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働きビトinterview

Vol.11 大泉洋の仕事論「どんなにボロボロでも続ける美学」

役者を続ける覚悟「ポケットには常に辞表を入れて」

大泉洋

―― 映画やドラマの現場では、ファンを喜ばせるために“メイキング映像まで手を抜かない”という大泉さんですが、俳優業のモチベーションはファンへのサービス精神もあるのでしょうか?

 DVDやblu-rayに収録されるメイキング映像は、ファンの人たちにとってすごく大事な特典だし、喜んでもらうために全力を尽くしています(笑)。でも、俳優を続ける理由に“ファンサービス”はないですね。おそらく僕のファンは「洋ちゃんは『どうでしょう』だけやってて! 俳優をやりたい気持ちは分かるけど、その時間があるなら、旅に出てくれ!」と、思っているはずですから(笑)。

―― そんなことないですよ(笑)。舞台も映像も、大泉さんはすごく格好いいです!!

 いやいや。役者という仕事は、誤解を恐れずに言えば「うまく出来ない」仕事。やってもやっても本当に難しくて、後悔することも多いんです。だから、この先いつか、自分で見切りをつけなきゃいけない時が来るかもしれないという、ある種“覚悟”のようなものが、僕にはあります。常にスーツの内ポケットに辞表を入れながら、仕事を続けている感じかな。

 だからこそ、少しでもいいお芝居ができるようになりたいなという想いが、日に日に強くなっていますね。40代になって、よりいい仕事を、落ち着いてやれたらいいなとも思っています。

芝居、ナックス、バラエティ…ボロボロになっても“続ける美学”

―― お話を伺っていると、お芝居でもバラエティでも、何事も“続けるための努力は怠らない”というお仕事への姿勢を感じます。

 それはありますね。とにかく続けることを大事にしたい。何かに15年という時間を掛けたなら、それは15年掛かってこそ出来たもの。他の人が、同じ様に同じだけの時間を掛けられるのかといえば、きっと無理だから。僕は時間(継続)に勝るものはないと思っています。

 ナックスも間もなく20年ですけど、例えば「いい時期をみて解散する」という決断もなくはないですよね。その方が「ナックスって面白い劇団だったよね」と、伝説化されることもあるかもしれない。でも、僕は喧嘩しながらでも、ずっと続けていく方が素晴らしいと思うんです。ファンのみなさんだって、どんな形であれ「継続している」以上にうれしいことはないはずだから。

 辞めることを美学とする人もいるかもしれないけど、僕はどんなにボロボロになっても、とにかく続けることを選ぶタイプ。僕みたいな下手くそな役者でも、続けて、続けて、続けて至った先に“何かいいものが出てくるんじゃないか”っていう、淡い期待をしています(笑)。

映画『青天の霹靂』

監督・脚本:劇団ひとり

原作:劇団ひとり「青天の霹靂」(幻冬舎文庫)

出演:大泉洋 柴咲コウ 劇団ひとり、他

主題歌:Mr.Children「放たれる」

公式サイト:http://www.seiten-movie.com/
(5月24日全国公開)

(C)2014「青天の霹靂」製作委員会

【Story】
貧乏マジシャン・轟晴夫(大泉洋)のもとに、ある日、高校卒業以来ずっと絶縁状態だった父・正太郎(劇団ひとり)の訃報が届く。ホームレスとなってのたれ死んだ父の遺品を整理しようと、河原の青テントに足を運んだ晴夫だが、突然、青空を割く稲妻に打たれ、過去へとタイムスリップ。若き日の両親に出会い、そこで自身の出生の秘密と母の愛を知る。お笑い芸人・劇団ひとりが初監督作として送り出したのは、笑いと温かい涙に満ちた感涙作。4ヶ月の猛特訓を経て挑んだ、CGなしの大泉洋のマジックにも注目!



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