2013年10月03日 10時00分
【働きビト】脚本家・古沢良太が語る『リーガルハイ』 魅力は「脱・定石」
毒を効かせたセリフに、書き手も四苦八苦!? ドラマ『リーガルハイ』脚本家・古沢良太 (C)oricon ME inc.
堺雅人主演のフジテレビ系ドラマ『リーガルハイ』が、10月9日より連続ドラマで復活する。そこで、転職サイト・ORICON STYLE“Career”では、「正義は金で買える」とこれまでの弁護士モノの定石を打ち砕き、拝金主義者にして超のつく性悪主人公・古美門研介を生みだした、脚本家・古沢良太にインタビュー。作品ごとに“ドラマのお約束”を打ち破ってきた古沢の仕事論、そして生みの親をも苦しめる毒舌“古美門節”の魅力に迫る。
■脚本家と俳優の攻防戦!? 偏屈弁護士・古美門研介ができるまで
古沢にとって、初の“弁護士モノ”となった『リーガルハイ』。昨年の1stシーズンでは放送が始まるや否や話題を集め、離婚問題から大手ゼネコンを相手取った日照権裁判に、SPドラマでは学校でのいじめ問題まで、あらゆる訴訟案件が用いられた。
「最初にコメディをやろうというのは決まっていましたが、そのほかは何も決まっていなかった」という同作だが、特筆すべきは過去の弁護士ドラマの“お約束”が一切登場しない点ではないだろうか。法廷で弁護士が殺人事件を解決しないし、人情派弁護士がトラブルシューターとして市井の人々を救うわけでもない。主人公の古美門は、「金こそ正義」を掲げる偏屈極まりない切れ者だ。
古沢は主人公を「とにかくネチネチした嫌味なキャラクターにしようと思いました」と語り、その意図に応えるように、演じる側の堺は“早口”という武器を用いて、さらに古美門を強烈キャラに。「堺さんが思っていたよりもずいぶん早口で演じられたので、(ドラマの)後半は古美門のセリフ量がかなり増えていきました」と、テレビの裏側では俳優と脚本家の意外な攻防戦が繰り広げられていたようだ。
■毒舌“古美門節”には、生みの親も四苦八苦
古美門は定番の決めセリフこそ持たないが、回を重ねるごとに“毒舌ぶり”は加速。どんな短いシーンにも、古沢が仕掛けた毒が散りばめられている。「(著作権で)ねずみの国がどれだけ稼いでいると思っているんだ?」、「正義は少年ジャンプの中にしかないと思え!」などなど、パンチの効いた台詞は、観る側にある種のカタルシスさえも、もたらした。
劇中、古美門に弁護士としてのスタンダードな良心が芽生えることはなく最終回へ。この作品で古沢は「主人公とは物語の中で心身ともに成長しなければならない」というセオリーを完全無視。新たなヒーロー像を生み出した。
しかし、「古美門のあのキャラクターには、書いている僕自身も困らされることもあるんですよ」と思いもよらない一言が漏れる。
「例えば、普通のキャラクターであればサラっとした台詞のやり取りで済むシーンでも“古美門だからなぁ”と、いちいちひねくれた表現を捻り出しています。なんでこのシーンでこんなに時間がかかるんだ!って、毎回苦しみながら書きます」と、“古美門節”は生みの親の手をも煩わせているようだ。
■依頼があれば「なんでも書きますよ(笑)。朝ドラでも大河でも」
新シーズンでは、いよいよ弁護士としての正義感、人間としての誠実さなどを身に着ける、“新しい古美門”の誕生にも期待がかかるが、「新しい一面は…もしかしたら出てこないかもしれないですね。毒っ気もさらに強まりといったところです」と含み笑い。「続編の話が決まったときは、“もうネタないなぁ”なんて思いながら始めたんですけど、書き始めたら思いのほかありましたね」と余裕の表情を浮かべる。
ちなみに、劇中では新垣結衣が演じる新米弁護士・黛真知子の情熱一直線な人柄を、古美門は“朝ドラのヒロインみたいな奴だな”と揶揄することも度々だったが、今後朝ドラの仕事が来た場合は「なんでも書きますよ(笑)。朝ドラでも大河でも」と、古美門さながらの不適発言(?)も飛び出した。
最後に、今後の脚本家としての展望を伺うと、「とにかくおもしろい物もダメな物も、たくさん書いて全部使い果たして死にたいと思います。どこかで区切りをつけて、余生をのんびり過ごすとかじゃなくて、もう空っぽになるまで書き切って、死ねたらいい」。
ドラマ『リーガルハイ』は10月9日(水)午後10時より放送スタート。新レギュラーに岡田将生、小雪、黒木華らを迎え、初回放送には松平健の出演が決定しており、キャリア初の検事役でドラマを盛り立てる。
>>Vol.05 “ドラマの定石”完全無視! 脚本家・古沢良太の仕事論
>>仕事を楽しむ神ワザとは? 働きビト SPインタビュー一覧
★コラボアイテムも披露!最新グルメからサブカルまで・・・息抜きネタ満載♪
オリコンCS編集部 公式Facebook!