Vol.08 “クズか神”でいい!?堤幸彦が語る「職業・映画監督」中庸な作品と言われるぐらいなら“クズか神か”でいい―― 堤監督の作品には、『トリック』に限らずとてもマニアックなファンの方が多いというイメージです! 確かにそうですけど、受け入れてもらえず、猛烈に否定もされます。お客さんの反応は0か100か。「賛否両論」とは、私の為にあるんじゃないかと思ってます(笑)。それでも「中庸でそこそこの作品」と言われるぐらいなら、“クズか神か”で、いいと。モノ作りは、きっとそんなものじゃないかな。 ただし。そういう類の仕事も、これが最後かなと感じています。長い時間を掛けてきたレギュラーモノがパタパタと終わったということは、次は“職業・映画監督”として、1人でも多くのお客さまに対して説得力を持つ作品を作っていかなくてはいけないと、思っています。 ―― これからの“堤作品”には、大きな変化があるということでしょうか? 『トリック』、『ケイゾク』からの『スペック』を終え、今後の監督の作品は予測がつきません。 作風が変わることは無いかもしれないけど、色々やっていきたいですよね。もういい“おじいさん”の部類に入ってきたんで(笑)。でも、観てくださる方の年齢に関係なく、心に刺さる質の高い作品を作りたいです。それがオリジナルなのか、原作モノなのかは分からないけれど、1作1作を大事にしたいという思いは、変わらないですよ。 ちゃんと生きていかなければ「巧く死ねない」―― 堤作品に刺激や衝撃を受けた若いクリエイターの方々は多いと思うのですが、堤監督から若い方へ、アドバイスはありますか? とんでもないです。素晴らしい人ばっかりで、僕が「勉強させてくれ!」という気持ちでいっぱいです。僕のような、テレビから「商売」として監督を始めた人間から見ると、『PFF』(※4)や自主映画を通過してきた監督の作品には、彼ら個人でしか語れない資質がある。僕は敵わないんです。どうすれば近づけるのかと、東洋を問わず、世界の作品に衝撃を受けます。 ―― 監督ほどのキャリアを重ねても、「満足」を感じられることはないんですね。 満足なんか、一回もしたことないです! これが最高傑作ですなんて、言ったこともないですから。もちろん全力で戦っていますし、どの作品にも持てる力を100%注ぎ込んでいます。それでも、世間に出したら「商品」となり、その段階で次を見ないとダメなんです。 その「次」は、今までに無いものでなくては、ならない。ドキュメンタリーや地方で映画祭をすることも1つのチカラになるし、時間がある限り色々なアプローチを重ねていきます。それを続けていかないと、巧く死ねないです。意志半ばで倒れていった仲間や、先輩のためにも、ちゃんと生きていかないとダメだから。 ※4『ぴあフィルムフェスティバル』 映画『トリック劇場版 ラストステージ』 出演:仲間由紀恵、阿部寛/生瀬勝久 野際陽子 監督:堤幸彦/脚本:蒔田光治 主題歌:「月光」(鬼束ちひろ) http://www.yamada-ueda.com/movie/ (C)2014「トリック劇場版 ラストステージ」製作委員会 働きビト special interview バックナンバー
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