そのテレビ局を相手取って訴訟を起こしたことが報じられた。詳しい経緯はここであえて触れないが、内定の取り消しという人生を左右するような大事件に見舞われたら、誰しも動揺を禁じ得ないだろう。

 そもそも「内定」とは何なのか? 内定とは「就労の始期を定め、それまでの間所定の内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約」のこと。つまり、このまま何もなければ、あなたには何月何日に入社していただきますよ、という労働契約を結んだことになる。もし、この合意に反することがあれば、当事者の合意が法的根拠となり、契約違反として損害賠償を請求することができるわけだ。

 日本では、採用の内定が出た時点でその企業に就職するものとして就職活動をやめるのが一般的。そのため、採用内定者は試用期間中の従業員と基本的には同じ権利を有していると考えられている。なので、企業側は、何の根拠もなく内定を取り消すことはできない。取り消せるのは、その理由が社会通念上相当であると認められる場合のみとなる。

◆内定をめぐるトラブル事例

 とはいえ、現実には内定をめぐるトラブルは決して少なくない。ここでその事例を2つ紹介しよう。

<内定トラブル事例:Aさんのケース>
 新卒の学生Aさんは、ある企業から採用内定を受けたが、突然、内定取消を受けてしまった。その理由は、「内定者は当初から陰気な印象だったが、入社までの間にそれを打ち消す材料が出ると期待して内定を出した。しかし結局打ち消せなかった」というもの。

 採用された側から見れば、それなら最初から内定を出さなければよいのでは…? と思える身勝手な理由。このケースでは裁判が起こされ、その結果、内定取消を無効とする判決が出ている。

<内定トラブル事例:Bさんのケース>
 新卒学生のBさんは、ある総合広告代理店から採用内定を受けました。ところが、入社前のプレゼンテーション研修の際、指導に当たった人事担当課長から、「やる気あるの? 目を見てしゃべっていない」「プレゼンがまったくできていない、内定は辞退したほうが、会社にとってもあなたにとっても幸せだ」などと言われた。

 さらに、「あなたはきっと4月には辞める」「4月1日からはとりあえず一人で営業出てもらいますけど、あなたは仕事取ってこられないから、1日で辞めるかも」と、内定辞退を促すかのような発言が繰り返され、会社から内定辞退の手続を案内する書類まで送られてきた。これではとても入社できるような状態ではないと、Bさんはその旨を伝えたうえで入社日に出社しなかった。

 このケースでも裁判となり、内定辞退の強要があったかどうかが争われたが、最終的には「強要に当たるとまではいえない」と判断されてしまった。

 非常に理不尽に思えるケースだが、どちらも実際に起きたトラブルだ。そこで後編では、トラブルに巻き込まれないための自衛策を紹介する。

監修:新橋IT法律事務所 弁護士 谷川徹三/制作協力:株式会社マイト

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